16歳の少年が家出をしてやってきた東京で、身寄りがないまま生活を始めようと、アルバイトや住む場所を探したりする様子は、上京した人なら誰もが共感できるはず。町の様子も実在する建物が出てくるし、モノも実在する商品が登場するので、よりリアルに東京の生活を覗いている感覚になれると思います。そういうリアルな描写があってこそ、雨を晴れにできる少女が現れるというファンタジックな描写が映えて、そこに映像美も相まって、この世界観に違和感なく入れます。また新海誠監督作『君の名は。』と同様に、語りべの役割を果たしていると言っても良いRADWIMPSの音楽が、観ている側の気持ちをより高揚させてくれます。『君の名は。』が社会現象を起こすほどの大ヒットだったので、比較する人も多いと思いますが、個人的にはそれぞれの個性よりも、共通点が印象的で、やっぱり新海誠監督はとてもロマンチックなんだなと感じました。ということで私は「男子が好きな女子はこんな感じなのね」という視点で今作も観てしまいましたが、ピュアな心を持った若者ならばもっと素直に楽しめるはず(苦笑)。あと心残りは、あそこまでして家でしてきた帆高の背景についてもう少し詳細を知りたかったなというところですが、そこも好みが分かれるところなのかも知れません。とはいえ全体的にはとても観やすいストーリーで、とにかく映像がすごく綺麗なので、大きなスクリーンで観る価値を感じられる作品です。
ティーンエイジャーの葛藤と淡い恋心を描いたストーリーで、気まずいところはなく、若いカップルのデートにオススメの作品です。世界がどうなろうと君を救いたいという超ロマンチックな思いが描かれているので、付き合いたての若いカップルはそのムードに便乗してさらに盛り上がってください。
主人公がティーンなので、等身大で感情移入できるポイントが多くあるでしょう。現実にある世界を舞台にしている点で身近なストーリーに感じられつつ、人知を超えた能力を使い、人に必要とされるという設定はある意味ヒーローものとも言えるので、映画を観る醍醐味が感じられる作品になっていると思います。
『天気の子』
2019年7月19日より全国公開
東宝
公式サイト
© 2019「天気の子」製作委員会
TEXT by Myson