日本の原爆開発を背景に、若者達の揺れる想いと決意が描かれた本作。柳楽優弥、有村架純、三浦春馬、國村隼、田中裕子ら豪華キャストが共演し、時代に翻弄されるキャラクターを熱演しています。戦争をテーマにした作品は多くありますが、本作の特徴としては原爆開発をする若き科学者達の研究熱心な姿や苦悩が映し出されている点。さらに、主人公を中心とした家族や周囲の人々の群像劇となっているので、それぞれのキャラクターの視点に立ちながら戦争を見つめることができます。
戦後を生きる現代人からすると、原爆投下の恐怖をいろいろな形で伝えられてきているので、「原爆開発をするなんて恐ろしい」という感覚がありますが、主人公の修(柳楽優弥)は、純粋に科学が好きな青年で、新しいことを見つたいという探究心で実験に取り組んでいきます。その様子を観ていると、決して当時の研究者達が悪いことをしようと思って原爆の研究していたわけではないことがわかり、とても複雑な感情になります。また、修の弟の裕之(三浦春馬)や、幼馴染みの世津(有村架純)もそれぞれの立場から戦争と向き合い、さまざまな考えを持っている様子にも共感できます。もしも彼らの生きる時代が違ったら…と考えるとより切なさが増しますが、こういった人々の経験があってこそ現代の日本があると思うと、身が引き締められます。主人公達と同世代の若者はもちろん、人間ドラマが中心となった作品なのでどんな人にもオススメです。主人公達がどんな決断をし、どんな運命を辿るのかぜひ本編で観届けてください。
戦争や原爆をテーマとした作品なので、初デートの場合は事前に内容を少し説明してから誘うことをオススメします。付き合いの長いカップルなら本作を観て戦争や本作の登場人物達について話すのもアリだと思います。また、本来なら恋愛を楽しめる年頃の若者達が、それぞれの立場で戦争と向き合っている姿を観ることで、一緒にいるパートナーの大切さをより感じられそうです。
本作は、戦場の様子が映し出されるのではなく、科学の視点から戦争と向き合った若者達の様子が描かれているので、生々しい描写の戦争映画が苦手だという方にとっても観やすい作品です。また、柳楽優弥、有村架純、三浦春馬を中心とした若い世代のキャスト陣が出演している点でも、より親しみを感じやすいのではないでしょうか。ティーンと年の近い若者達が原爆開発に携わっていたことには驚かされると思いますが、彼らを通じて当時の複雑な心情を体感して欲しいと思います。
『映画 太陽の子』
2021年8月6日より全国公開
イオンエンターテイメント
公式サイト
©2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ
TEXT by Shamy