今回は、アメキャラ系ライターの杉山すぴ豊さんにインタビューをさせて頂きました。映画『X-MEN:ダーク・フェニックス』など映画版のお話も含めて、いろいろとお聞きしました。映画版の魅力、ドラマ版の魅力を改めてお伺いし、ドラマはますます続きを観るのが楽しみになりました!
<PROFILE>
杉山すぴ豊(すぎやま すぴ ゆたか)
アメキャラ系ライターの肩書きで、アメコミ映画についてのコラムを雑誌や映画パンフレットに展開。雑誌「スクリーン」「ヤングアニマル」などに連載を持つ。また、映画『スパイダーマン』から『アベンジャーズ』など、映画プロモーションに携わる。伊藤英明主演のアクション・フィギュア映画『ブリスター!』の原案者であり、六本木ヒルズで開催された“スパイダーマン展”のプロデューサーほか、ハリウッド俳優の来日インタビューや、【東京コミコン】のステージMCなども担当。さらに映画『ガメラ3:邪神(イリス)誕生』のタイトルも考案した。映画『スパイダーマン:ホーム・カミング』『ヴェノム』の日本語吹替版の監修も担当するなど多岐にわたって活躍。
あなたも思い当たるはず。“X-MEN”好きに共通する特徴とは?
マイソン:
シーズン1を観た時に1番魅力的だなと思ったポイントはどんなところでしょうか?
杉山すぴ豊さん:
まず“X-MEN”って映画のイメージがあるのですが、意外にドラマに向いている素材だなと思いました。もう1つは、人間とミュータントのディスカッションドラマみたいなところがあって、一種の群像劇というところです。映画が悪いという意味ではなく、映画ではどう考えてもヒュー・ジャックマンが主役ですが、ドラマはそういう意味ですごく広がっているなと思いました。これは意外だったんですけど、映画の『X-MEN』を観ている時は、ミュータントに思い入れがあるんですが、このドラマは人間の気持ちもよくわかるんですよね。ターナーの気持ちもよくわかって、これはシーズン2の感想にも繋がるんですけど、本当にミュータントがこの世界にいたら、ピュリファイアーズ(人間が結成した組織)に入っているかも知れないなって思う時があります。要するにあんな放火人間とか内蔵ひっくり返し女が、側にいたらやっぱり子どもに近づけさせるかって思うので(笑)。そう思うとドラマとして密度が濃いなと、そういうところが良いですよね。
マイソン:
そうですよね。1人ずつのストーリーをちゃんと掘り下げてますよね。
杉山すぴ豊さん:
そうですね。観ている人はいろいろな人に感情移入ができるんじゃないかなと思います。
マイソン:
ドラマ版で1番好きなキャラクターは誰ですか?
杉山すぴ豊さん:
キャラとしても女性としてもポラリスが1番好きですね。彼女はシーズン1では妊娠していて、2では母になって、殺伐としたあの状況で1番命を預かっているし、めちゃくちゃカッコ良いですよね。
マイソン:
映画版だとどのキャラがお好きですか?
杉山すぴ豊さん:
映画版だと新3部作になってからは、やっぱりミスティークが1番良いキャラだなと思います。ミスティークって、基本的には美人に化けていれば一生楽に暮らせるのに、敢えてあの格好が私だって生きているところの潔さが何かすごいなって思いますよね。僕がミスティークと付き合っていたら、「ずっと白石美帆の格好して」って言って、ぶち殺されるんだろうなって思います(笑)。最初のシリーズだとやっぱりヒュー・ジャックマンのウルヴァリンが好きですね。カッコ良いし、いつも傷ついているし。今回のドラマのシーズン2で、実はウルヴァリンが着ていたジャケットが出てくるんです。マルコスに殺されちゃう殺し屋がウルヴァリンのジャケットを着ていて、『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』の時の茶色っぽいジャケットを着ているんですよ。
マイソン:
へー!!そこはさすがに気付かなかったです。
杉山すぴ豊さん:
ドラマだとシーズン1の時はマルコスがウルヴァリンっぽいなと思ったんですけど、シーズン2ではジョンがウルヴァリン的なキャラクターですよね。要するにちょっと不死身だったり、好きになる人は皆不幸になるっていう(笑)。
マイソン:
ハハハハ!やっぱりお約束的なところはシリーズもののおもしろさの1つですよね。
杉山すぴ豊さん:
そうですよね。映画もドラマもなんですけど、結局テレパスとか相手の思考を察知できるとか、情報能力を持っているのが1番強いですよね。物理的な破壊力はギリギリで、敵が攻めてこないと何の役にも立たないじゃないですか。ジョンも不死身だけど、ミュータントの所在を察知できたり、ああいうところがすごいなって思いましたね。
マイソン:
ちょっと“X-MEN”からお話が逸れますが、アメコミ作品ってあり過ぎて、相互にも繋がっていたり、同じキャラクターでも世界観や設定が微妙に違っていたり、多くの作品を網羅されている杉山さんは、観る時にどう整理されているのかお聞きしたいです。
杉山すぴ豊さん:
まずアメコミ自体もコミックにいろいろなバージョンがありますが、“X-MEN”は、まずミュータントがいて、人間との共存を守るX-MENのチームがいて、そうじゃないミュータントがいますって、そこのお約束だけ守られていて、そういう意味で言うと同じ原作でも映画版とドラマ版が多少変わっていてもそんなに違和感はないですね。適切な例えではないかも知れませんが、大河ドラマだって、豊臣秀吉のストーリーはよくありますけど、それぞれだいぶ違うじゃないですか。誰の視点で描くかにもよるし、豊臣秀吉を悪役で描く時もあるというように、アメコミにもそういうところがあって、ストーリーはそんなに変わらないんですよね。このドラマも映画版も元ネタは同じでありながら、映画版はわりとX-MENに肩入れして描いてて、ドラマ版はそういう意味ではバランスが良いですよね。逆にとりあえず映画のことは忘れて、ドラマから観ても良いんじゃないかなと思います。
マイソン:
そうですね!で、杉山さんがそもそもアメコミにハマったきっかけは何ですか?
杉山すぴ豊さん:
子どもの時にバットマンとかアメリカのアニメが日本で普通に放送されていて、何となくそれが好きだったんですよね。あと映画を観出した時に、クリストファー・リーヴの『スーパーマン』が良いなと思いました。これは結構深い話で、落ち込んでいる時にアメコミって読むと結構ハマるんですよ。なぜなら人生くらっている人の話ばかりだから(笑)。
マイソン:
確かに!私も以前からすごくアメコミが好きで、やっぱり暗い部分が好きなんです。ただ最近のブームとして、暗いのばかりだと、今の若者にウケないみたいなことも言われていますよね。
杉山すぴ豊さん:
でもひとしきり悩んでいるところが良いなと思いますよね。昔みたいに勧善懲悪ではないというか、結構皆しくじり先生みたいな感じで、そういう人達ばかりが出てくるところが良いなと思います。
マイソン:
やっぱりちょっと影のあるほうが。
杉山すぴ豊さん:
X-MENもそうだし、アベンジャーズも、スーパーマンもそうなんですが、子どもの頃ってすごい力を持っていたら何でも解決できるって思うのですが、大人になると力を持ったところで、何の意味もないことに気付きますよね。例えば、自分が今何か物体を磁力で動かしたりしたところで幸せになれるかって言ったら全くなれないんですよ。だからそういうことを描いている点で、アメコミってすごいなって思います。やっぱりどんな力を持っていても、家族がいたり、そういったことがないと幸せになれないなみたいなところってありますよね。あと、地球を壊せる力を仮に持っていたとしても、何の利用もできないですよね、壊したら困るし(笑)。そういうところがアメコミのおもしろいところですよね。
マイソン:
そんな不条理なところもおもしろいですよね。
杉山すぴ豊さん:
だからこれを人間に置きかえてみると、皆それなりに仕事をしたり、才能があったりもするんですが、それですべて解決できない感じがちょっと身につまされて良いなと思います。
マイソン:
やっぱり大人が観るのと子どもが観るのとでだいぶ違いますね。
杉山すぴ豊さん:
そうですね。深いですよね。
マイソン:
深いですね。では最後に、今までいろいろな見どころを語って頂きましたが、シーズン2の1番の見どころを教えてください。
杉山すぴ豊さん:
シーズン1よりもっと家族のドラマになっていて、シーズン1は人間対ミュータントっていうわかりやすい構図だったのですが、今回はミュータントが二分割して、人間もいてっていうところに、自分の家族がそれぞれ分散しています。そういう意味で言うと、シーズン1よりもドラマとしての密度がすごく濃くなってきて、良い意味で表現とかが過激になり、それぞれのミュータントパワーも熟成して見せ場が増えて、よりハマる内容になっています。自分が少なくともマグニートーの力を持っていたら、Mr.マリックみたいなことをやったり、ショービズとかのほうにパワーを活かしたほうが儲かるのになって思うんですけど、この人達は結構真面目ですよね。あとこれは僕いつも言うんですけど、“X-MEN”が好きな人って、そもそも“X-MEN”っぽい人なんですよ。周りで浮いていたりとか、だから意外とクリエイターが多いんですよ。
マイソン:
ハハハハ、そうかも知れませんね!本日はありがとうございました!
2019年6月7日取材 PHOTO & TEXT by Myson
『ギフテッド 新世代X-MEN誕生』
シーズン1:DVD好評レンタル&発売、デジタル配信中
シーズン2:2019年7月3日レンタル開始&発売、先行デジタル配信中
製作総指揮:ブライアン・シンガー
出演:スティーヴン・モイヤー/エイミー・アッカー/ナタリー・アリン・リンド/パーシー・ハインズ・ホワイト/ショーン・ティール/ジェイミー・チャン/ブレア・レッドフォード/エマ・デュモン/コビー・ベル/グレース・バイヤーズ/スカイラー・サミュエルズ
20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン
未来を託されたはずの新世代X-MEN達が決別してしまい、ポラリスとアンディは、ミュータント理想郷の創造を掲げる過激派組織”インナーサークル”へ加入する。強力なメンバーを仲間に入れることに成功したインナーサークルは、人類へのテロ行為を激化させ、ミュータント同士の超能力戦争に加え、人類とミュータントの存亡を賭けた戦いも勃発し、世界はさらに複雑な状況に陥っていく…。
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