ドラマ放送時から人気沸騰という噂を聞いていたので観てみました。ドラマは200以上の国や地域で観られるほどにワールドワイドな人気を誇っています。そんな本作で強く残った印象としては、とにかく爽やかでピースフルなところ。観ていてすごく癒されるので、多くの方に人気なのもわかります。
30歳を迎えても童貞のままでいたサラリーマンの安達(赤楚衛二)は、触れると相手の心の声が聞こえるという魔法を手に入れます。そして、秘かに想いを寄せていた同期の黒沢(町田啓太)が自分に好意を持っていることを知り、2人はやがて恋人になります。映画版では、既に恋人同士の2人が次のステップに進もうと悪戦苦闘する姿を描いています。私はドラマ版は1話だけ観て本作を観ましたが、もし1話も観ていなくても大丈夫です。本作の冒頭にこれまでのあらすじを簡単に短くまとめて付けてくれているので、映画版から観る方も問題なくついていけます。
本作は同性愛がテーマの1つとなっており、そのことで2人は一層高い壁を越えなければいけない状況も描かれていますが、同時に安達が魔法を使えることのメリットとデメリットが描かれています。一見魔法は便利に思えますが、魔法が使えてしまうことによって別の悩みが出てくる展開にとても惹きつけられます。これは恋愛はもちろん人間関係全般に通じるテーマだからこそ、多くの方が親近感を持てる内容になっていると言えるのではないでしょうか。
安達を演じる赤楚衛二がピュアで不器用なキャラクターをリアルに演じ、黒沢を演じる町田啓太も眩しいばかりに爽やかです(笑)。ホッコリしたいなという時にオススメの1作です。
一つひとつ問題にぶつかる度にきちんと2人で話合いながら前に進んでいく姿は、多くのカップルにとって良い見本になるでしょう。言いたいことを自分の中で呑み込んでしまうこともありますが、やっぱりわかり合うには本音をぶつけることも必要です。悶々としている方は特にパートナーを誘って本作を一緒に観て本音をぶつけ合い、距離を縮めるきっかけにしてください。
タイトルにあるように本作には魔法が登場しますが、キャラクターがその魔法を大いに使うというストーリーではなく、魔法が使えたほうが良いのかどうかということを考えさせられるストーリーとなっています。表面的には魔法が使えたらスゴいしカッコ良いし便利だなと思えますが、実際の生活に落とし込むとどうなるのかを本作で観ることで、魔法なんてなくても今のままで幸せだと思えるのではないでしょうか。
『チェリまほ THE MOVIE ~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~』
2022年4月8日より全国公開
アスミック・エース
公式サイト
©豊田悠/SQUARE ENIX・「チェリまほ THE MOVIE」製作委員会
TEXT by Myson