小松菜奈が演じる茉莉(まつり)と同じく、難病を患い余命10年を生きた小説家、小坂流加による同名小説を映画化した本作は、現在までに65万部を超えるベストセラーとなっています。
不治の病を抱える20歳の茉莉は余命10年と知らされ、行動を制限された日々を送っています。そんなある日、茉莉は同窓会の知らせを受け取り出席します。そして同窓会から何日か経ち、茉莉は同級生の真部和人(坂口健太郎)と予想もしない形で再び会うことになるのですが、生きる意味を見失った和人と、残された日々を生きる茉莉は急接近していきます。
別れが待っているとわかっている茉莉は恋をしないと決めていて、和人と一定の距離を保とうとします。相思相愛とわかっているのになかなか恋人になれない2人の姿を観ているとすごく切なくなるのですが、その後の展開もまた一層切なくて、恋愛の切なさはもちろん、限られた命をどう生きるか悩む茉莉の姿、茉莉のことを守りたいと思う和人の姿に涙が止まりません。
また、茉莉と家族との会話の中にもいくつも印象的な言葉があり、それぞれのキャラクターの心情がヒシヒシと伝わってきて、胸が苦しくなります。終始涙を抑えられない物語となっていますが、私は原作のことを知らなかったので、エンディングロールでハッと気付いて、一層涙が込み上げてきました。悲しいストーリーではありますが、愛と優しさに溢れています。ぜひ多くの方に観て欲しい1作です。
自由に恋愛ができるってすごく有り難いことなんだと実感できて、お互いの存在を一層愛おしく思えるはずです。友達以上恋人未満の2人は、いろいろなことを考えながら観ることになると思いますが、一歩踏み出す勇気をもらえるのではないでしょうか。本当に大好きな人と観てください。
愛する人のことを1番に考えるとはどういうことか考えさせられるので、皆さんの恋愛観にも何らかの影響がありそうです。でもこんな風に好きになれる人ができるのはとても素敵なことだと思えるでしょう。家族の愛情もいっぱい感じられるストーリーで、同じ状況ではなくても普段いろいろな人に言われていることの真意を想像するきっかけにできるところがあると思います。友達と観るのも良し、親子で観るのも良しです。
『余命10年』
2022年3月4日より全国公開
ワーナー・ブラザース映画
公式サイト
© 2022映画「余命10年」製作委員会
TEXT by Myson