国立舞踏団で活動するダンサーのメラブが、ある青年との出会いにより変化していく物語。国立舞踏団といっても、そこで生活が賄えるわけではなく、貧しい生活を送り、限られた選択肢の中から選んだ人生を送っている様子が印象的で、背景となっている社外情勢、文化にも興味が湧きます。そんなメラブの前に、優れたダンサーが現れ、彼はメラブのライバル心を燃やすだけでなく、いろんな面を引き出します。メラブの世界は一気に広がっていきますが、今までのようにはもう過ごせなくなってしまいます。メラブの変化は、大きな成長を表していて、怖い部分はあっても新しい世界に踏み込む勇気を与えてくれます。現実を受け入れることが大きな試練となりますが、そのことで自分が何者かを知り、彼は大きな一歩を踏み出します。綺麗事だけでなく、彼の葛藤、周囲の葛藤を描いている点で、いろいろな視点で鑑賞できます。メラブを演じるのは、実際にコンテンポラリーダンサーとして活躍し、本作が映画初出演となるレヴァン・ゲルバヒアニ。彼の美しい肢体、エネルギッシュなダンス、瑞々しい演技にもご注目ください。
カップルとしての葛藤も描かれていて、感情移入できる点があると同時に、悩ましい部分も描かれているので、デートのムードが盛り上がりそうなところと、現実に引き戻されるところと、カップルの状況により感想が変わってきそうです。2人の関係のほかに、それぞれの夢や将来の方向性についても考えさせられる内容が含まれているので、話し合うきっかけにするのはアリでしょう。
好きなことをやっているはずなのに、イマイチ身が入らないという時期もありますよね。そういう時は、何か刺激が必要なのかも知れません。新しい出会いが良い刺激になったり、活動の範囲や場所を変えてみたり、本作で何かヒントが見つかると良いですね。
『ダンサー そして私たちは踊った』
2020年2月21日より全国公開
PG-12
ファインフィルムズ
公式サイト
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TEXT by Myson