REVIEW

藁にもすがる獣たち

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『藁にもすがる獣たち』ペ・ソンウ

ロッカーに預けられた大金を巡って、人々の運命が交錯するストーリー。曽根圭介の著書「藁にもすがる獣たち」を原作に、短編やドキュメンタリーで経験を積んだキム・ヨンフン監督が映画化。キム・ヨンフン監督は本作が長編デビュー作ですが、見事な演出をしています。
登場人物は職業や環境がバラバラですが、お金に困っているというのは共通しています。始めはそれぞれの日常が映し出され、皆どんどん切羽詰まった状況に陥っていきます。それが徐々にロッカーに置かれた大金にまつわるエピソードに繋がっていき、クライッマックスでは二転三転する展開が見どころとなっています。悲壮感が漂うキャラクター、欲望にまみれたキャラクター、地道に生きながらも窮地に追い込まれて暴走するキャラクターなど、いろいろなタイプがいるからこそ、読めない展開になっていて、窮地に立たされているからこそどんな人間でも何をしでかすかわからないスリルが満載です。
チョン・ドヨン、チョン・ウソン、ペ・ソンウなど実力派俳優の演技も見もの。後半に入ると、緊張感がグッと増して、あるキャストの怪演が観る者を一層惹きつけます。クライマックスに近づくにつれて怖い展開も出てきて、韓国映画独特のパンチ力も感じます。クライマックスの疾走感とオチも良い感じのコントラストになっていて、ある種の爽快感が味わえる点でジェットコースタームービーともいえそうです。

デート向き映画判定
映画『藁にもすがる獣たち』シン・ヒョンビン/チョン・ガラム

本作で出てくる男女関係はほとんどがドロドロ、サバサバしていて、ロマンチックなムードは期待できません(笑)。でも、テンポよく展開し、緩急が上手に入っているので途中で退屈することなく、緊張感が高まるシーンもビジュアルより音でリアルに演出されている分、誰でも観やすくなっています。映画を観終わった後は感想を言い合うも良し、さらっと次の予定に移っても良しなので、週末のデートのメニューの1つに加えるのもアリでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『藁にもすがる獣たち』チョン・ウソン

借金、DV、失踪、殺人など、テーマが物々しいので、キッズは大きくなってから観るほうがよいでしょう。韓国映画のテンションを味わうには良い作品なので、映画に目覚めた中高生は、韓国映画鑑賞デビューにぜひ観てみてください。原作は日本の小説なので、本を読むのが好きな人は、原作と映画で比較してみてもおもしろそうです。

映画『藁にもすがる獣たち』チョン・ドヨン/チョン・ウソン/ペ・ソンウ/チョン・マンシク/チン・ギョン/シン・ヒョンビン/チョン・ガラム/ユン・ヨジョン

『藁にもすがる獣たち』
2021年2月19日より全国公開
クロックワークス
公式サイト

Copyright © 2020 MegaboxJoongAng PLUS M & B.A. ENTERTAINMENT CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED. ©曽根圭介/講談社

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『マイ・インターン』アン・ハサウェイ 映画好きが推すイイ俳優ランキング【海外40代編】総合

今回は、海外40代(1975年から1984生まれ)のイイ俳優の中から、昨今活躍が目覚ましい方を編集部の独断で80名選抜し、正式部員の皆さんに投票していただきました。今回はどんな結果になったのでしょうか?

映画『ザ・バイクライダーズ』オースティン・バトラー ザ・バイクライダーズ【レビュー】

“バイクライダー=バイク乗り”とは、どんな人物をいうのでしょうか…

Netflix映画『マイケル・ジョーダン:ラストダンス』マイケル・ジョーダン 心が弾む!バスケットボール映画特集

バスケットボール人気が出てきているのを感じる昨今。…今回は、バスケットボールにちなんだ作品をズラリとご紹介します。

映画『リュミエール!リュミエール!』 リュミエール!リュミエール!【レビュー】

映画の始まりが述べられる際、トーマス・エジソンと、リュミエール兄弟(ルイとオーギュスト)の名前がよく挙がります…

映画『デューン 砂の惑星PART2』ゼンデイヤ ゼンデイヤ【ギャラリー/出演作一覧】

1996年9月1日生まれ。アメリカ出身。

映画『チネチッタで会いましょう』ナンニ・モレッティ/マチュー・アマルリック チネチッタで会いましょう【レビュー】

タイトルに入っている“チネチッタ”とは…

Netflixドラマ『さよならのつづき』有村架純/坂口健太郎 ポッドキャスト【だからワタシ達は映画が好き22】2024年11月後半「気になる映画とオススメ映画」

今回は、2024年11月後半に劇場公開される邦画、洋画、Netflixの最新ドラマについてしゃべっています。

映画『Back to Black エイミーのすべて』マリサ・アベラ Back to Black エイミーのすべて【レビュー】

類稀な才能を持つ歌姫エイミー・ワインハウスは、2011年7月、27歳の若さで逝去…

映画『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』川栄李奈さんインタビュー 『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』川栄李奈さんインタビュー

真面目な公務員と天才詐欺師チームが脱税王との一大バトルを繰り広げるクライムエンタテインメント『アン…

映画『ドリーム・シナリオ』ニコラス・ケイジ ドリーム・シナリオ【レビュー】

ニコラス・ケイジ主演、『ミッドサマー』のアリ・アスターとA24が製作、さらに監督と脚本は『シック・オブ・マイセルフ』のクリストファー・ボルグリと聞けば、観ないわけには…

部活・イベント

  1. 【ARUARU海ドラDiner】サムライデザート(カップデザート)
  2. 【ARUARU海ドラDiner】トーキョー女子映画部 × Mixalive TOKYO × SHIDAX
  3. 【ARUARU海ドラDiner】サポーター集会:パンチボール(パーティサイズ)
  4. 【ARUARU海ドラDiner】プレオープン
  5. 「ARUARU海ドラDiner」202303トークゲスト集合

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『マイ・インターン』アン・ハサウェイ 映画好きが推すイイ俳優ランキング【海外40代編】総合

今回は、海外40代(1975年から1984生まれ)のイイ俳優の中から、昨今活躍が目覚ましい方を編集部の独断で80名選抜し、正式部員の皆さんに投票していただきました。今回はどんな結果になったのでしょうか?

映画『淪落の人』アンソニー・ウォン/クリセル・コンサンジ 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.2

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメンVS悪魔軍団~』ムロツヨシ 映画好きが推すイイ俳優ランキング【国内40代編】個性部門

個性豊かな俳優が揃うなか、今回はどの俳優が上位にランクインしたのでしょうか?

REVIEW

  1. 映画『ザ・バイクライダーズ』オースティン・バトラー
  2. 映画『リュミエール!リュミエール!』
  3. 映画『チネチッタで会いましょう』ナンニ・モレッティ/マチュー・アマルリック
  4. 映画『Back to Black エイミーのすべて』マリサ・アベラ
  5. 映画『ドリーム・シナリオ』ニコラス・ケイジ

PRESENT

  1. 映画『バグダッド・カフェ 4Kレストア』マリアンネ・ゼーゲブレヒト/CCH・パウンダー
  2. 映画『型破りな教室』エウヘニオ・デルベス
  3. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP