原作コミックを知らないと、「とんかつとDJってどういうこと?」って思いますよね。私もそうでした。でも設定上、意外なほどストレートにとんかつとDJが関連していて、それがユニークな展開を生み出します。DJという職業そのものは謎が多く、「言われてみればDJってどうやってなるんだろう?」とつかみどころのない部分を感じますが、そういう一般庶民の感覚を持って観るほど、主人公に近い目線で物語に入っていけると思います。また、主人公がとんかつ屋の3代目という現実的な立場であるというギャップが親近感を持たせてくれて、やりたいことが見つからない若者や、逆に将来の選択肢がありながらその道に進むべきかわからない若者の心を代弁してくれていると言えるでしょう。
主人公をはじめ、その仲間達のキャラクターも立っていて、どこか昭和の香りを漂わせているので、見た目とは違って大人も楽しめる部分があると思います。あと個人的に、途中何気なく踊りだす北村匠海のダンスが上手すぎて釘付けになりました。とんかつ屋のユニフォームをあんなにオシャレに着こなせるのも彼だからだと思います(笑)。俳優としての北村匠海、アーティストとしての北村匠海、どちらも堪能してください。そして、伊藤健太郎が美味しい役(笑)。めちゃめちゃクールでカッコ良いキャラクターを演じていますが、なぜか今回彼の声のカッコ良さを改めて実感しました。そんな俳優達の魅力も詰まっているので、女子の皆さんは本作で栄養補給をしてください。
とんかつがめちゃめちゃ美味しそうに映るし、音でも美味しさが伝わってくるので、お腹を空かせて本作を観た後は、ぜひとんかつ屋で一緒にご飯を食べてください。気楽に観られる内容で、ラブストーリーの要素も爽やかに描かれています。初デートでもオーケーで、特に音楽に詳しくなくても大丈夫です。友達以上恋人未満でも観やすいですよ。
なんとなく将来のことを考えながら、はっきりととやりたいことが見つからないティーンの皆さんには特に身近に感じるストーリーです。そして、主人公が未知の世界に飛び込み、新しいことに挑戦する姿を描いているので、元気や勇気をもらえます。支えてくれる友達との友情にも共感できて、その大切さも実感できるでしょう。また親子関係も1つの大切なテーマになっているので、親子で観ても、友達と観ても楽しいですよ。
『とんかつDJアゲ太郎』
2020年10月30日より全国公開
ワーナー・ブラザース映画
公式サイト
© 2020イーピャオ・小山ゆうじろう/集英社・映画「とんかつDJアゲ太郎」製作委員会
TEXT by Myson