個人的にむちゃくちゃ刺さりました〜。ベン・スティラーが演じた主人公ブラッドの気持ち、オースティン・エイブラムスが演じた息子トロイの言葉、その両方を私もこれまでに何度も感じたことがあります。若かりし頃に抱いていた理想は、大人になるとどんどん現実という結果となって自分の前に突きつけられます。最初は仕事の意義や意味に重きを置いていられたとしても、いろいろな経験を積んでいくと、それだけいろいろなことを考えてしまうようになります。これは誰にでもあることで、大人になるといつかは自分がやっていることに疑問や不安を抱いてしまう時期があると思います。そして、隣の芝生は青く見えて勝手に劣等感や敗北感を覚えてしまう。主人公のブラッドはまさにその状態です。本作には、大人が観てドキッとするくらい、子ども達、若者達は大人の汚い一面、みっともない一面を見ていて、一瞬にして尊敬は軽蔑に変わる様子も描かれています。私も身に覚えがありますが(苦笑)、いろいろな方にみっともない姿をたくさん見せてしまったなと、本作を観ていて辛くなりました。でも、この物語はそれだけで終わらないから素敵なのです。
彼が最終的にどうなるのかは本編でご覧いただくとして、私にはクライマックスのシーンで放たれるトロイの言葉にすべてが集約されているように感じました。私自身もトロイと同じ年頃に全く同じことを考えたことがあって、あの時あの価値観が持てたからこそ今までなんとか持ちこたえてこられたと思っています。だから、本作を観て改めて大切なことを思い出させてもらい、心にズシ〜ンときました。本作に登場する若者達の考え、大人のブラッドの考え、それぞれに頷けるものがあり、自分の人生を見つめ直すきっかけを与えてくれる作品です。若い方は自分の将来像に思いを巡らせることができるし、大人は疲れた心を癒されるので、幅広い層に観て欲しいです。
ブラッドの精神状態がかなり不安定で、彼の頭の中、心の中は乱れています。そんなブラッドの複雑な思いが独白となって飛び交うなかで夫婦関係にも話題が及ぶので、カップルで観ると微妙な空気が流れる時があるかもしれません(苦笑)。自分自身をじっくり振り返るのにオススメの作品なので、どちらかというと1人で観るほうが向いていると思います。
親に対する子どもの視線、若者が世の中の大人を見る視線がリアルに描かれていて、特にティーンの皆さんは主人公の息子のトロイに共感すると思います。本作を観ると、大人って大変だなと思ってしまうかもしれませんが、今は大人の気持ちや事情をわかろうとしなくても良いと思います。大人になれば嫌でもブラッドの気持ちはわかるはずなので、今は素直に感じる気持ちを大事にして、大人になっても忘れないでください。
『47歳 人生のステータス』
2021年6月11日よりMIRAIL(ミレール)、Amazon Prime Video、U-NEXTにてオンライン上映
STAR CHANNEL MOVIES
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TEXT by Myson