さまざまな料理や好みに合わせて、甘味、辛み、酸味などの味付けができる調味料。皆さんも日常的に使用していると思いますが、調味料には味付け以外にもさまざまな効果があります。今回は、代表的な調味料の種類とそれぞれの特徴を紹介します。
調味料には味付け以外に健康増進の効果も!?
1:塩
塩の主成分であるナトリウムは、体内でイオンに変わり、体液の水分量を調整したり、新陳代謝を促してくれるため、人間の身体にとって一定量必要なものです。ただし、塩の推定平均必要量は1日1.5gで、これは普通に食事をしていれば十分に摂取できる量なので、むしろ摂りすぎないよう注意が必要です。下記の量を目安に各食事の塩分量に気を付けましょう。
■1日の塩の摂取量:成人男性 8.0g未満/成人女性 7.0g未満
また、塩には味付け以外に、保存する、ぬめりを取る、臭みを取る、色落ちを抑えるなど、多才な働きがあります。
2:しょうゆ(醤油)
大豆のもろみを発酵させて作られるのが、しょうゆ。JAS(日本農林規格)によると、しょうゆは以下の5つに分類されます。
■濃い口しょうゆ…一般的に「しょうゆ」と呼ばれているもの。生産量の80%を占める。塩分は16〜18%。
■淡口(うすくち)しょうゆ…主に関西で好まれるしょうゆ。生産量の15%を占める。濃い口しょうゆより色が薄いが、塩分は18〜19%と高めなのが特徴。
■たまりしょうゆ…黒い色が強い濃厚な味のしょうゆ。せんべいや佃煮に使用されることが多い。塩分は濃い口しょうゆより低めの12〜14%。
■白しょうゆ…淡口しょうゆよりも色が薄く、味も淡白。お吸い物などに適している。塩分は14〜16%。
■再仕込みしょうゆ…色も成分も濃厚で、「甘露しょうゆ」とも呼ばれる。
また、栄養面では各種アミノ酸やミネラル、ビタミンB群などが含まれますが、飲料ではないため、しょうゆそのものから栄養を摂ることは期待できませんが、味や香りを高める、胃液の分泌を促し、食欲を増進させる働きがあります。
3:みそ(味噌)
みそは、蒸した大豆、麹、食塩を入れて発酵、熟成させてもの。種類は麹の原料によって大別され、それぞれ甘さや辛さ、色などで分かれています。
■米みそ…大豆、米麹、食塩が原料。白みそ、赤みそ、甘口、辛口など種類も豊富。
■麦みそ…別名「田舎味噌」。米の代わりに大麦や裸麦の麹が使用されている。
■豆みそ…大豆と麹菌、食塩のみで作ったみそ。濃厚な旨味が特徴で、八丁みそや名古屋みそが有名。
■調合みそ…JASでは「米みそ、麦みそ、豆みそに属さないみそ」と規定。各みそを混合させたり、調合したものが多い。
■加工みそ…普通のみそを加工したもの。たいみそ、金山寺みそ、出汁入りみそが有名。
みそは塩分が高いので摂り過ぎには注意が必要ですが、最近では高い栄養価も認められています。みそには、卵と同じくらいのタンパク質が含まれていて、肝臓の解毒作用を助ける必須アミノ酸のメチオニンも含まれています。さらに、みそに含まれるサポニンには中性脂肪やコレステロールを低下させる働きもあります。
4:みりん
みりんは日本独特の調味料。もち米、米麹、焼酎(または醸造用アルコール)を混ぜてゆっくり熟成させたもの。「本みりん」はアルコール分14%、「本直し」はアルコール分22%となっており、「みりん風調味料」はアルコール分1%未満で、本みりんのように熟成させずに、ぶどう糖やグルタミン酸を混合して作られます。
また、みりんには旨味とコクをつける、ツヤを出す、肉や魚の臭みを消す、煮崩れを防ぐなどさまざまな働きがあります。
5:砂糖
砂糖は、サトウキビを原料にしたカンショ糖と、サトウダイコン(ビート)を原料にしたテンサイ糖に分かれます。また、結晶の大きさにより、氷糖、ざらめ糖、グラニュー糖、車糖(上白糖、中白糖、三温糖)に分けられます。主な砂糖の特色には以下のようなものがあります。
■黒砂糖…未精製のカンショ糖の結晶。糖分以外のミネラルが多く、独特の風味がある。
■上白糖…別名「白砂糖」。一般的に「砂糖」と呼ばれる精製糖。しっとりして溶けやすく、さまざまな料理に使用しやすい。
■和三盆糖…手作業で丁寧に作られた粒の細かい効果な砂糖。高級和菓子などに使われる。
■グラニュー糖…結晶が大きく、純度の高い砂糖。すっきりした甘味が特徴で、お菓子作りなどでよく使用される。
また、砂糖は消化吸収が早い炭水化物で、食べたらすぐにエネルギーに変わるため、「疲れている時に糖分が多いものが効く」と言われています。ただし、摂りすぎは肥満や糖尿病を招くことになるので、摂取分量には注意が必要です。
普段何気なく使用している調味料ですが、実はさまざまな種類があり、上手く使うことで料理の味を良くしたり、健康増進に繋げることもできます。ぜひ今回挙げた特徴を参考に、皆さんの生活にも活かしてみてください。また、上記以外にも、調味料にはお酢、ケチャップ、マヨネーズ、スパイスやハーブといったものもあります。そちらについてはまた次回、続編として紹介したいと思います。
<参考・引用資料>
三ッ井清貴「服部幸應の食育インストラクター養成講座 テキスト3」(がくぶん)
本内容は、上記で語られている内容を一部引用しまとめたものです。
食にまつわる映画をチェック!
『おいしい家族』
ブルーレイ&DVDレンタル・発売中/デジタル配信中
REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定
久々の里帰りで会ったお父さんに異変!家族として受け入れられる?『おいしい家族』部活リポート
夫と別居中で、仕事も上手くいかない橙花は、都会暮らしに疲れ、母の三回忌を機に故郷に帰る。実家に着くと、父が亡き母の服を着て、おいしいご飯を作って待っていた。さらに、見知らぬ居候も登場し、父は「父さん、みんなで家族になろうと思う」と突然の報告をする…。
★食の注目POINT!!
久しぶりに会ったお父さんが女装しているという部分に衝撃が走りますが、本作にはおいしそうなご飯もたくさん登場します。もちろん今回挙げた調味料が使用された料理もありますが、本作を観ていると愛も重要な調味料の1つだと感じます。
『ひとにぎりの塩』
DVDレンタル・発売中/デジタル配信中
現存する製塩法の中で最も古い、石川県能登半島の「揚げ浜式」と呼ばれる塩作りを追ったドキュメンタリー。江戸時代から受け継がれてきたこの塩作りは、一昼夜寝ずの作業が必要な製法。大量生産が可能となった現代で、手作りの塩にこだわり、日夜作業に励む意味とは…。
★食の注目POINT!!
伝統的な塩の製法を知ることができるのはもちろん、作り手達の思いや、塩が海からの贈り物であることを改めて確認することができます。本作を機に、実際に「揚げ浜式」の塩を購入してみるのもオススメです。
©2019「おいしい家族」製作委員会
TEXT by Shamy(NPO日本食育インストラクターPrimary)