映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』来日記者会見:アーノルド・シュワルツェネッガー、リンダ・ハミルトン、マッケンジー・デイヴィス、ナタリア・レイエス、ガブリエル・ルナ
『ターミネーター:ニュー・フェイト』の日本劇場公開目前の2019年11月5日、本作のメインキャストが揃って来日しました。アーノルド・シュワルツェネッガーは、「東京に戻ることができて大変嬉しく思っています。私はボディビルのチャンピオンとして1972年から日本に来ており、エクササイズを皆さんにお披露目してきました。それ以降も映画のプロモーションや休暇で来たり、おもしろいCMにも参加させて頂いてます。そして毎回帰る際には”I’ll be back!”と言っています。毎回来させて頂いているのは、それほど日本が大切な市場だということを認識しているからです。本当に日本には素晴らしい映画ファンがいらっしゃるので、映画のPRにくる度に楽しい滞在をさせて頂いてます。そしてこのように素晴らしいキャストの方と来られたことを嬉しく思っています」と挨拶しました。
リンダ・ハミルトンは、「私は来日2度目になります。初めて来たのは、『タイタニック』のワールドプレミアでした(当時の夫ジェームズ・キャメロン監督に同行)。今回私が再来日するのに、すごく良いタイミングだと思っています。これから何度も日本を訪れたいと思っていますが、次回はツーリストとしていろんなところに行きたいです。皆さんご招待頂きましてありがとうございます」と、笑顔を見せました。
アーノルドとリンダが”ターミネーター”シリーズで再共演し、揃って来日するという、ファンにはたまらない状況が今回実現しましたが、そのことについて聞かれたシュワルツェネッガーは「この映画は、私達が誇りを持ってご紹介させて頂くものとなっています。ジェームズ・キャメロンが新しいストーリーを作り、素晴らしい作家達が実行し書き起こし、素晴らしい監督であるティム・ミラーがこの作品を監督しました。これはとても複雑で難しい作品なんですが、ティム・ミラー監督が個々の演技を深く掘り返し、必要なスタント、アクション、VFX、SFXに関しても、深い理解を持っていることによって、この規模のスコープを理解して、皆誇りに思って、ぜひ皆さんにご覧頂きたい作品として、日本で紹介できることを嬉しく思います」と話しました。
リンダは「今回アーノルドと一緒に日本に来られて本当に嬉しく思っています。35年来の友情を培ってきて、そこには信頼があるわけですね。またお互いに遊べる自由があるところもあると思います。これほど長い間こういう形で一緒にできる方はなかなかいません。そういう意味でさらに信頼が広がっていき、お互いにユーモアも増えていったと思います。そういった2人の間にある歴史がそういうことを可能にしたのだと思います」と振り返りました。
今回新たに参加し、最新最強のターミネーターREV-9を演じたガブリエルは、「本当に小さい頃から”ターミネーター”の大ファンでした。こうして参加できるのは夢が叶ったような気持ちです。”ジャーニー”というバンドのボーカリストが亡くなって、後継者を探していた際に、ジャーニーのものすごくファンだという方がリードシンガーになったという例があるんですね。自分もそれと同じような気持ちがしています。すごく熱いファンだからこそ、ターミネーターをやる機会を与えられたような気がするし、嘘みたいに思うと同時にすごく感謝の気持ちでいっぱいです。さきほどリンダさんがおっしゃったように、アーノルドさんとリンダさんのお2人の友情を、この目で目撃できたこと、そして彼らの素晴らしい仕事ぶりを観ているだけでいろいろなことを吸収し、学びになったことが素晴らしい体験でした」と感動を言葉にしました。
マッケンジーは、「このシリーズに参加できたことは喜びの一言につきます。特にこの作品のリンダさん、アーノルドさんが育んできた歴史を継承していく作品でもありますし、そういう作品に彼らとともに共演できたということが素晴らしい体験でした。もちろんサラ・コナーの強い、いつまでも時間と戦い続ける女性像にいつも感銘を受けていましたし、その物語に参加できたことも等しく喜びですし、またティム・ミラー監督とご一緒できたことも本当に素晴らしかったです。彼はビジュアル面で、例えばVFX、SFX、スタントといったことにとても才能があると同時に、キャラクターというものを非常にみて映画を作られています。ターミネーターは、1本目と”T2”を観るにつけ、やはりキャラクターとストーリーに対するフォーカスの精度みたいなものがこれらの作品を特別なものにしていたと思うので、それをテンプレートにして私達もこの素晴らしい作品を作ることができました」と話しました。
ナタリアは「この映画に参加できたことはギフトであり、とても光栄なことでした。世界的に有名な大きなシリーズで、私の故郷から遠く離れた国でも非常に皆さんに愛されている、非常に大切なストーリーであり、現在でも有意義なストーリーに参加できて光栄に思っています。そして素晴らしいキャストとご一緒できました。特にアーノルドとリンダは伝説的な方々ですが、伝説の役柄の裏にある人間に直接会えて、彼らの自己抑制の高さ、そしてものすごく自分達のパワーを意識している、その意識の高さ、それをより良いことに使おうという意志の高さにも感銘を受けました。今回自分がラテン系の人間としてこのシリーズに参加しているという責任も感じているんですね。多様性ということで、今ハリウッド映画はどんどん変わってきているということで、いろいろな人に入る余地があるということを示していると思います」と、本作へのさまざまな思いを語りました。
アーノルドはリンダについて、「疑う余地もなく、リンダは歴史を築きました。彼女は1984年(『ターミネーター』1作目)に、女性のアクションヒーロー像というとても高い基準を設けられた方です。1991年(『ターミネーター2』)、その高い水準をさらなる高みに持っていかれました。またアクションに関しては、リンダが見せてくれたような迫力と質の高い、説得力のあるアクションをそれまで目にしたことはなかったと思います。ということから、ジェームズ・キャメロンが新しいストーリーを作った時、リンダ・ハミルトンを復帰させるということにリスクがあったんですね。『ターミネーター2』で彼女が作り上げた非常に高い質のものを28年近く経ってまたあの高い基準に到達できるのか、ということになるからです。でも結果として私は彼女に圧倒されました。非常に大きなアクションシーンで彼女の姿を観て、”信じられない!”と思いました。まさに期待した水準を遥かに超えたもので、60歳という年齢であの見事な、普通ではない、素晴らしい動きを見せ、筋肉も蓄え、武器などもプロのように操り、軍事的なトレーニングもすべて行いながら、献身的に先進的に彼女は準備を整えていました。その彼女の姿勢が私達に素晴らしいインスピレーションを与えてくれました。これはあまり言いたくないんですが、今回彼女があまりにも重要な資産になっているので、過去の”ターミネーター”作品すべてに彼女が出ていなかったことは間違いではなかったかと思います」と大絶賛しました。
リンダは難しかったシーンについて、「”I’ll be back”というセリフを言うシーンが本当に難しかったです。35年間、私の頭の中であの言葉はアーノルドの声で響いているわけです。なので、何度も何度もトライしましたが、言う度に監督から”ダメ。アーノルドみたいだ”と言われました(笑)」と振り返りました。こういった話しぶりからも、リンダのチャーミングな面がすごく伝わってきました。ワイルドだけどエレガント、そしてチャーミングな方で、人としてめちゃめちゃカッコ良いなと思いました。だからサラ・コナーもめちゃめちゃカッコイイんだなと納得です!
ガブリエルは感動的だったシーンについて、「アーノルドさんの手の大きさを見てください。僕の頭ほどあるんですよね。その手で何度も何度も殴られて、僕はタフで何の影響も受けていないという演技をしなければいけないんだけど、頭の中では本当に童心に返って、楽しくて楽しくて仕方がない瞬間でした」と、ファンとしても興奮した共演シーンを振り返りました。
また1作目が作られた時、これほどの作品になると思っていたかと聞かれたアーノルドは、「1作目を作った時点で、誰もこれだけこのシリーズが長くなると思っていなかったと思います。当時これはとても小さな作品、B級アクション映画として考えられていました。スタジオにとっても主要な作品ではなく、これを制作することに恥ずかしさを感じていたかも知れません。ただ、編集段階に入ると、その内容を観て、スタジオ側も圧倒されて、批評家達も圧倒されました。そして実際にこの作品はタイム誌の1年間のトップ10に入りました。1作目の公開で需要が高まり、作品のあまりの人気から、実際に『ターミネーター2』が作られたわけですが、1990年にジェームズ・キャメロンがもう1作作ろうということで手掛けられました。ですので、当時は誰もこのような形でシリーズ化され、6作品も作られるとは想像していませんでしたし、私自身は4作目の時はカリフォルニア州知事をやっていたので参加していませんけどね。また、私はこのシリーズにとても影響を受けています。1作目に出た当時の私はアクション映画で主演をする役者になろうとしている段階で、『コナン・ザ・グレート』やその2作目に出ていました。映画というのは、観客の皆さんが認めてくださることが重要だと思うんですね。観客の皆さんが観て欲してくださることで、私自身このような大成功を遂げているようなシリーズに関わることができ、感謝しています。そしてジェームズ・キャメロンにも感謝したいと思います。彼が私を信頼してくださり、私が1作目でターミネーターを演じるように説得してくださったんです。当時私はターミネーターには関心はなくて、1作目のカイル・リースを演じたかったんですけど、ジェームズ・キャメロンの説得により、ターミネーターを演じることになりました。これもジェームズ・キャメロンの素晴らしいビジョンのおかげだと感謝しています」と、本シリーズの裏話を披露してくれました。
最後に、「過去に戻れるとしたら何か変えたいことはありますか?」という質問に対してリンダは、「1984年の『ターミネーター』の時の私(サラ・コナー)の髪型を変えたいです(笑)」と答え、会場に笑いを呼びました。続けて「さかのぼれるのであれば、2016年の今の大統領(トランプ大統領)の選挙をやり直したいです」と答えました。
アーノルドは、「戻れるなら、100年くらい前の時代の人々に、原油とか化石燃料をあまり使わないように説得をしたいと思います。今私達が使っている燃料のせいで、700万人の人々が命を落としていたり、温室ガスを発生させていたり、水を汚染させたり、環境へとてつもないダメージを与えています。私達が燃料というものを見る時に、電動自動車だったり、水素で走る車なり、可能性を持っていければと思います」と環境問題に取り組んでいる活動家としての一面を覗かせました。
シュワルツェネッガーとリンダ・ハミルトンが揃った姿や、本作で新しい風を吹き込んだ3人のキャストを目にして、いち映画ファンとしても感動的な記者会見でした。本シリーズは運命を変えるために戦うストーリーですが、今日のお話から、出演者や制作者達の運命にも大きな影響があったんだなと改めて感じ、本シリーズが映画史に与えた影響の大きさを実感しました。その中でも本作は、本シリーズでまた節目となる作品になっています。これは見逃すわけにはいきませんね。
映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』来日記者会見:
2019年11月5日取材 PHOTO&TEXT by Myson
『ターミネーター:ニュー・フェイト』
2019年11月8日より全国公開
公式サイト 映画批評&デート向き映画判定
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