映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』来日記者会見:デイジー・リドリー、ジョン・ボイエガ、オスカー・アイザック、アンソニー・ダニエルズ、J.J.エイブラムス監督(脚本)、キャスリーン・ケネディ(製作/ルーカスフィルム社長)、クリス・テリオ(脚本)/BB-8(ビービーエイト)、R2-D2(アールツーディーツー)、D-O(ディーオー)
42年にわたるスカイウォーカー家の物語が遂に本作で完結します。そんな本作の公開を目前にして、キャスト、スタッフが来日しました。
シリーズ全作に出演しているC-3PO役、アンソニー・ダニエルズは、「ミナサン、コンニチハ!私がスター・ウォーズで演じているキャラクターは、600万の言語を自在に操ります。残念ながらその中に日本語は含まれていません。また日本に戻ってこられて、本作について皆さんと語り合えることを大変嬉しく思います」と挨拶し、さっそく会場を笑いで包みこみました。
ルーカスフィルムの社長で本作の製作を務めたキャスリーン・ケネディは、公開間近となった心境を聞かれると、「今回私達全員が自分達が抱えられる以上の非常に大きな責任を負っていると考えています。“スター・ウォーズ”は、42年以上にわたる神話であり、映画史上最も大事な、映画の歴史を作っている重要な一部だと思います。私達はその中に関わっていて、多くの人達がそれによって結ばれているという非常に大事な作品になっています。そして、私達全員がその一部になれたこと、その完結編を観るということをとても光栄に思っています。ここにいるJ.J.とクリスに大変感謝していますが、彼らのおかげで非常に重要なものができあがったと感じています。これをやっと皆さんと分かち合えることにワクワクしています」と、そのプレッシャーと喜びを明かしました。
“スター・ウォーズ”は自身の人生をどのように変えたのか、自身にとってどんな意味を持っているかと聞かれたデイジーは、「まず役者として数年間、しっかりと雇用されたというのには喜びもあり、こういう仕事ですので落ちつくことができました。ただこの作品に関わり始めた時にこれほどの大きな存在になるとは、おそらく自分でも想像していませんでした。自分の人生と“スター・ウォーズ”とを考えると、今は分けて考えることができません。それだけ大きな存在で、家族のような環境の中で安全にいろんなことを試すことができました。笑って、泣くこともできました。ここにいらっしゃる方々を含め、本当に素晴らしい方々と素晴らしいレガシーの一部としてこの作品に関われたことを大変光栄に思っています」と話しました。
同じ質問に対してオスカーは「この3部作に関われたことは、自分にとってとても謙虚な気持ちにさせられる経験でした。さきほどキャスリーンさんがおっしゃったように、人一人よりもこの“スター・ウォーズ”の存在は大きく、映画というものよりも実は大きいものではないかと、それくらい世界規模の文化的な現象だと思うからです。その物語に自分が貢献することができ、サーガの帰結を観ることができたというのは大変誇りに思います。そしてどんな風に人生が変わったかというと、世界中の方々と触れあう機会を得たということが一つです。こうして来日して皆さんとお会いすることもできました。それを誇りに思います」と答えました。
ジョンは「自分は“スター・ウォーズ”ファンだったので、この作品に参加することで、この作品に関わる前に抱いていた、一種のベールのようなものがとれたと思うんですね。それまではファンとして観ていましたが、実際にこのような作品がどのように作られていくのかという過程や作業内容を知って、大変インスピレーションを受けました。キャスリーンさん、J.J.さんがどうやってコラボレーションして、アイデアを交換して作り上げていくのかという過程も見ることができて、自分にとっては魔法のような出来事でした。私はこの映画を観たり、ゲームをしたりしていたんですけども、制作のプロセス自体はわかっていなかったので実際にそれに参加して、作品の一部になれたのは、大変素晴らしい経験です」と振り返りました。
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』公開直後にレイア姫を演じていたキャリー・フィッシャーが亡くなりましたが、彼女を本作に登場させることについて、監督にとってどれだけ重要だったのかを聞かれると、J.J.監督は「スカイウォーカーのサーガを終わらせるのに、レイア姫なしではできない。これが私達が思ったことです。非常に彼女の存在は重要なので、新しいキャストにしたくないし、デジタル・キャラクターを使いたくないということがありました。だから『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の時に撮りためたフッテージを使って、キャリーが出ているところを新しくしていきました。これは非常に感傷的なものでしたし、実際に人がいないという状況でシーンを作るのは奇妙な感じもしました。でも、私達皆キャラクターも好きですし、女優キャリー・フィッシャーも大好きだったんですね。やはり彼女が亡くなったことは本当に悲しいことだったんですが、フッテージを使うことでオーディエンスにとっても最後この完結作でレイア姫に出会えるので、ぜひとも皆さんに楽しんで頂きたいと思います」と、コメントしました。
またJ.J.監督が、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』来日会見で、東京の高田馬場から惑星の名前“タコダナ”を付けたことから、今回も日本からインスピレーションを受けた要素は作品に入っているかを聞かれると、監督は「私が初めて日本に来た時に泊まったユースホステルが高田馬場にありました。今回の作品の中では、カイロ・レンのマスクがちょっと割れたりするところで金継ぎという日本の伝統技法を使っています。そういう欠陥があっても隠さずに、むしろそれを祝福するという意味があるんですね。あとレン騎士団というのが出てきますが、これは黒澤明監督の作品から影響を受けています。また、私の友達の村上隆さんもこの作品に出ています。それ以外にもデザインや、友達がちょっとバックに出ていたり、日本のスピリットというのはすごく大事にしています。私は25年前に初めて来た時から日本をずっと大好きで、子ども達もつれてきていますし、そういった意味で日本に関わりがあり、お礼を言いたいと思います」と、日本への親しみを表してくれました。
9作の一番最後という完結編を書くというのはどんな感覚だったか聞かれたクリスは「より良いアイデアのために口論するという形で書いていったわけですが、皆で部屋にいて、これがこういう風だったら良い最後だなとわかった瞬間があります。ですが、どうやってそこに至るか、至るまでのプロセスを書くのはとても大変でしたし、“スター・ウォーズ”ファンとしてとても悲しい気持ちになりました。その結末に至るような素晴らしいものを書かなければいけないという思ったわけですが、私達としてはエンディングにふさわしいストーリーが書けたと思っています。願わくは1977年にジョージ・ルーカスが始めたスピリットを受け継いだものであれば良いなと願っています」と複雑な心境だったことを明かしました。
さらにJ.J.監督は「ここには大勢のライターがいらっしゃるので、書くということを議論することがいかに退屈なことかおわかりになると思います。とにかく非常に難しいプロセスであったことは間違いありません。クリスと2人でいろいろな議論を重ねて、2年をかけて、制作前からポスト・プロダクションに至るまで最高のバージョンにしようということで、私達がとても大事に思っているからこそ大変だったんですけど、大変でなかったら良いものはできないと思います。なので、そういうハードルを越えて作り上げることができました」と付け加えました。
本シリーズについては、ファンがいろいろな憶測をして盛り上がるのが恒例になっていますが、そういったファンのクレイジーな発想を作品に取り入れようと思ったことがあるかという質問が出ました。クリスは「いろんなファンの方の説を聞いて、私達はそれについて議論をしたりしたんです。おもしろいなと思ったし、クレイジーだし、なかなか良いものもあると思いました。でもどれも使ってはいません。J.J.も私も“スター・ウォーズ”ファンなので、脚本について話し合う時は、脚本家同士としても、ファン同士としても話します。なので、ファンがいろいろなセオリーを考えていることには気がついています。そしてここで、今まで言えなかったことを言いたいと思います。アンソニーさんはずっとこのシリーズに出演されています。彼が私にとってまたJ.J.にとって、本当の意味でのインスピレーションになってくださったんです。私が一番始めに観た“スター・ウォーズ”シリーズは、『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』(1983)で、まだ本当に子どもだったんですが、その時以来ずっと彼の声が私の頭の中にありました。さきほど言った悲しさというのは、もうC-3POのセリフを書けないという悲しさもあります。これはJ.J.も同じだと思います。それほどC-3PO、アンソニーさんは、“スター・ウォーズ”シリーズのハートであり魂であったという風に思います」と話しました。
J.J.監督も「クリスが言ってくれてとても嬉しく思います。私達はこの舞台にレジェンドと一緒に座っています。映画の中で彼の顔は1回も見えないわけで、常にコスチュームの下にいるわけです。彼のパフォーマンス、声も彼のものなんですけど、“スター・ウォーズ”で最初に登場するキャラクターでもあるわけです。導入としてC-3POが登場していて、この映画で笑っていいんだというトーンを彼が作ってくれていて、そういうすべてを顔を隠したまま、全然見せないまま演じるというのは役者としてとても難しいと思います。なので、語り尽くせないくらいの見事な彼のパフォーマンスを讃えたいと思います」とアンソニーを称賛しました。
「これで終わっちゃうのか〜」とファンだけでなく、スタッフ、キャストもいろいろな思いを抱えているんだなとしみじみと感じた会見でした。J.J.エイブラムス監督は、「ILMの最高のVFXになっていると思います」とも語っていましたが、映像や迫力はもちろん、ストーリー、キャラクター…すべてにフォースが込められた本作、ぜひ大きなスクリーンで堪能してください!
映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』来日記者会見:
2019年12月12日取材 PHOTO&TEXT by Myson
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』
2019年12月20日より全国公開
公式サイト 映画批評&デート向き映画判定
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