芸人、役者、作家と幅広いジャンルで活躍するつぶやきシローによる著書を『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』『神様はバリにいる』などの作品を手掛けてきた李闘士男監督が映画化した本作。物語の主人公はスーパーの主任として働き、店長昇進を目指す春男(安田顕)で、彼が仕事や家庭内で起こる出来事に奮闘する様子が描かれています。仕事や家族がテーマになっている点では、どんな方でも親しみやすく、一見“いい人”な春男の脳内で繰り広げられる戦いに共感できるのも本作のポイントだと思います。
今作で安田顕はごく一般的な中年男性を好演しており、シリアスなシーンやコメディタッチなシーンも多い作品ですが、安田顕が思いっきり演じていることで春男というキャラクターに一層親近感を与えています。その他にも小池栄子、岡田結実、ファーストサマーウイカ、伊集院光、SWAY(劇団EXILE)、金子大地らが出演し、本作を彩っています。個人的にはファーストサマーウイカが普段テレビなどで見かける姿とは全く違うキャラクターに扮していてとても驚きました。その他の俳優陣も個性的なキャラクターを演じているので注目です。
主人公の職場や家庭内での絶妙な立ち位置が上手く表現されている点は、誰もが共感できると思いますし、良かれと思ってやっていることが予想外の方向に展開していってしまう切なさと可笑しさのバランスも見事な作品です。主人公と同じように日々小さなストレスを抱えている方には特にオススメです。
春男を中心とした人間ドラマが映し出されていて、気まずいシーンなどもないので、どんなデートで観てもOKです。職場や家庭内に対する春男の本音が赤裸々に語られているので、これを機にお互いの仕事や家族の話をするのも良いと思います。また、春男達夫婦の恋愛エピソードも登場するので、将来結婚を考えているカップルの場合はぜひ参考にしてみてください。
皆さんの場合は春男の子ども達目線で観られるのではないでしょうか。子ども達の何気ない行動や言動が実はお父さんの心に刺さっているという描写もあるので、家庭内で普段ご自身がどんな態度をしているのか、これを機に振り返ってみて欲しいと思います。
『私はいったい、何と闘っているのか』
2021年12月17日より全国公開
日活、東京テアトル
公式サイト
TEXT by Shamy
©2021 つぶやきシロー・ホリプロ・小学館/闘う製作委員