取材&インタビュー

『スパイスより愛を込めて。』中川翼さんインタビュー

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『スパイスより愛を込めて。』中川翼さんインタビュー

「この世からスパイスが消えてしまい、カレーが貴重なものになってしまった」という未曽有の事態に直面した世界で繰り広げられる青春群像劇『スパイスより愛を込めて。』。今回は本作で主人公の蓮役を演じた中川翼さんにインタビューさせていただきました。青春物語の良さや俳優を志したきっかけについて聞いてみました。

<PROFILE>
中川翼(なかがわ つばさ):山本蓮 役
2005年12月6日生まれ。神奈川県出身。4歳の時にモデルとしてデビュー。2015年にドラマ『ORANGE』に出演し、俳優活動を始める。2016年、ドラマ『わたしを離さないで』では主人公(三浦春馬)の幼少期を演じた。同年、映画『僕だけがいない街』では、約300人のオーディションから選ばれ、主人公(藤原竜也)の幼少期を演じた。2021年、映画『光を追いかけて』では映画初主演を飾った。2017年、NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』に続き、2022年もNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に出演。2022年、映画『耳をすませば』では天沢聖司の青年時代を演じた。

初めて食べた金沢カレーの衝撃が今でも忘れられません

映画『スパイスより愛を込めて。』中川翼/茅島みずき

記者A:
最初に台本を読んだ時はどんな印象でしたか?

中川翼さん:
このお話をいただいた時に題材がカレーだと聞いていたので、どんな物語になるのだろうと思いました。それから台本を読んで、カレーというテーマがありながら、ミステリーや青春物語の要素もあり、現代社会を映し出しているような部分もあったので、おもしろいなと感じました。

シャミ:
蓮の恋愛模様や莉久(茅島みずき)達との友情など青春物語も本作の見どころでした。中川さんは青春物語の良さはどんな点だと思いますか?

中川翼さん:
高校時代のキュンキュンする甘酸っぱさを感じられるのが青春物語だと思います。大人の方にはこの映画を観て懐かしさを感じていただきたいです。映画を観た金沢の方からは、「金沢の街並みも観られて、自分の学生時代と重ねて観ました」という感想もいただき、すごく嬉しかったです。

映画『スパイスより愛を込めて。』中川翼さんインタビュー

シャミ:
まさに懐かしい感覚が詰まっている作品でした。蓮の恋愛や友情にまつわる場面で中川さんが特に気に入っているシーンはありますか?

中川翼さん:
青春という部分で考えると部活動のシーンです。蓮は野球部に所属していたのですが、僕自身は野球が苦手なので、撮影でご一緒した大学生チームの方にいろいろと教えていただきました。普段僕はサッカーをしているので、野球の動きが全くできず、苦労しながらバッティングやキャッチボールを練習したので、その場面が印象に残っています。

記者A:
本作では等身大のキャラクターを演じられていたと思いますが、蓮に共感したところはありますか?

中川翼さん:
僕は小学生くらいの頃から男女問わず仲が良くて、昼休みも皆で鬼ごっこをしていました。そういう女子と話す時の距離感は蓮に似ていると思います。

映画『スパイスより愛を込めて。』中川翼

シャミ:
ご自身と似ている役と違う役とで、演じやすい点と難しい点はありますか?

中川翼さん:
極端に近いか離れているほうが演じやすいです。でも、ここは同じだけどここは違うといった役だと似せるところと離さなければならないところがあるので、難しいなと思います。今までやってきたなかだと、華やかなタイプの役は演じたことがなく、今回もミステリー要素のある作品だったので、今のところあまり苦を感じたことがありません。そういう意味では、これまでの役は上手く対応して役になりきれたのかなと思います。

シャミ:
その都度役へのアプローチが変わるということですね。

中川翼さん:
そうですね。僕はその役のイメージを膨らませるようにしています。今回の場合は僕が思う山本蓮をまず想像して、それから監督や他の方がイメージする山本蓮とで重なる部分を抽出して演じました。

映画『スパイスより愛を込めて。』中川翼さんインタビュー

シャミ:
なるほど〜。今回の蓮役について、監督とはどんな擦り合わせをされたのでしょうか?

中川翼さん:
あまり深くは話していませんが、監督から最初に言われたのは、「少しジェンダーレスの要素があります」ということでした。この映画は、ジェンダーレスがテーマというよりも単に男女平等で仲が良いという感じです。監督から「現代社会に溶け込んでいる自然な感じで」という要望もあったので、あまり深く役づくりはしませんでした。男の子よりも女の子のほうが周りに多いという環境は、普段とは少し違いましたが、撮影外でも皆の仲が良かったので、かなり自然に演じられたと思います。

シャミ:
ジェンダーレスの描き方は本当に自然でスッと入ってきた感じがしました。

中川翼さん:
観ている方にそうやって受け入れていただけるとすごく嬉しいです。ジェンダーレスを広めるというよりもこれが普通だよということが広まって欲しいと思いました。

映画『スパイスより愛を込めて。』中川翼/茅島みずき/坂巻有紗

記者A:
ロケ地は金沢だったそうですが、現地に行ってみていかがでしたか?

中川翼さん:
金沢でしか感じられない空気感があり、それが演じる上で助けになった部分でもありました。金沢の人や街のリラックスした雰囲気が、その空気感を生み出していると思いました。

シャミ:
金沢で美味しいものを食べたり、観光はされましたか?

中川翼さん:
すごく美味しいお寿司を食べました。あとは、とにかくカレーを食べていました(笑)。僕は金沢カレーを初めて食べたのですが、カレーにカツとキャベツが乗っているんです。ケータリングでもカレーを出していただいて、その時の衝撃が今でも忘れられません。本当にカレーが1番美味しかったです。

映画『スパイスより愛を込めて。』中川翼さんインタビュー

シャミ:
金沢カレー気になります!!ちなみに、中川さんは元々カレー好きだったのでしょうか?

中川翼さん:
好きでした!でも、金沢から東京に帰ってきてからより食べるようになりました(笑)。

シャミ:
さらにハマって帰ってきたんですね!劇中でもいろいろな種類のカレーが登場しましたが、特にお気に入りのカレーはありますか?

中川翼さん:
やっぱり金沢カレーです。ピリ辛くて少しドロッとした感じがすごく好きです。

映画『スパイスより愛を込めて。』中川翼/茅島みずき

シャミ:
余計に食べてみたくなりました(笑)!本作では、「この世からスパイスが消えてしまった」という未曾有の事態に直面する人々の姿が描かれていました。中川さんご自身にとってこの世からなくなったら1番困るものは何でしょうか?

中川翼さん:
音楽です。僕は寝る前や移動の電車や車の中でも音楽を聴いてモチベーションを上げることが多いので、音楽がなくなると僕も消えてしまうような気がします。だから音楽だけは消えて欲しくないです。

僕自身が作品を通して伝えたいものは何か考えるようになりました

映画『スパイスより愛を込めて。』中川翼さんインタビュー

シャミ:
子どもの頃からこのお仕事に就いていますが、本格的に俳優の仕事に興味を持ったのはいつ頃でしたか?何かきっかけがあれば教えてください。

中川翼さん:
小学校2年生ぐらいの頃に、「お芝居のオーディションがあるんだけど、やってみない?」と言われて、そこからでした。初めて演じた時から「楽しい!続けてみたい!」という想いが漠然とありましたが、本格的に続けたいと思えたのは『僕だけがいない街』に出演してからでした。その作品を通していろいろな方と関わりを持て、特に父のように思っている平川雄一朗監督との出会いが僕の人生の中で1番のターニングポイントでした。それからは、ずっと上を目指していこうと思いました。正直、当時小学校4年生くらいだったので、はっきりとではありませんが、頭の片隅に俳優をずっと続けたいという想いがありました。

シャミ:
『僕だけがいない街』の役は今でも記憶に残っています。その時に俳優の道に進む決意をされたんですね。

中川翼さん:
はい。他人としてその世界を生きるという楽しさを知ることができました。

映画『スパイスより愛を込めて。』中川翼さんインタビュー

シャミ:
なるほど〜。では、子どもの頃と今とで俳優のお仕事に対する考え方で変わった点はありますか?

中川翼さん:
子どもの頃は言われたことをやれば良いと思っていたのですが、今は僕自身が作品を通して伝えたいものは何か考えるようになりました。そして、僕が伝えたいことと監督が伝えたいことがマッチしたところをいかに映し出せるか、世界に届けられるのかというところの視野が広がったと思います。

シャミ:
今後はどんなジャンルの作品や役に挑戦してみたいですか?

中川翼さん:
恋愛系です。今まではミステリーやサスペンス系が多かったのですが、恋愛もののキラキラした青春がすごく好きなんです。学生の時にしか持っていないものを出しながら挑戦してみたいです。

シャミ:
では最後の質問です。これまでで1番影響を受けた作品、もしくは俳優や監督など人物がいらっしゃったら教えてください。

映画『スパイスより愛を込めて。』中川翼さんインタビュー
ヘアメイク:高橋幸一/スタイリスト:小林美月

中川翼さん:
俳優ですと、事務所の先輩でもある菅田将暉さんです。先日、武道館ライブにも行かせていただいて、俳優の時とは違いますが、ステージ上で歌手として演じているように感じて、1本の映画を観ているようでした。本当に表現力が素晴らしくて、僕もいずれこうなりたいと憧れました。僕は菅田将暉さんの作品が公開されるたびにいつも刺激を受けているので、影響を受けているといったら菅田将暉さんです。

シャミ:
本日はありがとうございました!

2023年3月31日取材 PHOTO&TEXT by Shamy

映画『スパイスより愛を込めて。』中川翼/茅島みずき/速瀬愛/坂巻有紗/福山翔大/田中直樹/横山めぐみ/西山繭子/萩原聖人/田中美里 (友情出演)/加藤雅也

『スパイスより愛を込めて。』
2023年6月2日より全国公開
監督:瀬木直貴
出演:中川翼/茅島みずき/速瀬愛/坂巻有紗/福山翔大/田中直樹/横山めぐみ/西山繭子/萩原聖人/田中美里 (友情出演) /加藤雅也
配給:ブロードメディア

物語の舞台は、新たなウイルスが蔓延した影響で世界的にスパイスが不足し、カレーが貴重なものになってしまった現代。カレー好きの高校生の蓮は、カレーのない世界に絶望していたが、ある日希少なスパイスの香りを纏った少女、莉久と出会う。莉久は「この世の食材はカレーになるためにある」と語るミステリアスな少女で、蓮は彼女の虜になる。そして、蓮は莉久と共にスパイス不足の謎に迫ることになり…。

公式サイト

©2023「スパイスより愛を込めて。」製作委員会

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』 ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース【レビュー】

“ハッピー”や“ゲット・ラッキー”をはじめとする大ヒット曲を多数生み出し、他のビッグ・アーティストへの楽曲提供やプロデュースでも並外れた偉業を成してきたファレル・ウィリアムスの人生が初めて映画化…

映画『ANORA アノーラ』ユーリー・ボリソフ ユーリー・ボリソフ【ギャラリー/出演作一覧】

1992年12月8日生まれ。ロシア出身。

映画『片思い世界』公開直前イベント、広瀬すず/杉咲花/清原果耶/土井裕泰監督 存在するということに対しての肯定を、ここまで実験的に描いた物語もなかなかない『片思い世界』公開イベントに広瀬すず、杉咲花、清原果耶が揃って登壇

劇場公開を目前に控え、本作でトリプル主演を務めた、広瀬すず、杉咲花、清原果耶と、土井裕泰監督が舞台挨拶に登壇しました。

映画『おいしくて泣くとき』長尾謙杜/當真あみ おいしくて泣くとき【レビュー】

タイトルを聞いただけで泣いちゃいそうな作品だと予想できるので、逆に泣かないぞと…

劇場版『トリリオンゲーム』今田美桜 今田美桜【ギャラリー/出演作一覧】

1997年3月5日生まれ。福岡県出身。

中国ドラマ『柳舟恋記(りゅうしゅうれんき)〜皇子とかりそめの花嫁〜』QUOカード 中国ドラマ『柳舟恋記(りゅうしゅうれんき)〜皇子とかりそめの花嫁〜』オリジナルQUOカード(500円分) 2名様プレゼント

中国ドラマ『このロマンスはフィクションだから』オリジナルQUOカード(500円分) 3名様プレゼント

映画『ベイビーガール』ニコール・キッドマン/ハリス・ディキンソン ベイビーガール【レビュー】

シンプルに娯楽として楽しむ方、真面目に観る方、両方…

映画『コメント部隊』キム・ドンフィ キム・ドンフィ【ギャラリー/出演作一覧】

1995年12月26日生まれ。韓国生まれ。詳しいプロフィールは→IMDb/『コメント部隊』…

映画『素晴らしい世界は何処に』森山直太朗さんインタビュー 『素晴らしい世界は何処に』森山直太朗さんインタビュー

2022年から約2年間で107本に及んだ森山直太朗 20thアニバーサリーツアー『素晴らしい世界』の映像作品をもとに、新規映像と新たな楽曲をとりいれたドキュメンタリー映画『素晴らしい世界は何処に』。今回は本作に出演の森山直太朗さんにインタビューをさせていただきました。

映画『エミリア・ペレス』ゾーイ・サルダナ/カルラ・ソフィア・ガスコン エミリア・ペレス【レビュー】

『君と歩く世界』『ディーパンの闘い』『パリ13区』など、ジャック・オーディアール…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

映画『セトウツミ』池松壮亮/菅田将暉 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.4

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『オッペンハイマー』キリアン・マーフィー 映画好きが選んだ2024洋画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の洋画ベストを選んでいただきました。2024年の洋画ベストに輝いたのはどの作品でしょうか!?

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性
  2. 映画『風たちの学校』
  3. 【映画でSEL】海辺の朝日に向かって手を広げる女性の後ろ姿

REVIEW

  1. 映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』
  2. 映画『おいしくて泣くとき』長尾謙杜/當真あみ
  3. 映画『ベイビーガール』ニコール・キッドマン/ハリス・ディキンソン
  4. 映画『エミリア・ペレス』ゾーイ・サルダナ/カルラ・ソフィア・ガスコン
  5. 映画『マリア・モンテッソーリ 愛と創造のメソッド』ジャスミン・トリンカ

PRESENT

  1. 中国ドラマ『柳舟恋記(りゅうしゅうれんき)〜皇子とかりそめの花嫁〜』QUOカード
  2. 中国ドラマ『北月と紫晴〜流光に舞う偽りの王妃〜』オリジナルQUOカード
  3. 映画『ガール・ウィズ・ニードル』ヴィク・カーメン
PAGE TOP