作品を観る度思いますが、クリストファー・ノーラン監督の頭の中って、どうなってるんでしょうか?今作も良い意味で、“ややこしい”ストーリーになっていて、何度も観て確かめたくなる衝動に駆られます。今作で描かれる世界に何が起きているのかがまだ語られていないところでも、既に“その現象”は表れているので、最初から細部まで注意しながら観てください。「あれ?」と思うシーンがいくつも出てくるのですが、後半で伏線がどんどん回収されていきます。ただ、「待てよ、これがこうでああでそうなるんだったら、さっきのアレは?」といった感じで、謎が解き明かされる度に次の問いが出てきます。これがノーラン監督作品に引き込まれる所以なんでしょうね。それにしても、よくぞこんなストーリーを組み立てられるなと、本当に驚かされます。スタッフの皆さんの頭もこんがらないんですかね(笑)。とにかく今回も良い脳トレになる作品となっています。
そして、実力派俳優達が勢揃いしているのも魅力的ですが、特に主演のジョン・デヴィッド・ワシントンが良い味を出してます。緊張感のあるシーンの隙間にちょいちょいクスッと笑えるセリフがありますが、ジョンの表現が絶妙なんですよね。そんな本作のユーモアも憎いです。観終わった後は、誰かと話して頭の中を整理したくなるので、ぜひ映画仲間を誘って観てください。
観終わった後に誰かと話したくなる映画なので、ぜひデートでも観て欲しいですが、普段映画を観慣れていないと、どこまでお話についていけるかがちょっと心配です。鑑賞後は同じテンションで話したいという人は、そうできる人を誘うのが無難でしょう。学術的な視点で観る人にとってもすごくおもしろいストーリーだと思うので、普段は一緒に映画を観ないけど、そういう関心は共通しているという人なら、これを機に誘ってみると楽しそうです。頭を使う映画は好きだけど、解釈が苦手で誰かにフォローして欲しいと思う人もいるので、相手がどんなタイプかによって、誘ってみるか検討してください。
キッズやティーンの皆さんは頭が柔らかいので、本作のような頭を使うストーリーもあまり抵抗なく楽しめるのではないでしょうか。この世界の構造におけるユニークな発想からできているストーリーなので、物理学や化学などへの興味が増す人もいるかも知れないですね。丸ごと紐づくような研究はまだ存在しないかも知れませんが、部分的に本作で描かれているような現象に紐づく理論や研究があるか、探してみるのもおもしろそうです。
『TENET テネット』
2020年9月18日より全国公開
ワーナー・ブラザース映画
公式サイト
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TEXT by Myson