REVIEW
本作は、生まれつきの心臓疾患で余命10年と宣告された幼い娘のために、人工心臓を作ろうと長きにわたり奔走した実在の人物をモデルとしたフィクションです。主人公、坪井宣政(大泉洋)のモデルとなったのは、東海メディカルプロダクツ会長の筒井宣政氏。原作は、清武英利氏による「アトムの心臓『ディア・ファミリー』23年間の記録」です。
宣政の次女、佳美(福本莉子)が心臓疾患で余命宣告を受けた1970年代にはまだ人工心臓はありませんでした。だから、宣政は自分で人工心臓を作ろうとしたわけですが、全くの素人からどうやって携わったのかは皆さん気になるところでしょう。まさに、当時の日本で、しかも医療の専門家でもない一般人によって人工心臓を作るプロジェクトが始動しただけでもまず奇跡的で、その後も坪井家の諦めない前向きな精神と行動力に心を動かされます。
本作の公式資料にあるプロダクションノートには、モデルとなった筒井家の経験談を基に脚本を作るにあたり苦慮した点として「そもそも筒井家のありよう、彼等の行動原理が素晴らし過ぎるがゆえに、一般の人々に理解しづらいという点」があったものの、「紛れもない実話」であることから、「本作は事実同様その先までを描き切ることに果敢に挑んだ」とあります。だから、人工心臓がいつ完成するのかというところが要ではありつつ、『ディア・ファミリー』というタイトルの通り、支え合う家族の強い絆と、家族のために闘う不屈の精神に感銘を受けます。
試練に立ち向かう一家の姿には大きな勇気をもらえます。何かにくじけそうな時に何度も観たい作品です。本作には原作にはないキャラクターも登場しますので、原作を読まれた方もぜひご覧ください。
デート向き映画判定
結婚している場合、パートナーが経済面で大きな負担のある挑戦をすると言い出したら、躊躇するのが当然です。それでも支え合える夫婦には、どんな円満のコツがあるのか、本作にはたくさんのヒントがあります。お互いをすごく理解していて、夫婦それぞれに強みがあるのも伝わってきます。本作を一緒に観るだけでも歩み寄るきっかけになりそうです。
キッズ&ティーン向き映画判定
坪井一家は、どんなに追い詰められても、お互いを思いやる言動を取ります。頭ではわかっていながらなかなか簡単に真似ができないことですが、お手本としたい姿勢です。個性がそれぞれ異なる家族が一丸となって、同じ目標に向かって支え合う姿には、学ぶところが多くあります。ぜひ家族で観て欲しい作品です。
『ディア・ファミリー』
2024年6月14日より全国公開
東宝
公式サイト
© 2024「ディア・ファミリー」製作委員会
TEXT by Myson
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情報は2024年6月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。