現代の食生活は、“飽食の時代”と呼ばれるほど、豊かで満ち足りています。しかし、私達が口にする食べ物がどこからやってきているかご存知でしょうか?今回はそんな日本の食料事情について紹介します。
飽食の時代の食料事情
私達が普段口にする食料は、すべてが日本で作られているわけではなく、その多くは実は海外からの輸入に支えられています。もちろん、世界的に見ても食料は無限ではないため、世界の食料事情や環境問題にも関係しています。
まずは現在の日本の食料事情を見ていきましょう。よく「食料自給率」という言葉を聞きますが、これは国内の食料消費量が自国の生産でどの程度まかなわれているのかを示す指標です。
※例えば、食料自給率100%だとしたら、国内で消費されるすべての食料が国内でまかなわれているということになります。
次に主な食料自給率について紹介します。
★品目別自給率
個々の品目についての自給率を国内生産量、輸入量など、食品の重さで算出したもの。
例:小麦の品目別自給率(令和2年度)
=小麦の国内生産量(94.9万トン)/小麦の国内消費仕向量(641.2万トン)=15%
★総合食料自給率
穀物、野菜、魚介類など、食料はそれぞれの重さが異なり、そのまま単純に重さを足して計算しても意味がないことから、食料全体の単位を揃えて計算したものが「総合食料自給率」。それぞれの食料の栄養価の「カロリー」や、経済的価値を見るために「生産額」などに揃えて数値を算出する。
※畜産物については、輸入した飼料を使って国内で生産した分は、総合食料自給率における国産には算入していない。
■カロリーベース総合食料自給率(令和2年度)
=1人1日当たり国産供給熱量(843kcal)/1人1日当たり供給熱量(2,269kcal)=37%
※分子及び分母の供給熱量は、「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」に基づき、各品目の重量を熱量(カロリー)に換算した上で、それらを足して算出。
■生産額ベース総合食料自給率(令和2年度)
=食料の国内生産額(10.4兆円)/食料の国内消費仕向額(15.4兆円)=67%
※分子及び分母の金額は、「生産農業所得統計」の農家庭先価格等に基づき、各品目の重量を金額に換算した上で、それらを足して算出。
この中でよく使用されている「食料自給率」は、「カロリーベース総合食料自給率」です。これは、基礎的な栄養価でエネルギー(カロリー)が、国産でどの程度まかなわれているかという点に着目しているためです。日本の「カロリーベース総合食料自給率」は、昭和40年度は73%でしたが、年々低下し、平成10年度以降は毎年ほぼ40%(令和2年度は37%)で推移しています。40%という数値は、主要先進国の中では最低水準です。
「食料自給率」といわれても、馴染みがない方もいるかもしれません。ですが、私達の食に関わる重大な問題の1つなので、「現在の日本の食料自給率は約40%」であるということだけでも覚えておいて欲しいと思います。次回は、今回の続きで食料自給率の低下の原因について紹介します。
<参考・引用資料>
三ッ井清貴「服部幸應の食育インストラクター養成講座 テキスト1、5」(がくぶん)
農林水産省Webサイト
本内容は、上記で語られている内容を一部引用しまとめたものです。
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© 2019「今日も嫌がらせ弁当」製作委員会
TEXT by Shamy(NPO日本食育インストラクターPrimary)