胸の谷間が強調される短いTシャツにホットパンツというヘソ出しルックの女性達が接客をするスポーツバーが舞台の本作は、アメリカの至るところにある“日常”を切り取ったようなストーリーです。でも、平凡、平和でいいはずの“日常”で、女性達はこんなに闘わなければいけないのかと痛感させられます。公式サイトに掲載されている監督のコメントには「私たちのほとんどは、生活費を稼ぐために狂った“コンセプト”を買ったり売ったりしなければならず、時に、ユーモアと尊厳を勤務時間の終わりまで持ち続けられるのか、わからなくなるのです」とあります。まさにそれが象徴される場所を物語の舞台にしている点で、働く者なら誰もが感じていながらやり過ごしている本音を見事に投影しています。
そして、店でのやり取りも印象的ながら、終盤の面接のシーンにも何ともいえない苦みが利いています。解釈の仕方はさまざまあると思いますが、人は「何かがおかしい」と感じながらも、生活をするために仕事を得ないといけない不条理さが表現されたシーンとなっています。“不条理”という意味では、主人公のリサ・コンロイ(レジーナ・ホール)の善意、善行についてもいえることで、「正直ものがバカをみる」という現実を突きつけられます。ただ、本作はそんな状況でもリサや仲間達が明るく逞しく前を向く姿を描いている点で救いがあります。最後は「やっぱり女性は強い!」と元気をもらえますよ。


主人公達と同じような心境を抱えながら日々を過ごしている女性達が共感できる内容なので、女性同士で観るか、1人でじっくり観るほうが気楽に観られそうです。ただ、無意識に女性蔑視をしてしまっていることに気付く良い機会にもなりそうなので、注意喚起の意味で身近な方と一緒に観て、感想を共有するのも有意義なのではないでしょうか。


女性蔑視、ジェンダー・ギャップの問題において、女性が善で、男性が悪という単純な問題ではないことは、本作を観ればわかると思います。男性の下心を利用しようとして自ら下品なセクシャル・アピールをする女性も登場したり、問題を引き起こしている要因をいろいろと想像できると思います。これからの社会を少しずつでも変えていけるよう、未来を担う若い皆さんにも関心を持って欲しいです。

『サポート・ザ・ガールズ』
2022年10月7日より全国順次公開
グッチーズ・フリースクール
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TEXT by Myson
