REVIEW
染井為人著の原作小説は、「クズとワルしか出てこない」と話題を呼び、第37回横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞しています。映画化の際には、原作との相違点が生まれたものの、原作者の染井氏は脚本を読み快く了承されたとのことです(映画公式資料)。

主人公は、市役所に勤め、生活保護受給者を担当するケースワーカーの佐々木守(北村匠海)です。佐々木はある日、同僚に不正の疑いがあると知らされ、真相究明を手伝うことになります。登場人物がそれぞれに抱える状況がどんな風に絡んでいくのかは観てのお楽しみとして、佐々木がどんどん良からぬ方向に巻き込まれていくスリルを味わってください。

確かに本作には悪人が多数出てきます。一方で、まともな生活ができていれば真面目に生きているはずの人物も、極限まで追い込まれた末に悪事を働いてしまいます。もちろん、悪事を働いてはいけないという前提はありつつ、本人の力でどうにもならなくなった時、人は壊れてしまうという現実があり、経済的困窮はさまざまな意味で生き死にの問題と密接に繋がっていることが想像できます。

本作は、ほぼダークな内容となっていながら、希望も描かれています。ラストには少し救いがあり、反面教師として考えさせられる面もあるので、ぜひ観てみてください。
デート向き映画判定

悪人が複数出てきて弱者につけ込む展開は、観ていて気持ちが良いものではないので、デートで観てムードが盛り上がることはありません。ただ、この状況をどう捉えるかに人間性や価値観が出てくると思うと、これから本気で交際しようか悩んでいる相手と敢えて一緒に観て感想を述べ合うと、自分との相性が占えるかもしれません。
キッズ&ティーン向き映画判定

本作を観ると、見るからに悪い人もいつつ、一見普通で害がなさそうな人も出てきます。だから、善人か悪人かを見抜く際に、見た目やどこに務めているかということ、肩書きもアテにならないとわかるでしょう。生活保護に関する問題も垣間見ることができるので、社会勉強としても観られます。PG-12で小学生は大人と一緒なら観られるものの、内容や描写からして、せめて中学生以上になってから観るほうが良さそうです。

『悪い夏』
2025年3月20日より全国公開
PG-12
クロックワークス
公式サイト
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© 2025 映画「悪い夏」製作委員会
TEXT by Myson
関連作
「悪い夏」染井為人 著/角川文庫/KADOKAWA刊
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情報は2025年3月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。
