個性派俳優ポール・ダノが、監督、脚本、製作を務め、私生活でもパートナーであるゾーイ・カザンが共同脚本、製作を務めています。2人には2018年に第一子が生まれたようで、そんな中、こういった作品を作ったという部分で余計に感慨深いものがあります。
のどかな街で一見ゆっくりと時が過ぎているなか、ある一家には個人的な大事件が起きていて、その様子を淡々と描いているからこそ、すごくシュールに映ります。さらに“ワイルドライフ”の意味するところを知ると、とても皮肉な運命を描いているように思えますが、不器用な人間がもがき、何とか幸せになろうとする姿には共感できて、暖かみも感じます。家族関係が混沌としていくなかで、子どもと親の関係が逆転していく様は胸が締め付けられる部分もありますが、大人だって人間で、完璧ではないというところがとてもリアルに描かれています。綺麗事ではなく、家族が一度吐き出すものを吐き出した時にどうなるのかという行く末を見届けてください。ジェイク・ギレンホール、キャリー・マリガンの名演はもちろん、息子役を演じたエド・オクセンボールドの演技も本当に素晴らしいので、ぜひ彼にもご注目を!
夫婦関係のもつれを描いていて、ロマンチックな展開よりも、辛くなる展開がメインなので、デート向きではありません。ただ、子どもの目線で両親をどう見ているのかという部分がリアルに描かれているので、お子さんのいる夫婦は敢えて一緒に観て、親同士で子どもについて語り合うきっかけにするのはアリだと思います。
子どもとしてはあまり目にしたくない親の一面を見てしまい、子どもながらに家族を保とうとするストーリーです。状況は違えど誰もが一度は、主人公ジョーのような気持ちになったことがあると思うので、皆さんの世代が観ても共感できる部分は多いと思います。家族でお互いに愛があるからこそ辛くなるという状況を客観視できるので、何かしら得るものはある作品だと思います。
『ワイルドライフ』
2019年7月5日より全国順次公開
PG-12
キノフィルムズ
公式サイト
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TEXT by Myson