映画業界人インタビューVol.11有限会社アップリンク 代表取締役社長 浅井隆さん【後編】
Category : 映画業界人インタビュー , 大学生・専門学校生
映画業界は衰退していない!業界が栄えるには…
ミミミ:総合的にいろんな方向で展開するにあたってメリット、デメリットはありますか?
浅井さん:デメリットはないよね、要するに映画のことを考えてればいいんで(笑)。映画のプロデュースの経験もあって、配給会社でもあって、渋谷に映画館があって、吉祥寺にも作ろうとしてるって、そんなに全部を考えている人って意外にいないのよ。アイデアがあればアップリンククラウドとかオンデンマンドみたいに自分達のサイトを持つこともできる。そこを全部自分の手で経験できるっていうことはおもしろい。全部自分でわかる範囲でできるし、やってることがぶれなければ、どんどんどんどん知識が貯まっていくので、メリットはあるけどデメリットはない。
ミミミ:大変なことはありますか?
浅井さん:そんなにないんじゃないかな。
ミミミ:それは好きだからですか?
浅井さん:いや、「好きだから」ってそう単純に考えることは間違ってると思う。やり続けることは大変だよ。だけど、なんでダメなのかって考えてそこを直していけば、アップリンクくらいの規模の会社だったら、自分が反省すれば軌道修正できる。もちろん一緒にずっとやってきたスタッフが育ってきてるから、チームの力でやりたいこともできる。今アップリンク吉祥寺を作るってことでアルバイトを一気に20人くらい増やさなきゃならない。大きな会社だったら何でもない人数かも知れないけど、僕らは元々小さい会社でそこは大変っていったら大変だけど、自分の考えで軌道修正できる大変さかな。
局長:学生映画宣伝局のメンバーには映画業界に入って宣伝をやりたいという人が多いんですが、業界の方からは「厳しいよ」とか「儲からないよ」とか、だいたい共通していることを言われるんです。浅井さんは、そこのところをどのように感じてらっしゃいますか?。
浅井さん:俺はそれは間違ってると思ってて、うちも働き方改革で給与形態を見直したり、深夜までの残業も今年に入ってからなくしてる。給料が悪いとか大変だとか、架空の映画業界をイメージされてもね。もしそうだとしたら、そんな業界に入る必要ないし、全然夢がないじゃない。
だったらどこかの会社に入るんじゃなく、自分達で新しいことをやったほうが良いと思う。映画業界っていっても配給会社とか宣伝以外に、シネコンで働いてるアルバイトの人もいっぱいいる。宣伝っていっても本当に自分の好きな作品を宣伝できるかっていうと宣伝会社に入っちゃうと違うって思うこともあるだろうし。とはいえ、自分が何をやりたいのか、20歳ちょっとで見極めるのは難しいよね。
ミミミ&さおり:難しいです。
浅井さん:難しい。でも政治的にも経済的にもとにかく日本は閉鎖的だから、一旦海外に出るのはありかも。ただ、語学留学でどうしようもない帰国子女にはならないで欲しいんだけど(笑)。
ミミミ:雰囲気だけ持って帰ってくるような(笑)。
浅井さん:そう、うまいこと言うね。そういう人何十人も見てるから(笑)。
局長:浅井さんは買い付けに行かれた最初の頃、英語はどうされてたんですか?
浅井さん:いや、全然できなかったね。片言だった。でも売り買いなんか、喋れなくてもできるじゃない(笑)。
局長:権利関係の交渉とか、複雑なこともあったりしませんか?
浅井さん:契約書とかは一生懸命辞書を引いて、勉強して覚えるっていうのはやってたけど。
一同:スゴい!
局長:なんだか今日のインタビューでお話を伺って、今までいろいろ難しく考え過ぎてたのかなって思いました。業界が衰退しているというお話も含め…。
浅井さん:映画業界が衰退してるわけではない。映画業界っていう時に、ネットフリックスとかアマゾンスタジオを入れてないでしょ。映画業界が衰退してるって意味がわからない。それは全然新しいことにチャレンジしてない人の話でしかないと思うけど。
ミミミ:映画業界はこれからこういうふうにしたら伸びるんじゃないかっていう浅井さんのビジョンはありますか?
浅井さん:吉祥寺は料金体系を変えました。シニアの反語って、ユースだよね。学割をやめて、一般は1800円、シニアは1100円、ユースは1300円っていう3つにしたのよ。ただアップリンクの会員になれば、ユース会員の人はいつでも1000円で観られます。だから、どうやれば映画業界が栄えるかっていったら、若者に映画を観てもらうしかない。
取材日:2018年11月27日
今回の記事担当:さおり
■取材しての感想
多角的に事業を展開されていることもあり、情報収集の質に驚きました。フェイクニュースのお話にも触れてらっしゃいましたが、すべて鵜呑みにするのではなく自分で調べたり実際に足を運んでみることが大切だなと思いました。映画業界について大学でも小さい市場で衰退していることを学んでいたので驚きました。配給会社や劇場などいろいろな立場で関わり広い視点でみると様々な動きが感じられるんですね。また、アップリンクの配給作品のこだわりを聞き、メッセージ性が深いと思い、これまで配給会社によってそういった視点で作品を観たことがなかったのでとてもおもしろかったです。とっても魅力ある会社だなと感じました。
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