本作は、あるカップルの結婚前夜と離婚前夜という2つの時間軸を行き来しながら、愛と人生を描いたミュージカル映画となっています。もとは舞台作品で、その製作15年を記念し、新バージョンとして映画化されたそうです。ミュージカル界で活躍するサマンサ・バークスとラミン・カリムルーがカップル役を演じており、本作でも見事な歌声と演技を披露しています。
2つの時間軸を行き来する展開は、キャサリン(サマンサ・バークス)とビル(ラミン・カリムルー)がそれぞれ頭の中で昔を回想している様子にリンクしていて、観ている側にも2人の複雑な心境が伝わってきます。結婚前夜という幸せの絶頂期が映ったと思ったら、2人が口論をする姿も映し出されるので、「あんなに素敵な関係だったのに…」と、切なくなります。でも、結婚をして年月が経ち、気がついたら夫婦関係が変わってしまい離婚の危機に陥るということは現実でもあり得ることなので、キャサリンとビルの心情に共感できる方も多いのではないでしょうか。
歌のシーンが豊富で本場のミュージカルスター達が登場しているという点は、ミュージカルファンにとって嬉しいポイントだと思います。友人などと観て結婚観や夫婦観について話し合うのも盛り上がりそうです。


キャサリンとビルの関係を観て、自分達の恋愛を振り返るきっかけにできそうです。キャサリンとビルの場合は結婚をして10年が経っていて、子どももいます。2人がどうして離婚の危機に陥ったのかは本編をご確認いただくとして、10年という年月が2人にどんな影響を与えたのかに注目して欲しいと思います。結婚は、結婚することだけがゴールではなく、その先にもお互いの人生が続くということも感じるはずです。


ミュージカル映画だと思って楽しい気持ちで観ると、大人のカップルの複雑な関係に驚くと思います。ティーンの場合は将来の参考としてご覧ください。今はキャサリンとビルの気持ちを理解しづらい部分があるかもしれませんが、大人になってから改めて観直すとまた違う発見があるかもしれません。

『トゥモロー・モーニング』
2022年12月16日より全国公開
セテラ・インターナショナル
公式サイト
©Tomorrow Morning UK Ltd. and Visualize Films Ltd. Exclusively licensed to TAMT Co., Ltd. for Japan
TEXT by Shamy