映画『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』来日記者会見:ジェームズ・キャメロン監督、ジョン・ランドー (プロデューサー)、サム・ワーシントン(ジェイク・サリー役)、ゾーイ・サルダナ(ネイティリ役)、シガーニー・ウィーバー(キリ役)、スティーヴン・ラング(クオリッチ役)
2009年に劇場公開され、世界中に激震を巻き起こした『アバター』から13年。全世界が待ち望んでいた続編、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』が遂に2022年12月16日より劇場公開。公開を目前にした2022年12月10日、本作の監督、プロデューサー、キャストが一同に来日しました。ウォーターフロント来日記者会見と題して開催された記者会見の場所は、都内に位置する近代的な水族館、マクセル・アクアパーク品川。来日記者会見のオープニングでは、イルカ達が見事なショーを繰り広げ、“アバター”チームを歓迎しました。
イルカショーを観たジェームズ・キャメロン監督は、「素晴らしかったです。イルカ達が大好きです。社会性があって、人と繋がることができて、学ぶことができる。(イルカの)皆さん、映画の中に入る(=出演する)許可を差し上げますよ」と感激の言葉を述べると、イルカ達も喜びの声で応えました。さらにキャメロン監督が「僕も(イルカに)乗りたいんですけどいいですか?」と呼びかけると、またイルカ達は声をあげて“イエス”と答えているようでした(笑)。
続いて、質疑応答へ。
Q:劇中のキャラクターや水性生物がまるで生きているような映像体験ができ、映画と映画館の可能性を現代でも極限まで到達させた作品だと感じました。キャメロン監督は今後映画館でしか体験できないエンタテインメントである映画の可能性をさらに進化させる作品の構想はありますか?そうした作品を作るために必要な革新的な技術の開発など今後の映画界のために何か財産のようなものを残したいと思っているでしょうか?
ジェームズ・キャメロン監督:
今回新しい“アバター”を数本作るという構想がありました。ですからそれを踏まえて新しいツール、ソフト、技術の準備をしました。今、“アバター”3,4,5まで構想があるんですけど、大きなプロセスとして事前にいろいろな方とデザインを設計しました。世界観にしても、キャラクター、クリーチャー、文化、設定など、パンドラという世界がどんなものであるか、すべて準備をして取り組みました。(中略)これから観ていただくのは続編の第1章で、またより大きな物語へと繋がっています。次は13年もかかりませんが、2年ずつという形でお届けして、皆さんに喜んでいただけたらと思います。
Q:今作でジェイク(サム・ワーシントン)とネイティリ(ゾーイ・サルダナ)は家族になります。子ども達を交えたパンドラでの新たな生活が描かれていますが、家族という要素が加わったことで、“アバター”の世界やストーリーにどのような深みが加わったと思いますか?また、13年という時を経て、お2人ご自身にも家族ができたことで、何か影響はありましたか?
サム・ワーシントン:
イエス!この2人のラブストーリーのさらにその先ということで、今回は子ども達も出てきます。子ども達が加わることでいろいろなチャレンジが出てきます。素晴らしいのは、若い方達の目を通して、いろいろなストーリーを皆さんに体験していただけることです。
ゾーイ・サルダナ:
ジェイクとネイティリが家族を持つことで危険が増し、大変な状況になります。スカイ・ピープルはそんなに簡単にはパンドラを去らない、彼等は欲しいものを手に入れるまで諦めません。ですから、サリー家はいろいろな面で葛藤があります。個人、お互いに対して、チームとしての苦境になり、それがどういった意味を持つのか、そういう状況でどこへ行き、何をすべきなのかという展開になっていきます。私自身もネイティリも、母親になる前は恐れを知らないようなところがありました。実際に母親になると、私もネイティリも、恐れを感じるようになりました。常に心配してしまうんです。自分自身よりもさらに深く愛する人がいるということで、「彼等を失ったらどうしよう」「彼等に何かがあったらどうしよう」ということを常に考えてしまいます。そういったところで今作はより感情的な作品になっていると思います。そして皆さんは今回ジェイクとネイティリと共にこの旅に加わってそれを体験していただけると思います。
Q:(シガニー・ウィーバーとスティーヴン・ラングへ)前作では人間の姿で登場、今作ではナヴィの姿での登場がメインということで、撮影方法もガラッと変わったのではないかと思います。シガニーさんは14歳のキャラクターとしての登場となりました。そういった登場の仕方になったことで、変化や可能性が広がったことはありましたか?
シガニー・ウィーバー:
今の質問は私だけでなくすべての俳優がこのパフォーマンス・キャプチャーの素晴らしい技術によってどんな役でもできるようになったと思います。前作で私はグレース・オーガスティン博士の役、今回は14歳のキリという役をやらせていただきました。パフォーマンス・キャプチャーの撮影では黒い衣装にマーカーを付けて演技をするんですが、ストーリー自体は非常に俳優中心のものです。私達はキャラクターのエッセンスを演じればいいということです。私は自分の14歳の頃を思い出して演じました。今回非常にチャレンジングな役だったし、いろいろと考えさせられました。
14歳の役を演じることが決まってから、3、4年、準備をする期間がありました。14歳の子達をいっぱい観察して、授業にも参加して、どれくらいの声の幅があるのか、子どもっぽい声から大人っぽい声まであることに気づいたり、現場に行くのが楽しみで仕方がありませんでした。自分を家において、現場ではキリになる。このキャラクターは非常に優しくて、情熱的で自然との繋がりを持っているので、ものすごく解放感を感じました。ですから、チャレンジングではありましたが、監督をはじめキャストの皆さんのサポートもありましたし、子ども達も私を受け容れてくれて、本当に家族というものを感じました。
スティーヴン・ラング:
キリは柔らかい光を放つキャラクターです。もっと強烈な光を放っているのが、ゾーイが演じているネイティリというキャラクターです。そういう光を目立たせるためには、暗闇というかダークなものが必要なんですが、まさに私が演じたクオリッチという役は暗さを象徴しています。彼を戻すというのは非常に必要なことだったと思います。新しい形で私は戻ってくるわけですけど、暗闇があるからこそ光が輝き、また光によって暗闇もいろいろな情報を得る。ですから、3、4、5作目は光と暗闇の両方がどういう風に作用していくかというのを楽しんでいただけたらと思います。
Q:“アバター”の映像体験はどこまで進化するのでしょうか?CGの分野でも難しいといわれる水の表現に真っ向から挑んだ今作ですが、一番チャレンジングだったことは何でしょうか?
ジョン・ランドー(プロデューサー):
今回最もチャレンジだったのは、顔の表現です。これは1作目からずっと挑戦してきたものです。動作、非常に微妙なニュアンスをきちんと表現できるように非常に注目しています。素晴らしいキャストの皆様、そして技術によって実現できたと思っています。
Q:“I see you.”というセリフがとても好きです。英語の“see”には、知覚で見えるという意味と、認識、理解するという意味があるようですが、このセリフには、相手の心、物事の意味、見えないところを見つめるという意味があるように私は捉えています。監督は、このセリフにどういう意味を込められているのでしょうか?
ジェームズ・キャメロン監督:
素晴らしいご質問ありがとうございます。本当に深くご理解いただいています。“アバター”という作品は、まさにご指摘されたようなことを語っている作品です。私達は繋がりをこの言葉で表しています。お互いの繋がり、共感できる存在でもありますし、種族と種族の繋がりもあります。あなたが目の前に見える、おはよう的な感じの意味合いもありますし、深い意味だと、理解をするという意味もあります。あなたをもっと理解できている、今まで理解できていなかったものが理解できていると伝える言葉にもなっています。さらに深い意味だと、“I love you.(私はあなたを愛しています)”という意味もあるんです。ですので、シンプルな意味でも深い意味でも、ナヴィ語として使っています。愛という意味、理解、尊敬、認識をするという意味も持っています。人間は人生の中で、見られたい、認識されたい。コミュニティの中で、家族であり、親であり、子どもであり、自分の存在を認識して欲しい、理解して欲しいんです。人生において、何かをしたい、何かになりたいという気持ちが人間にはあります。だからこの概念、コンセプトを今作以降でもどんどん発展させていき、この言葉もいろいろな異なる状況、異なる場所で使っていくことになります。
最後には、再びイルカ達がパフォーマンスを披露し、ウォーターフロント来日記者会見を締めくくりました。5作目まで制作が決まっているとのことですごく楽しみですね。まずは13年の時を経て完成した本作をぜひ大きなスクリーンで堪能してください。
映画『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』ウォーターフロント来日記者会見:
2022年12月10日取材 PHOTO&TEXT by Myson
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』
2022年12月16日より全国公開
公式サイト REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定
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