原作はコミックス全20巻までの全世界累計発行部数が2500万部を超えるベストセラーなので、どんなお話かを知っていて本作を観る人にとっては、どんな風に実写化されているのかがまず気になるところだと思いますが、原作を知らない人にとっては、冒頭の幸福感いっぱいのシーンから、その後のストーリーのギャップに驚かされることでしょう。ダークファンタジーなので、ビジュアル的に気持ち悪いキャラクターも登場しますが、1番気味が悪いのはこの世界観で、それこそが本作の魅力の1つとなっています。また、ピュアな子ども達の可愛らしさと、北川景子や渡辺直美が演じる大人キャラクターの不気味さのギャップが効いていて、おとぎ話的なキラキラ感とゾクゾク感が両方備わっています。特に渡辺直美が演じるキャラクターは、子どもが観ると怖いのかもしれませんが、大人が観ると笑えてくる部分もあって、それぞれに楽しみ方があるように思います。外の世界を知らない子ども達が、監視の厳しい状況の下、どうやって危機を脱するのか、頭脳戦も繰り広げられるので、推理しながら観て楽しんでください。
子ども達が主人公かつ演出のテンション的にも、どちらかというと子どもや若い人向けかなと思います。子ども達が置かれたシチュエーションは怖いですが、ホラーのようなシーンはほぼありません。それらしきシーンが出てきてもファンタジックに描かれているので、多くの人にとって許容範囲でしょう。鑑賞後はどうやって脱出すると思って観ていたかなど、会話のネタも見つけられると思います。
キッズやティーンの皆さんが好みそうな要素がたくさんあります。また、さまざまな強みを持つキャラクターが出てくるので、自分は誰のタイプか考えなら観るとより感情移入できると思います。原作コミックを読んでいる人はもちろん、全く知らない人も本作を観ると、もっと背景を知りたいと思うかもしれません。映画で描かれていない部分も気になってくると思うので、映画を観てからコミックで詳細を読むのもアリですね。
『約束のネバーランド』
2020年12月18日より全国公開
東宝
公式サイト
©白井カイウ・出水ぽすか/集英社 ©2020 映画「約束のネバーランド」製作委員会
TEXT by Myson