【映画でウェルビーイングを見つける】第2弾で選んだ映画は、黒柳徹子の自伝小説を映画化した『窓ぎわのトットちゃん』です。本企画では、ウェルビーイングを感覚としてつかむ上で有用な映画をご紹介していきます。
ウェルビーイング(Well-being)とは
●身体的・精神的・社会的に良い状態にあること(文部科学省)
●持続的な幸福のあり方(セリグマン,2014)
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ウェルビーイングの5要素
- ポジティブ感情
- エンゲージメント(何かに夢中になり没我する感覚。フロー状態と関係がある)
- 意味・意義
- ポジティブな関係性
- 達成感
※ウェルビーイングの構成要素は研究者によって諸説ある中で、上記は、セリグマン(2014)を採用しています。
昨今、国内外でウェルビーイングに注目が集まってきており、研究者も増えてきました。研究者によって定義や構成要素が微妙に異なりますが、本記事では上記のセリグマン(2014)が提唱する要素をもとにしています。
今回の題材映画
『窓ぎわのトットちゃん』
2023年12月8日より全国公開中
東宝
原作:黒柳徹子
監督・脚本:八鍬新之介
声の出演:大野りりあな/小栗旬/杏/滝沢カレン/役所広司
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第二次世界大戦中の日本が舞台となっている本作では、お転婆なトットちゃん(子どもの頃の黒柳徹子)と、学校の友達や先生、家族の日常が描かれています。子どもでものびのびと過ごすことができない時代にめげず、トットちゃんが何事にも明るく一生懸命に取り組む姿がとても印象的です。そんな本作のストーリーをウェルビーイングの5つのポイントと結び付けて考えてみました。
©黒柳徹子/2023映画「窓ぎわのトットちゃん」製作委員会
『窓ぎわのトットちゃん』に観る、ウェルビーイング5つのポイント
■ポジティブ感情:説明不要なくらい、トットちゃんは何に対してもポジティブに考えているのが伝わってきます。トットちゃんはポジティブ感情に溢れています。
■エンゲージメント:トットちゃんは何に対しても一生懸命です。お財布をある場所に落っことして気が済むまで探したり、仲良しのやすあきちゃんに自慢の眺めを見せてあげようと試行錯誤したり、幾度となく無我夢中な姿が観られます。
■意味・意義:利他的なトットちゃんの言動の数々も印象に残るでしょう。自分が楽しくてやっていたとしても、相手のためを思ってやっている部分が常にあるとわかります。
■ポジティブな関係性:家族はもちろん、トモエ学園の先生や友達ととても良い関係を築いています。そして、トットちゃんはいつも周りの人を幸せにします。特に一番の仲良し、やすあきちゃんとの絆はトットちゃんに大きな影響を与えていることが見て取れます。
■達成感:トットちゃんはやる前から諦めることがありません。“エンゲージメント”で取り上げたシーンも含め、トットちゃんは何事にも全力投球なので、観ているだけでも達成感が伝わってきます。
上記はあくまで私の視点です。皆さんも自由に感じたまま当てはめて観てみてください。
本作を観た時にまさにウェルビーイングのヒントが詰まった作品だなと感じました。戦争中で誰もがとても辛い思いをしている時代にもかかわらず、トットちゃんの元気な姿、彼女の周りの人達の優しさを観ていると、幸福感に包まれます。トットちゃん自身がとても優しくて前向きだからこそ、幸福感に溢れているのはもちろんのこと、トットちゃんの周りの人達も優しさに溢れていて、幸福の連鎖、相互作用があるように感じます。
トットちゃんだけでなく、トットちゃんの両親、トモエ学園の小林先生、やすあきちゃんの姿にもウェルビーイングのヒントがたくさんあります。
ぜひ、年齢を問わず多くの方に観ていただきたい作品です。初見は純粋に映画を楽しんでいただき、2回目、3回目と繰り返し観る機会に、ウェルビーイングの要素をイメージしながら観てみてください。
<参考・引用文献>
文部科学省「ウェルビーイングの向上について(次期教育振興基本計画における方向性)」中央教育審議会教育振興基本計画部会(第13回)会議資料【資料8】
マーティン・セリグマン(2014)(宇野カオリ訳)『ポジティブ心理学の挑戦“幸福”から“持続的幸福”へ』ディスカヴァー・トゥエンティワン,東京
前野隆司・前野マドカ(2022)『ウェルビーイング』日本経済新聞出版
原作本「窓ぎわのトットちゃん」
TEXT by Myson(武内三穂・認定心理士)
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情報は2023年12月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。