特集

映画で“食”について考えてみよう4:体内時計を意識して、より効率的に栄養摂取

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『食べる女』小泉今日子

皆さんは規則正しい食事を摂っていますか?「急いでいるから」「ダイエット中だから」と食事を抜いたり、夜遅く帰宅してからご飯を食べたりと、きっといろいろな方がいるのではないでしょうか。今回は、日本の食生活の現状と体に良い&あまり良くない食事の摂り方について考えていきたいと思います。

規則正しい食事を摂ることで心も体も健康に

今日の日本で食習慣の乱れとして問題になっているのが、朝食の欠食率の高さです。多くの場合、「時間がないから」といった理由が挙げられますが、女性の場合は特に「ダイエット中だから」という理由で、朝食を果物のみにしたり、サプリメントのみにしていることも多いようです。朝食を摂らないでいると、基礎代謝が低下し、食事から摂ったエネルギーをため込みやすい体になったり、過食に繋がることから、ダイエットどころか肥満になりやすい食生活を過ごしていることになってしまいます。その他にも、朝食を食べないと、活動するためのエネルギー供給が不十分で体調不良を起こしたり、脳へのエネルギー不足となり、集中力がなくなるなどの問題も指摘されています。何かと忙しい朝ですが、冷凍したごはんを温めて使ったり、前日の残り物を活用したりと、効率よく準備しておくと、朝食も摂りやすいと思います。
また、夜遅い食事はエネルギーが十分消費されないまま就寝することになるため、エネルギーが余ってしまいます。夜は副交感神経の働きが強まり、翌日のエネルギーを貯えようとするため、中性脂肪の合成が体内で活発になり、余ったエネルギーは体脂肪になります。もし、遅い時間の食事になる場合は、なるべく軽めにすませるようにしましょう。

映画『食べる女』シャーロット・ケイト・フォックス /鈴木京香

体内環境を改善して、より健康な体に!

私達の体には、“体内時計”と呼ばれる機能があり、25時間の周期で睡眠や体温、血圧、ホルモンの分泌などのリズムを刻んでいます。1日は24時間なので、このズレを調整する必要がありますが、朝日を浴び、朝食を摂ると、この体内時計がリセットされ、1日の生活リズムが整います。決まった時間に食事を摂ると、身体がそれを記憶し、予定時刻になると消化酵素などを分泌して準備しているため、栄養素を効率よく吸収することができます。ところが、このリズムが乱れると栄養の吸収効率が低下するだけでなく、体内環境も乱れてしまいます。健康増進&生活習慣病予防のためにも、まずは生活リズムや食事のタイミングを見直してみてはいかがでしょうか?その他にも普段の食事で意識したいポイントを下記にご紹介します。

①食品をバランス良く摂る→主食(炭水化物の供給源であるご飯、パン、麺などを主材料とする料理)、主菜(たんぱく質の供給源である肉、魚、卵、大豆製品などを主材料とする料理)、副菜(ビタミン、ミネラル、食物繊維の供給源となる野菜、いも、きのこ、海藻などを主材料とする料理)を揃えて摂る。
②食事は腹八分目を心掛ける→食べすぎは肥満の原因に。
③減塩→薄味を心掛け、塩分の取り過ぎに注意する(食塩摂取量の1日あたりの目標量は成人男性が9g未満、女性が7.5g未満)。
④減脂肪→動物性脂肪とコレステロール摂取を控えめに。
⑤野菜をたくさん摂る→体にとって重要なビタミン類を十分に摂取する。
⑥食物繊維を摂る→野菜や海藻類などをたっぷり摂る。
⑦カルシウムを摂る→丈夫な骨を作って骨粗しょう症予防をする。
⑧禁煙、節酒→タバコやアルコールを控えめにする。
⑨糖分を控える→肥満予防のため、必要以上の糖分摂取は控える。
⑩1日3食規則正しく食べる→決まった時間に食事を摂ることで栄養素を効率よく摂取。

映画『食べる女』ユースケ・サンタマリア/勝地涼

「朝食を摂ったほうが体に良い」「夜寝る前の食事は良くない」ということを知っていた方は多いと思いますが、食事が具体的に体にどんな影響を及ぼすのかを知ることで、よりタイミングや内容を意識して食事を摂ることができるようになるのではないでしょうか。もちろん、好きなものを好きな時に食べることは幸福感を得られますし、ストレス発散にもなるので、たまにはアリです。やはり大切なのは、普段の食事!今回挙げたことを少しでも意識して改善することが、健康への大きな1歩となるはずです。外出自粛期間や夏休み中に食生活が乱れてしまったという方は、これを機にぜひご自身の食生活を見直してみてください。

<参考・引用資料>
三ッ井清貴「服部幸應の食育インストラクター養成講座 テキスト1、4」(がくぶん)
農林水産省Webサイト
本内容は、上記で語られている内容を一部引用しまとめたものです。

食にまつわる映画をチェック!

『食べる女』
ブルーレイ&DVDレンタル・発売中/デジタル配信中
REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定

通称“モチの家“と称された日本家屋の一軒家で1人暮らしをしている敦子(トン子)は、家に迷える女性達を迎えては、美味しい料理を振る舞うのが恒例になっていた。それぞれに違った恋愛観、人生観を持ち、悩みを抱える女性達…。美味しい食事をする習慣が、彼女達の生活を少しずつ豊かにしていく…。

★食の注目POINT!!
本作に登場する食事は、どれも美味しそうで真似してみたくなるものばかり。手の込んだ料理もあれば、手軽で簡単な料理も登場するので、どんな人でも食に親しみを感じられます。

『未来の食卓』
DVDレンタル・発売中/デジタル配信中
食にまつわる映画特集1

フランスでオーガニック・ブームを起こしたと言われるドキュメンタリー。南フランスの小さな村がショーレ村長のもと、「子ども達の未来を守るため、学校給食と高齢者の宅配給食をオーガニックにする」という前代未聞の試みに挑戦。値段の高いオーガニック給食を村の財政でまかなえるのか、初めは戸惑うが、給食や学校菜園での野菜作りを通して自然の味を覚えた子ども達の様子を見て、村全体が少しずつ変わっていく…。

★食の注目POINT!!
癌や糖尿病などの生活習慣病の70%は、食習慣を含む環境に原因があると言われているヨーロッパ。給食や学校菜園での野菜作りを通して自然の味を覚えた子ども達に巻き込まれ、小さな村が少しずつ変化していく様子に注目です!

© 2018 「食べる女」倶楽部

TEXT by Shamy(NPO日本食育インストラクターPrimary)

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『THE MONKEY/ザ・モンキー』クリスチャン・コンヴェリー THE MONKEY/ザ・モンキー【レビュー】

怖いはずなのにどこか可笑しい絶妙なバランスの本作は、スティーヴン・キングの短編を原作としています…

映画『戦争と女の顔』ヴィクトリア・ミロシニチェンコ ヴィクトリア・ミロシニチェンコ【ギャラリー/出演作一覧】

1994年5月17日生まれ。ロシア出身。

映画『ファンファーレ!ふたつの音』エマニュエル・クールコル監督インタビュー 『ファンファーレ!ふたつの音』エマニュエル・クールコル監督インタビュー

フランスで3週連続NO.1(仏映画興収/実写映画において)を獲得し、260万人動員の大ヒットを記録した話題作『ファンファーレ!ふたつの音』。今回は本作のエマニュエル・クールコル監督にインタビューさせていただきました。

映画『ひゃくえむ。』 ひゃくえむ。【レビュー】

魚豊著の『チ。 ―地球の運動について―』がすごく好きなので、絶対に本作も…

映画『お嬢と番犬くん』櫻井海音 櫻井海音【ギャラリー/出演作一覧】

2001年4月13日生まれ。東京都出身。

映画『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』ビル・スカルスガルド ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝【レビュー】

実に楽しい!良い意味で「なんじゃこりゃ?」というハチャメチャなノリなのに…

ポッドキャスト:トーキョー女子映画部チャンネルアイキャッチ202509 ポッドキャスト【トーキョー女子映画部チャンネル】お悩み相談「どうしたらいい出会いがありますか?」他

今回は、正式部員の皆さんからいただいたお悩み相談の中から、下記のお2人のお悩みをピックアップして、マイソンなりにお答えしています。最後にチラッと映画の紹介もしています。

映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』ベニチオ・デル・トロ/ミア・スレアプレトン/マイケル・セラ ザ・ザ・コルダのフェニキア計画【レビュー】

REVIEWこれぞウェス・アンダーソン監督作という、何から何までかわいい世界観でありながら…

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

映画『こんな事があった』前田旺志郎/窪塚愛流 こんな事があった【レビュー】

2021年夏の福島を舞台に、主人公の17歳の青年のほか、震災後も苦悩しながら生きる人々の姿を…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 ファストムービー時代の真逆を行こうと覚悟を決めた!大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート前編

『るろうに剣心』シリーズ、『レジェンド&バタフライ』などを手掛けた大友啓史監督が<沖縄がアメリカだった時代>を描いた映画『宝島』。今回、当部の部活史上初めて監督ご本人にご参加いただき、映画好きの皆さんと一緒に本作について語っていただきました。

映画『宝島』妻夫木聡/広瀬すず/窪田正孝 沖縄がアメリカ統治下だったことについてどう思う?『宝島』アンケート特集

【大友啓史監督 × 妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太】のタッグにより、混沌とした時代を自由を求めて全力で駆け抜けた若者達の姿を描く『宝島』が9月19日より劇場公開されます。この度トーキョー女子映画部では、『宝島』を応援すべく、正式部員の皆さんに同作にちなんだアンケートを実施しました。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『ふつうの子ども』嶋田鉄太/瑠璃
  2. 映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』マイケル・ファスベンダー
  3. 映画『バーバラと心の巨人』マディソン・ウルフ

REVIEW

  1. 映画『THE MONKEY/ザ・モンキー』クリスチャン・コンヴェリー
  2. 映画『ひゃくえむ。』
  3. 映画『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』ビル・スカルスガルド
  4. 映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』ベニチオ・デル・トロ/ミア・スレアプレトン/マイケル・セラ
  5. 映画『こんな事があった』前田旺志郎/窪塚愛流

PRESENT

  1. 映画『ホーリー・カウ』クレマン・ファヴォー
  2. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル
  3. 映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花/南琴奈/板垣李光人
PAGE TOP