本作はお互いに惹かれながらもすれ違う2人の男女の30年間を、3月の出来事を通して綴っていきます。なぜ30年間もすれ違うのかというところにドラマがあるので、詳細は伏せるとして、ラブストーリーでありながら、2人の主人公の成長物語でもあるので、人間としての成長と、ふさわしい人との関係を育むタイミングについての相関性みたいなものを感じるストーリーになっています。恋する本人達にとっては、お互い好きとわかった時点からずっと一緒に成長できれば良いのでしょうが、もしかしたらつかず離れずで別々な道を歩んで、いろいろな経験をするからこそ、大人になってからうまくいくのかも知れません。そういった点からも良い意味でどっぷりラブストーリーという感じではない分、人間ドラマとして観るのもアリだと思います。
30年間に及ぶラブストーリーなので、初々しい高校時代の恋愛から大人の恋愛まで描かれていて、ロマンチックではありますが、やはり30年間のあいだにいろいろあるので、片方もしくは両方が似たような状況に置かれていた場合は、ちょっといろいろ思い出しちゃって、隣で映画を一緒に観ている相手とは違う人に意識が向いてしまう可能性があります(苦笑)。まだ心に引きずっている恋愛がある人は、友達と観るか、1人で観るほうが気兼ねなく観られそうです。今学生で主人公のように思いを秘めている人にとっては、「今言わなきゃ」と背中を押してくれるきっかけになりそうなので、相手を誘ってみてはどうでしょうか。
波瑠が演じる弥生は、とても正義感が強く、友達思いです。学校でよくありそうな嫌がらせにどう立ち向かうのか、その姿を観るだけでも元気が湧いてくるでしょう。実際弥生のような行動をそのまま真似するのはハードルが高いかも知れませんが、自分はどういう人間になりたいか、想像してみるだけでも有意義だと思います。ラブストーリーとしても、今好きな人がいる人にとっては、未来をいろいろ想像できて、気持ちを伝える大切さを実感できます。恋愛はタイミングが大事だということは大人になってからわかると思いますが、本作を観て“予習”をしておくと、タイミングを逃さずにいられるかも知れませんね。
『弥生、三月 -君を愛した30年-』
2020年3月20日より全国公開
東宝
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TEXT by Myson