普段私達の生活において必要不可欠な“食”。現代の日本では、本当にたくさんの美味しい食べ物があり、食を楽しむ機会が多くあります。映画にもさまざまな食事のシーンがあり、観るたびに「美味しそうだな」「何を食べているんだろう?」と気にかける方も多いのではないでしょうか?今回は日本の食の歴史を振り返りつつ、現代社会が抱える食の問題について考えていきたいと思います。
日本の食の歴史と栄養バランスの変化
日本の食は、戦後の貧食の時代から高度経済成長を経て、さまざまなインスタント食品、レトルト食品、冷凍食品が登場し、そして、ファストフードやファミリーレストランが誕生したことで、飽食の時代へと変化していきました。同時に、輸入の自由化が進んだことで、海外の食材を手軽に手に入れることができるようになり、食の欧米化が進むなど、日本の食は大きく変化しました。また、パンやパスタなど、小麦粉を使った食品の消費も増えたことで、日本人の主食である米の消費量も減ってしまいました。
このことは、食事による栄養バランスの変化にも大きく関係しています。1960年代頃に一般的だった、ご飯、味噌汁、主菜、副菜、副々菜という“一汁三菜”メニューでは、炭水化物が多くなっていました。1970年代頃には肉などが食卓に上がる機会が増え、少しずつ欧米風のメニューが登場するようになりますが、まだ昔ながらの日本の食事内容も受け継がれていたため、この頃が平均的に栄養バランスがとれた食事内容となっていました。しかし、それから20年以上が経ちファストフードがさらに一般的になったり、美味しい加工食品も増え、次第に日本人の栄養バランスは崩れていったのです。このことは生活習慣病増加の一因にもなっています。
現代社会に特徴的な食卓の問題6つの“こ食”
日本が経済成長を遂げると共に家族の在り方も変化しました。かつては親子3世代が同じ家に住む大家族が主流でしたが、夫婦と子どもで暮らす核家族世帯が増え、さらに今後は夫婦のみの世帯や、高齢者のひとり暮らしを含む単独世帯が急激に増加していくことが予測されています。そんな社会情勢の変化により、食にも大きな変化がもたらされています。核家族の家庭で、夫婦共働きが増え、残業により帰宅が遅かったり、子どもは塾や習い事があったりと、それぞれが忙しく、家族揃って食卓につくことが少なくなってきています。そこで問題となっているのが、下記6つの“こ食”です。
1:家族と暮らしていても1人で食事をとる“孤食”
2:同じ食卓にいながら、家族がそれぞれ自分の好みの違ったメニューを食べる“個食”
3:好き嫌いが多く、いつも同じものを食べる“固食”
4:パンやパスタなどの粉を使った主食を好んで食べる“粉食”
5:食事の量が少ない“小食”
6:味付けの濃い料理を好んで食べる“濃食”
★この機会に食生活を見直してみましょう
社会情勢の変化と共にライフスタイルも変わり、食にも大きな影響を及ぼしている現代。農林水産省Webサイト内の“「食とからだ」チェックシート”では、簡単な質問に回答することで、ご自身の食生活や嗜好を診断することができます。ぜひこちらも参考にしてみてください!
“「食とからだ」チェックシート”はこちら
忙しい日常のなかで、すべてを手作りして管理することはとても大変なことだと思いますが、「お昼はあのメニューだったから、夜はこれにしよう」と考えてみたり、「いつもより少し加工食品やレトルト食品をやめてみよう」「外食を控えてみよう」と意識するだけでも食生活は変化していきます。また、食に関連する映画を観て知識を得たり、「こんな料理を作っているんだ」と興味を持つのも良いと思います!心と身体の健康のために今後もぜひ一緒に“食”について考えていきましょう。
<参考・引用資料>
三ッ井清貴「服部幸應の食育インストラクター養成講座 テキスト1」(がくぶん)
(財)日本食生活協会、農林水産省「食生活指針ガイド」若者編を若者単身者編に、働き盛り編を中高年男性編に、ゆとり世代編をシニア世代
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©2013「体脂肪計タニタの社員食堂」製作委員会
TEXT by Shamy(NPO日本食育インストラクターPrimary)