日本地図を完成させたとして知られる伊能忠敬で有名な千葉県香取市の市役所で「伊能忠敬にまつわる大河ドラマを作ろう」という企画が持ち上がり、制作に向けて市の職員が奔走する物語。言葉通り、大河ドラマを作る過程を見るだけでもおもしろそうですが、「伊能忠敬は地図を完成させてない。だからドラマにはならない!」という事態の裏にある真相を描いている点で、本作は一層魅力的なストーリーとなっています。そして本作は、大河ドラマを作ろうとしている現代の人達の様子を映しているパート、伊能忠敬が地図を作っていないのなら裏で何が起きていたのかということを明かすパートの2軸で描かれていて、現代劇と時代劇の両方を楽しめます。
歴史の新たな発見を知る意味でもおもしろい内容ですが、すごく細かいところ、良い意味でどうでも良いところに軽くギャグが入っていたり、コミカルな作品なので、気楽に観て笑うという楽しみ方もできます。クライマックスには、“良い話”といえる要素がいくつか散りばめられていて、観る人それぞれに共感できるポイントが見つかると思います。歴史に名を残す偉人は大勢いますが、その周囲の人にもフォーカスしたストーリーは、新たな時代の到来、時代に伴い物事の観方が変化してきたことを象徴しているようにも見えます。伊能忠敬に興味があるかないかにかかわらず、観てみてください。
シンプルなお話で誰でも気楽に観られるので、歴史に詳しいかどうかもあまり気にせず観やすいと思います。そういう点でデートにも誘いやすいでしょう。歴史マニアの方は、ついつい講釈を垂れたくなると思いますが、自分だけがヒートアップしないよう、相手の様子を見ながら、テンションを合わせて話すようにすると良さそうです。
歴史に詳しい方や今の子ども達は伊能忠敬が日本地図を完成させたのではないことを既に知っているかもしれません。でも、本作ではその裏で何が起こっていたのかという真相まで描いている(といってもあくまで1つの見解ではありますが)ので、新鮮な気持ちで観られるのではないでしょうか。チームワークの大切さも描かれているので、人間ドラマとしても純粋に楽しめます。
『大河への道』
2022年5月20日より全国公開
松竹
公式サイト
©2022「⼤河への道」フィルムパートナーズ
TEXT by Myson
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