今回は俳優、監督として活躍するカイル・ライドアウトさんにインタビューをさせて頂きました。撮影時にはユニークなポーズで楽しませてくれたライドアウトさん。このユーモアが本作の温かさにも表れています。
<PROFILE>
カイル・ライドアウト
1981年2月23日生まれ、カナダのバンクーバー出身。バンクーバーのランガラカレッジにあるスタジオ58にて本格的に演技と映画制作を学ぶ。2011年の短編映画“Wait for Rain(原題)”では、コミコン国際映画祭で最優秀SF/ファンタジー映画賞を受賞。2015年には、写真家のエドワード・マイブリッジを題材とした“Eadweard(原題、日本未公開)”で長編デビューを飾り、複数の国際映画祭で観客賞を受賞した他、カナダ・スクリーン・アワード、レオ・アワードで脚本賞にノミネートされた。現在バンクーバーを拠点に映画監督、脚本家、俳優として活躍中。俳優としては、TVシリーズ『スーパーナチュラル』『iゾンビ』、映画『ウォークラフト』『デッドプール』などに出演。『リアム16歳、はじめての学校』では、監督、共同脚本を担当し、さらにリアムのおじさん役として出演している。
親子関係は、子どもの恋愛に影響する
マイソン:
リアムは自宅教育ということもあり、近所の子ども達と交流がなく孤立していて、そういう点でファンタジーの世界にいる子どものように見えました。キャラクター設定でこだわった点と、注意した点はどんなところですか?
カイル・ライドアウト監督:
北米では、自宅教育していて友達がいないということはあると思うんですけど、学校に通っていても誰かと繋がりたいとか、でもちょっと緊張する、不安があるっていう彼の気持ちには共感できると思うんですね。リアムや他の人の演出をするにあたっても、コメディになり過ぎず、現実に忠実でありながら、でもそこがおもしろいってなるように気を付けました。
マイソン:
お母さんが過保護だけど、思春期に合わせた社会勉強も息子にさせているところが、ちょっと奔放なキャラクターにも見えました。彼女のキャラクター設定でこだわった点と、あと演じたジュディ・グリアさんのアイデアが入ったシーンなどはありますか?
カイル・ライドアウト監督:
ジュディはとても素晴らしくて、テイク毎にいろいろなアイデアをくれました。彼女はお母さんとしての役柄に対して、実際のお母さんらしく、コメディ過ぎずという姿勢でした。本来なら学校で学ぶセックスやドラッグのことも、母親が自分でリアムに教えるんですけど、それをちょっとぎこちなく、気まずいながらも楽しくなるように気を付けました。“Fuck”という言葉を母親が教えるシーンがあるんですが、あの言葉は本来母親からは出ない言葉です。でも、それを教えるのがすごくユニークだと思いました。そういう部分は、共同脚本のジョシュ・エプスタインとアイデアを出しあって楽しかった部分です。
マイソン:
監督ご自身がもしリアムの立場だったら、どのシーンが一番お母さんからやられるとキツいですか?
カイル・ライドアウト監督:
あり過ぎですね(笑)。ドラッグのこともセックスのことも、本来なら母から学びたくないですし、プロムでお母さんと踊るっていうのも嫌です(笑)。
マイソン:
ハハハハハ(笑)!そうですよね。監督のお母さんがもし彼女みたいだったらどうですか?
カイル・ライドアウト監督:
私自身は母子家庭で4人兄弟だったんですけど、やっぱり母にはハッピーでいて欲しいし、家庭が平和であるようにしていたので、リアムに共感できます。私は4人兄弟の3番目で、兄さん達が反抗していたので、私は波風を立てないようにしてました(笑)。
マイソン:
いかにも下の子という感じですね(笑)。
一同:
ハハハハハ!
マイソン:
義足の女の子アナスタシアのキャラクターが結構強烈でおもしろかったです。お国柄の違いもあるのか、実際にあんなに性的な会話を男女でするものなのかと驚きました。
カイル・ライドアウト監督:
皆がどうかわかりませんが、私も高校生の時は仲の良い女の子と性的なことを話したのは覚えています。
マイソン:
成長物語でありラブコメでもあったんですけど、親子関係と恋愛の成長って、相互作用はあると思いますか?
カイル・ライドアウト監督:
おっしゃる通りこの作品は成長物語で、ロマンティックコメディの要素もあるので、いろいろなジャンルの映画だと思うんですけど、親子関係は恋愛に確実に影響を及ぼすと思います。この物語ではお母さんがすごく過保護なんですけど、リアムはちゃんと女の子とまともな関係を築いていく。それによって、親から受けた影響を剥がしていって、本当の自分の考えに従っていく姿が表されていると思います。
マイソン:
では話題が変わるのですが、先日テレビで、ハリウッドで働きたい日本人がまずカナダの大学で映画を学んで、結局ハリウッドに行かずにカナダでたくさんハリウッドと繋がる仕事をしているという番組を観たんです。世界的に見てカナダの映画業界は今どんな可能性を秘めていると思いますか?
カイル・ライドアウト監督:
税金的に控除とかもありますし、私も“Eadweard(原題)”とうい映画を撮りましたけど、バンクーバーやトロントにも良いスタッフはちゃんといるので、カナダの映画業界の将来は明るいと思います。
マイソン:
最後にこの映画は学校デビューする人が主人公だったんですけど、これから何かでデビューしたり、挑戦する人に一言お願いします。
カイル・ライドアウト監督:
演劇学校で言われたことなんですけど、新しい環境に飛び込んでいろいろな人と話して、いろいろな人とコネクションを持って、どんどんやっていったほうが不安にならないと。これは自分でも本当に素晴らしいアドバイスだったと思っているんですけど、どんどん新しい環境に飛び込んで、いろいろな人に会って欲しいと思います。
マイソン:
ありがとうございました!
2019年2月4日取材 PHOTO & TEXT by Myson
『リアム16歳、はじめての学校』
2019年4月27日より全国順次公開
PG-12
監督・脚本:カイル・ライドアウト
出演:ジュディ・グリア/ダニエル・ドエニー/シオバーン・ウィリアムズ/アンドリュー・マックニー
配給:エスパース・サロウ
有名大学に入り、ホーキング博士のような天文学者になることを夢見る16歳のリアムは、小さい頃から学校に通わず、母のクレアから英才教育を受けて育ち、友達は1人もいない。そんなリアムは、高卒認定試験を受けに行った学校で、一人の美少女に一目惚れ。彼女に会いたくて、何とか通学しようと試みる。
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