本作は、アニメオタクの主人公とある女の子の恋愛物語を中心に貧困家庭や孤独、引きこもりなどの社会問題も盛り込まれた作品となっています。舞台は台湾ですが、主人公が日本のアニメオタクという設定であることから、日本語のアニメも登場するので、日本人としては親近感が湧きます。また、アニメファン同士で集まって会話をする様子なども観られるので、日本のオタク文化と比較してみるのもおもしろいと思います。
主人公のアナンが同じアニメファンの女の子イチゴと出会い恋をし…と一見普通の恋愛物語なのですが、物語が進むに連れまさかの方向に展開していきます(笑)。ネタバレになるので詳細は控えますが、恋愛物語と社会問題を上手く組み合わせて1本の映画として完成させたジャン・ジンシェン監督の手腕も感じます。また、イチゴの小悪魔っぷりも全開で、恋愛初心者のアナンが彼女にどんどんハマっていき、振り回される様子も本作の見どころです。彼の純粋な恋愛がどんな運命を招くのか、最後までハラハラしながらご覧ください。
主人公と同様にアニメ好きのカップルなら、観賞後に好きなアニメのトークで盛り上がることができそうです。もし彼と同じように小悪魔タイプの人に恋をしている場合は、ハッとする場面もあるかもしれません。恋をすることはとても素敵なことですが、彼のように相手に振り回され過ぎないよう、冷静な判断を忘れないようにしてください。
恋愛やアニメというキーワードからだと楽しい雰囲気を感じられますが、本作には貧困や引きこもりなどのシリアスなテーマも盛り込まれているので、キッズは中学生くらいになってから観たほうが、物語の理解がより深まりそうです。ティーンの場合は、主人公の恋愛に注目しつつ、どんな展開が待ち受けるのか自分なりに予想しながら観てください。何かにハマることは決して悪いことではありませんが、エスカレートして問題を起こしそうになった時は、ぜひ本作の主人公を思い出して欲しいと思います。
『よい子の殺人犯』
2021年9月3日より DVDレンタル、発売開始
株式会社ディメンション
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TEXT by Shamy