本作はデンマークの平凡な⼀般市⺠が、CIAさえ情報を容易に掴めなかった北朝鮮の国際的な闇取引(武器密輸)のネットワークに潜り込み、その実態を暴いていくドキュメンタリー。2020年秋に英国BBCと北欧のテレビ局、2021年2⽉に『潜⼊10年 北朝鮮・武器ビジネスの闇』というタイトルでNHK-BSにて放送されており、今回の映画はテレビ放送版に含まれなかった未公開シーンも追加された再編版となっています。ちなみに、タイトルの『THE MOLE(ザ・モール)』は、英語で“モグラ”という意味で、そこに由来してスパイという意味となっているそうです。
スパイをするのは、元料理⼈のウルリクと元軍人のジェームズで、監督の指示のもと10年の年月をかけて少しずつ北朝鮮の闇取引の真実に迫っていきます。中にはフィクションかと思うようなハラハラする場面もあり、これがリアルだと思うと本当にすごいなと感じます。具体的にどのようにスパイとして北朝鮮の要人達と関わっていくのかは本作をご覧いただくとして、スパイ達がある北朝鮮郊外の建物に連れて行かれるシーンや、録音機が見つかりそうになるシーンは観ている側にも緊張感が走ります。
アクション要素なども盛り込まれたフィクションのスパイ映画ももちろん楽しいですが、たまにはこういったスパイの実態に迫った映画を観てスリルを味わったり、現実の問題について考えてみるのも良いのではないでしょうか。
デートで本作を観る場合は事前に内容を少し伝えて、興味があれば一緒に観るのもアリです。スパイ活動を行うウルリクは10年もの間妻にスパイ活動について秘密にしていて、その告白シーンも映し出されています。同じような経験をされる方はほとんどいないと思いますが、何か秘密を抱えている人はこれを機にパートナーに打ち明けるのも良いと思います。
本編のほとんどが盗撮シーンとインタビュー映像で構成されていて、集中力が必要なので、中学生くらいになってから観たほうが内容をより理解できると思います。ティーンの場合は、緊張感のある映像にハラハラしつつ、スパイ活動を行っている人物達の心情も考えながら観てみてください。本作を通してスパイ活動の大変さも伝わってくるので、今後他のスパイをテーマにした作品(フィクションも含む)を観た時の観方も変わりそうです。
『THE MOLE(ザ・モール)』
2021年10月15日より全国順次公開
ツイン
公式サイト
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TEXT by Shamy