9歳で出会い、共に育ったマーティンとドヴィドル。やがて将来有望なヴァイオリニストとして成長したドヴィドルは、デビューコンサートの日に突然姿を消してしまいます。本作ではそんなドヴィドルの失踪の秘密や、過去のマーティンとドヴィドルの関係性、彼らを取り囲む人間関係などが明かされていきます。ヴァイオリンの演奏シーンが随所で登場しますが、がっつり音楽映画というよりは人間ドラマが中心なので、どんな人でも親しみやすい作品だと思います。
キャストは、大人になったマーティンとドヴィドルをティム・ロスとクライヴ・オーウェンが演じる他、少年期をルーク・ドイルとミシャ・ハンドリー、青年期をジョナ・ハウアー=キング、ジェラン・ハウエルが演じ、それぞれ印象に残る演技を披露しています。第二次世界大戦下という時代性も深く関係している物語で、時には繊細で緊張感あふれるシーンもあるのですが、ベテラン俳優勢に負けないくらい若手キャスト陣も見事に演じきっているのでぜひご注目ください。
ドヴィドルが失踪した理由は何なのかが少しずつ明かされていく展開はとても引き込まれますし、最後まで飽きることなく観られます。ぜひマーティンとドヴィドルに感情移入しながらご覧ください。
恋愛要素はほぼありませんが、気まずくなるシーンなどもなく、人間ドラマとして楽しめるのでデートで観るのもアリです。また、マーティンとドヴィドルの兄弟のような友情関係も映し出されているので、鑑賞後はお互いの友人について話したり、これを機に紹介するのも良いと思います。
少年期と青年期のマーティンとドヴィドルの友情関係に皆さんも共感しながら観られると思います。特に少年期の彼らの出会いや、秘密基地のような場所でのやり取りはとても親近感を感じるのではないでしょうか。ティーンの場合は、時代背景や2人を取り囲む人間関係にも注目しながら観ると、より登場人物の心情を理解することができ、自分の人間関係を振り返るきっかけにもなりそうです。
『天才ヴァイオリニストと消えた旋律』
2021年12月3日より全国公開
キノフィルムズ
公式サイト
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TEXT by Shamy