本作は、『ミッドナイトスワン』『異動辞令は音楽隊!』などのヒット作を手掛けた内田英治監督と、ポン・ジュノ監督作の助監督を経て、映画『さがす』やドラマ『ガンニバル』などを手掛けた片山慎三監督がタッグを組んだ作品です。新宿、歌舞伎町を舞台にした6つのエピソードで構成されており、内田監督、片山監督がそれぞれ3エピソードずつ監督を務めています。
主人公は、バーの店主兼探偵のマリコ(伊藤沙莉)。物語は、彼女がとある組織から宇宙人探しの依頼を受けるところから始まります。6つのエピソードで構成されているものの、主人公として常にマリコはいて、物語全体としても少しずつ繋がっている部分があります。各エピソードでは、マリコ本人が活躍するものもあれば、マリコのバーを訪れる客や友人のエピソードもあります。個人的にはホストにハマってしまう女性のエピソードがリアルに感じられ、怖かったです(苦笑)。他にも、ヤクザや殺し屋のエピソードなど癖の強いキャラが勢揃いしているので、お気に入りのエピソードを探すのもオススメです。
マリコを演じた伊藤沙莉はバーの店主兼探偵役がとてもハマッています。そして、マリコの恋人で忍者のMASAYAを演じた竹野内豊の活躍も見逃せません。本作ではこの2人の過去もキーとなっており、竹野内豊の忍者シーンは思わずクスッと笑ってしまう場面もあります。
実在する歌舞伎町が舞台となっている点では現実味もありつつ、宇宙人など少々現実離れした設定もあり、さまざまな角度から楽しむことができる作品です。アンダーグラウンドな世界を覗き見する感覚でご覧ください。
物語は、マリコの探偵業と、マリコを取り巻く人物達の切なくも可笑しい運命が描かれており、実際にあり得そうなエピソードがあるので、デートで観て参考にするのもアリです。また、マリコとMASAYAの恋愛も少し描かれており、2人の出会いのエピソードにはキュンとします。ただ、他のエピソードではホストに恋をしてしまう女性の姿も描かれているので、そういった場面は反面教師として観て欲しいと思います。
歌舞伎町が舞台となっており、登場人物もキャバ嬢やホスト、殺し屋などで、大人の世界が描かれているので、せめて中学生くらいになってから観てください。宇宙人や忍者など少々突飛な設定もありますが、マリコを中心としたさまざまな大人達の運命はとてもリアルなので、皆さんは将来同じような運命を辿らないように気をつけてください。
『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』
2023年6月30日より全国公開
東映ビデオ
公式サイト
©2023「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」製作委員会
TEXT by Shamy