Category Archives: 大学生・専門学校生

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映画業界人にインタビュー:アップリンク浅井隆さん

映画業界人インタビューVol.11有限会社アップリンク 代表取締役社長 浅井隆さん【前編】

今回は、エージェントのミミミと、さおりが取材しました。このインタビューは2回に渡ってお届けします。

 

配給会社は1人でも始められる! 

ミミミ:アップリンクを作られる前は何をされてたんですか?

浅井さん:高校を卒業後に東京に来て、“天井桟敷”っていう寺山修司さん主宰の劇団に入って、寺山さんが亡くなるまで10年くらい舞台監督をやってた。

ミミミ:どんな経緯で舞台監督になられたんでしょうか?

浅井さん:入って1年も経っていないうちに先輩がやめたから。

ミミミ:元々演劇に興味があったんですか?

浅井さん:当時、天井桟敷は海外で公演したり、日本の他の劇団とは違うセンスがあったかな。

ミミミ:元々東京に出られたのはどういう目的だったんですか?

浅井さん:大阪出身なんだけど、やっぱり東京に行ってみたいと思って。10年間劇団にいて、寺山さんも亡くなって、何か自分でやろうと思った時に、配給は時間はかかるけれど一人でもできるような仕事だった。もちろん全く一人じゃなく、友達とかアルバイトの人達に手伝ってもらってね。

ミミミ:そこで演劇ではなく映画にしたのは何か理由があるんですか?

浅井さん:寺山さんは映画監督でもあったので、彼が作っている映画にもスタッフとして参加してて、映画はそんなに遠い世界じゃなかった。

ミミミ:一人で配給なんて大変そうで、私からすると自分でやりたいと思っていても躊躇しちゃいそうですが。

浅井さん:天井桟敷は、どちらかと言うと自由に自分達が考えたことを表現できる劇団だったんで、会社に入ろうとは考えなかった。演劇でも場所を借りて公演をするわけで、それは舞台監督としてやってたんで、配給ならできるかなと思った。
今って一人で映画配給をやる会社っていうか、屋号をつけて活動していらっしゃる方もいて、配給は一人でもできる。ただ一人でやってる場合は誰かから少し資金を出してもらって請け負ってやるケース、宣伝費を最初にもらってやっているケースがある。映画配給の仕事と劇場の仕事って考えると、お金の流れで考えてみるとわかるんだけれど、例えばカフェだと、お客さんを呼んでコーヒーを売ったら現金収入がその場であるよね。仕入れたコーヒー豆は先に送ってもらって、仕入れ代金はたいてい後で払う。普通僕ら一般人はお店に行ってお金を払って買うけど、店は月末に締めて、翌月末に払う。ということは払うまでに仕入れて売り上げをたてればいいわけだよ。ところが、映画の配給って、もし本当に個人で映画を買い付けて、いろいろ宣伝をやろうと思ったら、宣伝費とか、あとスタッフのお給料、事務所があったら家賃、電話、コピー機のリース代とか先にお金が出ていく。入ってくるのは映画上映した後。だから、配給は結構大変だけれども、そういうことを僕はよくわからなかったから、とりあえず最初に映画を買い付けて、配給して、その上映収入が入ってくるまでは全然貧乏だよ。でも使ったお金プラスアルファがちょっと入ってきて、それを回転させてやっていけた。

ミミミ:お金の工面が結構厳しそうなイメージです。

浅井さん:厳しい、厳しい。

ミミミ:なのに配給会社をやっていこうと思ったのはなぜですか?

アップリンク吉祥寺オープン20181214

2018年12月14日にオープンしたアップリンク吉祥寺

浅井さん: 1987年にアップリンクを作ったんだけど、ちょうど時代的にミニシアターブームっていうのがあった。2人はまだ生まれてないでしょ?

ミミミ&さおり:はい。

浅井さん:そうだよね。今年で会社作って31年だから。今のアップリンクは40席とか、大きくて58席あるけど、当時は200席、300席とある劇場でも、ミニシアターって言われてて、僕からするとミニじゃないけどね。それがいくつかできてきて、館主が見せたい映画を1スクリーンで1作品、何週間も上映するスタイルがあったんだよ。それがミニシアターのやり方で、それぞれの個性があったわけ。業界の言葉だと単館上映って言って、1つの劇場で1作品しかやってなかったから、その映画を観たいならそれをかけている映画館に行くしかない。そういう状況があったので、アップリンクも映画を輸入して上映して、そこでうまく続けられたっていう状況があったかな。

さおり:その配給会社を設立させた後に劇場をオープンさせたんですよね。

浅井さん:ただ、劇場は配給と違って一人じゃできない。映画館は休みなく上映してるしね。お金の流れも配給とは全然違うけれど、やっぱり最初に映画館を作るっていうのはたぶんできなかった。最初一人で配給をして、それでスタッフが何人か増えて、今度は小さい場所を持とうってなったときにスタッフがいて初めてできたことかな。

さおり:その流れは元々視野に入れてたんですか?

浅井さん:元々外国の映画を日本で配給することが多かったんで、上映してもらうには映画館と交渉しなきゃいけない。そうすると、こちらがこの作品はおもしろいからお客さんが入ると思っていても、映画館はそう思ってくれなかったり。で1990年代、2000年代ギリギリまではミニシアターの時代だったんで、作品と劇場の個性が合う形にしようとすると、自分達で上映する場所が欲しいなと思った

アップリンク吉祥寺オープン20181214

2018年12月14日にオープンしたアップリンク吉祥寺

ミミミ:吉祥寺に新たに劇場をオープンしようと思ったきっかけは何だったんですか?

浅井さん:週末はアップリンク渋谷がだんだん満席になっちゃって、3スクリーンしかないから、お客さんにサービスがちゃんとできない。ビジネスとして、吉祥寺は都心でありベッドタウンでもある。そういう意味じゃチャンスはあるかなと。

さおり:いくつか候補があった中で吉祥寺を選ばれたんですか?

浅井さん:人口の推移を見て、人口が減ってないところ。そうすると東京なんだよね。これからシネコンは池袋に2つもできるし、たぶん品川と東京の間にできる新しい駅にもどこかのシネコンができると噂されてるし、渋谷ヒカリエの横にも109のシネコンができると言われてる。人口が増えてるのは都心なんで、都心はまだ映画館ができる余地がある。だって会社が渋谷にあるからずっと通ってるけど、若者が多いセンター街はずっと若者が多いもん。20年前も今も。

局長:吉祥寺と渋谷で一番違うところはどういう点ですか?

浅井さん:デパートの東急に皆自転車で来る。

アップリンク吉祥寺オープン20181214

2018年12月14日にオープンしたアップリンク吉祥寺

局長:その文化的な違いは、作品を選ぶ時にも変わってくるんですか?

浅井さん:平日の昼間はやっぱり主婦、子育て中の方、あるいはシニア層とかが、お客さんになるんじゃないかな。映画ファンだけじゃなくても、子育て中のお母さんとかはかつて映画を観てたけど忙しくて、新宿とか渋谷に電車で一本でも来ようとはなかなか思わないじゃない。でもスーパーに行くついでに2時間映画を観ることはお母さん達の生活のライフスタイルに入るんじゃないかな。
5スクリーンあるんで、もう少し多様な編成ができるよね。例えば夏休みとか、春休みは子ども用のアニメとか。

取材日:2018年11月27日

今回の記事担当:ミミミ
■取材しての感想
私が初めてアップリンク渋谷で観た映画が2015年公開の『ザ・トゥルー・コスト~ファストファッション 真の代償~』でした。それ以来、ファストファッションの洋服屋に行くと今でもこの映画が頭をよぎります。それ以降も基本的に私はアップリンクにドキュメンタリー作品を中心に観に行っています。アップリンクで観る作品からは、毎回、劇場を後にする時に何か頭の中に重しを詰め込まれたような、そんな強烈な衝撃をくらいます。今回、浅井さんとお話をさせて頂いて一番印象に残ったことは、「社会と繋がっている映画をやっていきたい」とおっしゃっていたことです。映画は、元気のない時の特効薬であるようなエンターテインメント性もありますが、私達の知らない、気づいていないようなことを教えてくれる、考えさせてくれる側面も多く持っています。ただ目に映すだけではなく、自分で考え、消化し、一生自分自身のカラダの中に残っていくような映画を上映するアップリンク。そこに込められた思いを聞くことができ、とても嬉しかったです。

 

とにかくパワフルにいろいろなことにチャレンジされているアップリンク。後編では今の日本の映画業界についての浅井さんのお考えなどをお聞きしています。若者が鍵だそうですよ!→【後編を読む】

アップリンク吉祥寺オープン20181214

★UPLINK吉祥寺オープン!

〒180-8520 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-5-1 吉祥寺PARCO2階

詳しくはこちら

 

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Netflix『クリスマス・クロニクル』カート・ラッセル

私のクリスマス・クロニクル  by mo

学生映画宣伝局の活動を本格化させる一環として、今年は特にクリスマス映画を観た。クリスマス特有の、ハッピーで色とりどりな映画たち-特に、昨晩観賞したNETFLIXオリジナル『クリスマス・クロニクル』を観ているうちに幼少期の思い出が鮮明に思い起こされたため、自身のクリスマスを辿ってみようと思う。

Netflix『クリスマス・クロニクル』カート・ラッセル

小学校 ファンタジック時代

小学校の頃は、学校や習い事のクリスマスパーティーがあって、サンタはトナカイのひくソリに乗ってくるだとか、25日の夜にクッキーと手紙を置いておくと返事が来るとか、そういう話が身近にあった。

*

サンタを見たことがある。

正しくは、まだサンタを信じていた12月24日の深夜に、寒く薄暗い部屋のなか限りなく父に近い影が入ってきたのを見た。小学校3年生だったと思う。

私はどうにも頑固なところがあって、周りの友達たちがそろそろ失笑し始める学年になっても、心の中ではサンタを信じていた。3年生のクリスマスに見た影がチラついていたし本当は分かっていたけれど、そう信じたかった。だって、そっちの方が楽しいじゃん。家族とプレゼントの話題になったとき、無邪気にサンタを楽しみにしていた私に父はこう言った。「サンタはお父さんとお母さんです」。

それ以降、うちの家族ではプレゼント希望は自己申告・全員で買いに行く制になった。さらばサンタあての手紙。25日の朝のワクワク。小学校6年のクリスマスはニトリで布団を買ってもらった。

かくして私の“夢みるファンタジック・クリスマス時代”は幕を閉じたのだった。

Netflix『クリスマス・クロニクル』

 

中学・高校・大学1-3年 クリスマス多様化時代

小学校を卒業すると、サンタもツリーも不思議と消滅し、“クリスマス”だけが残った。以降、“クリスマス~友達とたこパ(たこやきパーティー)編~”や、“クリスマス~特になにもしない編~”、“~バイト編~”、“~リア充編~”、“~非リア充編~”などを経た。クリスマスだからという口実でただ友達と遊ぶ日、そんな印象になったし、正直そんなに覚えていないのもある。

 

Netflix『クリスマス・クロニクル』

NETFLIX映画『クリスマス・クリスマス』から教わったこと

クリスマスって何のためにあるんだろう?

無論イエス・キリストの生誕を祝う日なのは分かっている、けれど。こんなにもクリスマスを題材にした映画があふれていて、そのどれもがハッピーで、クリスマスの雰囲気に人々が酔いしれるのはどうしてだろう。

本作のサンタ、ニックは、「クリスマスは誰もが良い人になれることを思い出せる日だ!」と言った。みんなが大切な誰かを思い、優しくなれる、素晴らしい日を決して失ってはいけない、と。

 

Netflix『クリスマス・クロニクル』カート・ラッセル

学生最後のクリスマス

親元を離れ一人暮らしを始めて4年目になる。自分による自分のための時間・物・事がうんと増えた。めんどくさいこともあるけれど、深夜まで好きな映画を観られるのは最高だ。こういった自分による自分のためのもの・ことに溢れた日々だからこそ、「誰かのために」という気持ちが愛おしく感じるようになった。あの頃の日常や多少不満に思っていたことでさえ、周りにいた家族やその他大勢の人が彩っていてくれたのだ。

クリスマスの飾り付けや、パーティーの準備、帰宅する頃には部屋を暖めていてくれること、プレゼントとは別に靴下型に入ったお菓子の詰め合わせを買ってきてくれること、ケーキを大きめに切り分けてくれること、なかなかプレゼントを決めずにいる私にやきもきしつつも、深夜の寒く薄暗い子ども部屋に忍び足で入ってくる、これらすべての愛おしいこと!

 

私にはまだ子どもはいないし、今年は(今年も)特別な1人と過ごすことはないが、大好きな友達とチキンとケーキを焼いてパーティーをする予定だ。私はケーキ担当だ。あの子の好きなチーズケーキに、あの子の好きなフルーツをトッピングしよう。靴下型のお菓子も忘れずに買って、プチサプライズだ。はやくみんなの笑顔が見たい。

 

やっぱり、クリスマスはやめられない。

Netflix『クリスマス・クロニクル』カート・ラッセル

『クリスマス・クロニクル』
Netflixにて配信中!
公式サイト

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クリスマスツリー写真

ライター班企画!クリスマスカウントダウン アドベント映画レンダー

クリスマスのムードを盛り上げるのは、
やっぱりクリスマス映画!

ということで、ライター班のおこめとパン、cosmos、mo、ミミミが、お気に入りのクリスマス映画についてレビューを書いています。下記のタイトルをポチッとすると各レビューがご覧頂けます。

Vol.1 『RENT』

Vol.2 『ホーム・アローン』

Vol.3『ガーディアンズ 伝説の勇者たち』

Vol.4 『ホリデイ』

Vol.5 『フォー・クリスマス』

Vol.6 『ラブ・アクチュアリー』

特集:クリスマスプレゼントはもう決まった?悩んだときは映画を観よう!

コラム:私のクリスマス・クロニクル by mo

 

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女子大生が!

クリスマス映画を

24時間見続ける!?

 

YouTube班、TAKE、おかめ、ハグリ娘による初の動画企画。

企画も撮影も編集も全て学生がやってます!

SHIBUYA TSUTAYAでDVDレンタル編

前編

後編

 

予告編

 

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映画『フォー・クリスマス』リース・ウィザースプーン/ヴィンス・ヴォーン

クリスマスカウントダウン・アドベント映画レンダーVol.5『フォー・クリスマス』

こんにちは。
学生映画宣伝局のエージェント兼2代目秘書、おこめとパンです。

本格的に空気が冷え、そろそろクリスマスが近づいてきました。
今回は、ある家族“たち”のクリスマスをみなさんにご紹介します。

4つの家族  “で”  過ごすクリスマス映画、

『フォー・クリスマス』

 

本作は、クスッと笑ってしまう要素がたくさん詰まったコメディです。
画面の端までクリスマス気分が漂う明るさですが、大人になる学生に気づきを教えてくれる作品でもあると思います。

 

主人公であるケイトとブラッドは、
「結婚なんて地獄!子どもなんていらない!」
「好きだから一緒にいる、それだけで良い」 
というカップル。
そんな彼らのクリスマスは、家族と過ごすのではなく自分たちのバカンスとしてエンジョイすること。
今年も家族にウソをついて2人だけのクリスマス!
…と思っていたら、ひょんなことからウソがばれてしまい、“4つの家族”を順番に訪問することに。

 

“4つの家族”とは、ケイトとブラッドどちらの両親も離婚しているため。

この両親たち4人のキャラクターが本当に濃いです!
関係のない私たちは笑い飛ばせるけれど、彼ら2人の「結婚なんて地獄!子どもなんていらない!」という価値観に大きく影響しています。

口を開けばケンカをしていた両親たちを反面教師に、「自分たちはそうならないように」を合言葉のように掲げているのです。

さらに2人は、様々な理由から自分の過去や家族を遠ざけてきました。
そして、それをお互い深くは知らないということにこの訪問で気づいていきます。
一見すれば分かり合って最善策を選んだカップルだけれど、少しずつ現実が見えてくるのです。

本作はもちろん楽しいコメディですが、家族でいると忘れてしまいがちな、 “家族としての役割を果たす存在”ではなくて、“一人の人間として生きる姿”があることを思い出させてくれます。

まだ両親に守られることの多い学生にとって、現在にも、そして将来にも大切な価値観になると思います。

家族のことにフタをして、2人だけの世界にいるブラッドとケイト。
そんな彼らにはどんな変化が起こるのか?
そして、彼らの追い求めていた関係性は、本当に素晴らしいものなのか?

 

これからいろんな経験をして、たくさんの人と関わっていく学生の皆さん。
クリスマスのムードを楽しみながら、“誰かと一緒にいること”についてじわじわ考えてみてください。

ただ、マイルドな大人の会話が飛び交うので注意(笑)!

 

『フォー・クリスマス』
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映画『真っ赤な星』小松未来/桜井ユキ

Review『真っ赤な星』

心の拠り所を持たない14歳の少女が、愛に飢えた27歳の女性に、恋心に似た憧れを抱く。標準語が話される片田舎で、一見穏やかな退屈さを見せた夏休みが、急速に崩壊へと向かう。

大好きな誰かに近づきたくて、その人の癖を真似てみたり、最近読んだと聞いた本に手を出したり、LINEのプロフィールに設定された音楽をyoutubeで検索したり。その曲の良さがわかったら話しかけようと決めて…、でもある時突然ふとした瞬間に「その人は私とは全然違うんだ」と気づく。そういう経験が誰にでもあるんじゃないだろうか。大好きなんだけど分かり合えないと誰かに対して思うこと。運命の繋がりの不在を、ちょっぴり悲しんで終わること。

映画『真っ赤な星』

私はもう、そういうことに対して本当に諦めが早くて、違う人間なんだから仕方ないなと思ってしまう。そうあることが”大人”だと、どこかで決めつけている。けれどこの映画で、主人公の陽(小松未来)は易々と私の前に立ちふさがる壁を乗り越え、一直線に弥生(桜井ユキ)の人生に突っ込んでいった。

 

「もっと弥生ちゃんの近くに行きたい」
「弥生ちゃんは何が欲しい?」

 

私がそんなことを言われたら、一体なんて返事すればいいの?筋の通った答えを準備させる暇もなく、映画は全速力で101分を終えました。

映画『真っ赤な星』小松未来/桜井ユキ

これは、神様のいない国でしか撮り得なかった映画だ、と思います。この映画が抱えている、もう一つの大きな問題についても。でも神様の不在を嘆いたり、どうしようもないから諦めようとすることもなく、”本当に欲しいもの”に対して彼女たちは必死で貪欲です。だからひどく傷つきもする。「でも、生きるってそういうことでしょ?そうじゃなきゃ、生きてるって言えないでしょ?」と、監督や制作陣の叫びが、静かな画面の向こうから響いている。この映画は、諦めを覚えた私を許さない。

映画『真っ赤な星』小松未来/桜井ユキ

今この20歳の終わりに、この映画に出会えて良かったなと、私は心から思います。

不必要なものが何一つない感情のむき出しを、ぜひ劇場で目撃してください。

Review by 染井

 

映画『真っ赤な星』『真っ赤な星』

2018年12月1日より全国順次公開中
監督・脚本:井樫彩
出演:小松未来/桜井ユキ
公式サイト
©「真っ赤な星」製作委員会


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映画『ホリデイ』

クリスマスカウントダウン・アドベント映画レンダーVol.4『ホリデイ』

こんにちは。エージェントのミミミです。
今回ご紹介する映画は2007年公開の

『ホリデイ』

監督は『ハート・オブ・ウーマン」、『恋愛適齢期」の女性監督ナンシー・マイヤーズ。「彼女は作品内に自分の体験を散りばめることがある」と言う説を聞いたことがありますが、今作ではどこに隠れているのでしょうか。

主要キャストは、豪華俳優陣4人!!!
まずは、ラブコメ界の女王、きれいなブロンドに完璧なスタイル、そしてチャーミングな笑顔を兼ね備えたキャメロン・ディアス。そして、最近では『女と男の観覧車」で等身大の痛々しくも美しい主婦を演じたケイト・ウィンスレット。お次は、直近で観た方もいるのでは?『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』で若き日のダンブルドアを演じたジュード・ロウ。最後は、これまた話題の新作『ルイスと不思議の時計』に出演したジャック・ブラック

こんな盛りだくさんな俳優陣でお送りする映画『ホリデイ』。
キャッチコピーは「人生に一度だけ、誰にでも運命の休暇がある」ということで、男女二組のラブコメディです。

「恋愛を忘れてしまった」「恋愛に絶望した」「恋愛を諦めた」「本当の恋愛を探し求めている」それぞれ様々な思いを抱えた登場人物たちが出会い、ストーリーが進んでいきます。

この映画の特徴として、設定が大胆で個性的でありながらもしっかりと最後には収まるところにしっかり収まってくれるところ。
ロサンゼルスロンドンの5000マイル離れた土地を舞台にした物語が同時進行で進んでいきます。また、人物関係もとても面白く、同時進行で描かれる物語はしっかりと結びついています。二つの味が違う飴玉を舌でコロコロ転がしているような楽しいわくわくドキドキ感がたまりません!

また、劇中音楽も素晴らしいものばかりで、『レインマン」でアカデミー賞ノミネート、『ライオン・キング」ではアカデミー作曲賞、ゴールデングローブ賞を受賞したハンス・ジマーが担当。印象的なシーンをそれぞれ盛り上げてくれる劇中音楽にも是非耳を傾けてみてはどうでしょうか!

では、ここで小ネタを少々。劇中でレンタルビデオ屋に行くシーンがあるのですが、“あの”アカデミー主演男優賞受賞の大物俳優が登場!実は、彼は当初出演予定はなく、撮影現場に偶然通りがかったことによって出演が決定!偶然が作り出した奇跡…。
また、寿司屋でジャック・ブラック演じるマイルズがケイト・ウィンスレット演じるアイリスの胸に触れてしまうシーンが劇中で登場します。これはジャック・ブラック本人が監督のナンシー・マイヤーズの胸に触れてしまったアクシデントから生まれたものだそう!彼女の体験談はここに反映されていたんですね。もしかしたらほかにも…(笑)。

ということで、男女四人の恋愛模様だけでなく、様々な人との出会いや物語が絡み合い、ぜいたくな群像劇として見応えばっちりです。
是非、クリスマスのこの機会に観てみてください!

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映画『ガーディアンズ 伝説の勇者たち』声の出演:クリス・パイン/ジュード・ロウ/ヒュー・ジャックマン

クリスマスカウントダウン・アドベント映画レンダーVol.3『ガーディアンズ 伝説の勇者たち』

こんにちは。
学生映画宣伝局のエージェント兼2代目秘書、おこめとパンです。

ハロウィンが過ぎて、世間はすっかりクリスマスですね。
クリスマスといえば、彼がいなければ始まりません。

そう、サンタクロースです

“ほっこり優しいおじいさん” が定番の彼ですが、
そんなイメージが180度塗り替えられる映画があります。

それが、『ガーディアンズ 伝説の勇者たち』


サンタクロースはもちろん、麗しの主人公”ジャック・フロスト”が放つ魅力や学生だからこそ突き刺さるストーリーに注目していきます。

 

①背中を追いかけたくなる!●●なサンタクロース

本作ではサンタクロースイースターバニートゥースフェアリー(歯の妖精)サンドマンらによる“ガーディアンズ”のもとへ、世界を恐怖で支配しようと企むブギーマン、精霊ピッチが姿を現します。
そんな悪夢から世界中の子どもたちを守るため、ガーディアンズへ新たに召集されたのがジャック・フロスト
妖精として気ままにいたずらをして過ごす彼は、始めは「適任じゃない!」と戸惑います。
しかしガーディアンズと関わっていくうちに変化が…。

自分でも進むべき方向がわからなくなった時、誰かがヒントを握っていることってありますよね。
その存在が冒頭でお話ししたサンタクロース、ノースです。
彼は、私たちの知るほっこりしたおじいさんではありません。
屈強なんです。
豪快な笑い方、腕には刺青、がっしりした体つき、両手には剣!
みんな大好きソリの上でガンガン闘います。
そんなワイルドかつ愉快なノースには、茶目っ気や相手を思いやる広い心までしっかりあります。
楽しそうに競争心を燃やすかと思えば、悩んでいるジャック・フロストにもさりげなく手を差し伸べます。
だからこそ物凄く付いていきたくなるし、受け止めて欲しくなる存在です。
こんな上司のいる会社に就職できたらいいな!

 

②麗しのジャック・フロストにひれ伏す

そして、サンタクロースが図らずとも導いたのがジャック・フロスト
私は本作を手に取った瞬間から、完全に骨抜きにされました
元々、冬の色や肌が冷たそうな人がどうしようもなく好きな私にとって、ビジュアルから最高でした。造形が本当に美しいです。

雪女だとか某王女様だとか、氷を操る存在は女性で少し厳格な美しさを持っている…というイメージが印象強かったのですが、見事に打ち破られました!
身軽で細身のスタイルラフなパーカーちょっといたずら好きな優しいお兄ちゃんっぽさ、そして新雪のような白い歯…。
これでもかというレベルで、ツボを押さえてくるのが彼です。
ラストシーン、本当に心臓が止まっちゃいました。
絶対に同じ気持ちになる(なった)人がいるはずです。いますよね。

ちなみに、そんな彼を演じるのはクリス・パイン
お気付きの通り、声優陣が跪きたくなるほど豪華なんです。
他にはヒュー・ジャックマン、ジュード・ロウ…などなど、映画ファン垂涎もの。
(ヒュー・ジャックマン演じるイースターのバニーは、格好良くて頼りになる…けれどどこか可愛い!自信に満ちた立ち振る舞いに惹かれてしまう!という、思わぬ落とし穴だらけのキャラクターです。)

日本語吹き替えではピッチ役を務めた山路和弘さんにシビれました。
山路さんといえば、ゲーム『ウィッチャー3 ワイルドハント』のゲラルトさんですね。

③見かけだけじゃない、心に留まるストーリー

ここまでキャラクターについてお話をしてきましたが、何と言ってもストーリーに心臓がキュッとします。

キャラクターの動きや肌、感触…など、どこを取っても魅力的な本作をファンタジーだと思って甘く見てはいけません。
まだまだ不安でいっぱいな学生だからこそグッとくるようなポイントが詰まっています。

そもそも、ジャック・フロストってあまり聞いたことがありませんよね。
…これなんです。
これこそが彼の悩みであり不安の源です。
存在を知られていないから誰にも見えないし、認めてもらえない
どんなに頑張っても楽しませても、誰も自分に気がついてくれない。しかも数百年。
果てしなく切なくて悲しい…!

そんな彼と、まだ存在を確立できない学生の私たちは何だか似ています。
特に大学生は、もうすぐ“学生“という肩書きが無くなって、いよいよ社会に放り込まれる時が近づいてくる。
何者かわからない状態の焦りや不安ってすごく大きくいですよね。
だからこそジャック・フロストの気持ちが痛いほどに伝わって、物語の節々でうるっとくると思います。
物語はファンタジーな自分のルーツ探しだけれど、現実的な私たちにもしっかり通じています。

また、与えられた役目にただ従うだけなのも味気なくて、「なぜ選ばれたのか?」という疑問を持つことってすごく大切ですよね。
それだけで色々なことに意味が生まれます。
ジャック・フロストは、それを強く求めることができたから本作の主人公になれたんだと思います。
不器用でも少しずつ自分を探していて、確かに傷はついていくけれどやめられない。

私たち学生だって、怖いけどもがいていくしかない!


「自分は何者なのか?なぜ選ばれたのか?」

透明人間のような気持ちになったり、認めてもらえない虚しさを抱えてしまった時、この作品はぴったりです。
自分がわからなくなって、どうしようもなく寂しい気持ちになった時、ぜひ一緒にこの作品を観てみませんか?
ジャック・フロストの存在を受け入れてみれば、寒い現実も吹き飛ばす楽しみがやってくることでしょう!

 

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映画業界人インタビューVol.10 映画コラムニスト ジャンクハンター吉田さん

映画業界人インタビューVol.10 映画コラムニスト ジャンクハンター吉田さん【後編】

大人の社交辞令を逆手に取り、ファミコン雑誌編集部に遊びに行ってバイトをゲットした恐るべき高校1年生

ジャンクハンター吉田さん:もう1つ自分の転機があったんです。その転機になった人が、元GAGAで、今はメディアコンテンツ研究家と名乗っている黒川文雄さん。黒川さんがGAGAで映画の宣伝マンをやっていた時に、ホラー映画のイベントを新宿のシネマミラノでやって、1989か90年くらいだったかな。『バスケット・ケース』っていうカルト映画があって、フランク・ヘネンロッターっていうニューヨークにいる映画作家を呼んでイベントをやったんです。その時に黒川さんが、舞台に出て、キャパが300名くらいのところで、すごく熱意たっぷりに映画の宣伝トークをして、お客さん達を沸かせてたんです。そんなのは初めて見たから「なんなんだ、この男は!」って思って、こういう宣伝も大事で、喋りも大事だし、やっぱりイベントでの喋りって必要なんだって思って、すごく影響を受けました。自分の中では追いかけなきゃいけない人だなって思って、映画業界に入った時には、黒川さんはまだGAGAにいたんだけど、ある日GAGAを辞めて、セガ・エンタープライゼスに就職されたと知って、ゲーム業界でも名前が出てくるのかなと思ってたら、予想が的中して「やっぱりこの人ってただ者じゃないな」と思った。その後しばらくして、ゲーム関係の人に「昔から黒川さんの大ファンだったんだよね」って話したら紹介してくれて、一緒に食事したんですよ。それから今も仲良く関係が続いています。

一同:え〜!すごい!

映画業界人インタビューVol.10 映画コラムニスト ジャンクハンター吉田さんジャンクハンター吉田さん:もう1人自分のDNAに入っているのは、淀川長治先生。25か26歳の頃に、会社の人から、ヤン・デ・ボン監督のディザスタームービー『ツイスター』の完成披露試写会に行ってこいって言われて、淀川先生の隣りに座ることになったの。こんな大御所の人が隣に座っていても、自分はまだペーペーでこっちから喋りかけるわけにはいかなかったんだけど、隣からすっごく目線を感じるわけ。そしたら、「おい、お前いくつだ?」って言うから、「まだ25です」って返したら、「年齢を聞いてるんじゃない!」って怒り始めて、「体重を聞いてるんだよ!」って言われて(笑)。

一同:ハハハハハ!

ジャンクハンター吉田さん:「体重ですか…、95キロです」って答えたら、「あと5キロ増やしてこい。100キロになったら俺が面倒見てやるから」って言われて。頼んでもないのにどういう意味だろうって思って、「え?意味わかんないですね」って言ったら、「飯食わしてやるから。お前、飯食うの好きだろ?どうせお前金とかないだろ!映画業界なんかな、金とか儲からないところだからな」っていう映画業界の話をいっぱい喋り始めて。そんなこんなで、一緒にご飯を食べたり、映画の観方を教えてもらうようになって、その時に映画宣伝マンとしてプロモーションをやっているだけだと、自分の素の部分が出ないなって思ったの。もともと定時制高校1年の頃に、宝島社の前身のJICC出版局っていうところに入ったんですよ。ファミコン全盛期だったので、そこでファミコン攻略本の仕事をしたり、隔週でファミコン雑誌を出版していた編集部の一番底辺で働いてたの。その時はまだ15歳で、自分で原稿はなかなか書かせてくれないわけで、とにかく雑用ばっかりさせられて。ゲームの攻略本を作る時は、ある程度テキストを書いてそれを写植屋さんに持って行ったりして、国語の点数は悪かったけど、文章の書き方は先輩達を見てすごく勉強になった。で、自分が映画の宣伝をやり始めた時に、文章力が必要になったんです。映画のプレスシートの原稿を書いたり、リリース文も書かなきゃいけないから、絶対必要になったのね。そういうのをやらされて、どんどんどんどん自分が叩き上げで原稿を書くようになったんですよ。そういう話とかを淀川先生にしたら、「お前は独立したほうが良いんだよ。今のサラリーマンで、月に15万じゃ割に合わないだろうから独立して、30を超えればきっと何とかなるだろ」みたいな話になって。「お前がフリーランスで物書きをやるんだったら、いろいろ教えてやる」って言われて、すっごくいろいろ教えてもらって、資料とかも「この辺にあるやつ好きなものを持って帰って良い」って言われて、大量に持って帰って。そこから、自分の中で黒川文雄さんから影響を受けた宣伝マンの仕事とは別に、もう一つのレールに乗っかっちゃったんですよ。文章を書く仕事の大事さを知ったのは、淀川先生のおかげなんです。淀川先生と2年間くらいの濃厚な時間があって、先生には「おれは弟子なんかとらないけど、お前が最後の弟子みたいなもんだ」って言われたんだけど、自分なんかを弟子だと語るのは恐縮でございますみたいな話で。でも、自分の中では、映画の宣伝としては元GAGAの黒川文雄さん、物書きとしては淀川長治先生のDNAが入ってるんです。この2人の影響はやっぱりすごく大きい。

おこめとパン:ファミコン雑誌の編集部にはどうやって入ったんですか?

ジャンクハンター吉田さん:中学を卒業して、たまたまその雑誌の編集後記に、「遊びにいらっしゃい」みたいなことが書いてあったから、ゲームをやりたくて遊びに行ったんですよ。「遊びに来いって書いてあったから遊びに来ました」って言ったら、「本当に遊びに来るやつがいたんだ」みたいな話になって。

局長:吉田さん、そんなのばっかりじゃないですか(笑)!

ジャンクハンター吉田さん:その時に知り合ったのが、今はゲームアナリストって名乗っている平林久和っていう人だったんですよ。平林久和さんは、自分の中で最初の先輩です。行く前にかけた電話を彼が受けてたから、「本当にお前来たんだ。お前いくつだよ?」って言われて、「中学卒業したばっかりでまだ15です」って言ったら、「若いなー!」って皆珍しがって、「じゃあ若いから食えるよな、ラーメン」って言われてパッと机を見たら、カップ麺が50個くらいあったのね。そのカップ麺っていうのが、お湯が必要のないアルキメンデスっていうカップ麺で。

一同:へえ〜。

ジャンクハンター吉田さん:「コレ、編集部に山ほど届いちゃってさ。消化できないから50個食ってくれないか?」って頼まれて。これはとんでもないところに来ちゃったなって思いながら、それを食べたんだけど、25個くらいでギブアップしたのかな。半分は食べないと根性を見せられないと思って。でもそんなに食べるとは思っていなかったらしくて、当時編集長だった井上さんや平林さんが、「こんなに食ったから、編集部にあるゲーム好きなだけやっていいよ」って言ってくれて、そこでずっとピコピコやって。定時制高校だったから、17時半には行かなきゃいけなくて、「すみません、16時半になったので学校に行きます」って言ったら、「え!普通の昼間の高校をサボって来たんじゃなかったのか?」って言われて、定時制高校に通ってるって話したら、「じゃあうちでバイトしないか?」ってことになったの。平林さんにそう言われて、井上編集長経由で唯一の15歳のバイトとして入って、そこで写植とか、雑誌編集とかものすごくたくさんのことを学んだ。自分の中の師匠一番手が平林さんで、2番目は黒川文雄さん、3番目は淀川長治先生。人生で5人は師匠が現れるって言われているんだけど、この3人は自分の中で絶対的存在なんです。あと、人生の先輩ではチャック・ノリス先生がいるので、あと1人って誰が現れるのかなって。この人生の中で、残りの1人が誰だろうって、ワクワクしながら生きているんですよ。

取材日:2018年6月1日

 

今回の記事担当:おこめとパン
■取材しての感想
お話がとにかくディープ(笑)!刺激的な内容だけでなく、惜しみなくご自身の知識や経験を伝授してくださるので、吉田さんこそ”師匠”という印象でした。「何事も行動、そして恐れない!」を信条に、私も壁をぶち破っていきます。

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映画『ホーム・アローン』マコーレー・カルキンほか

クリスマスカウントダウン・アドベント映画レンダーVol.2『ホーム・アローン』

こんにちは!学生映画宣伝局エージェントのmoです。
そろそろ町にも冬のムードが漂いはじめ、毎年恒例の大きなクリスマスツリーが設置されているのを見かけます。キラキラしたライトが町中に灯り、お店はお菓子やおもちゃ、クリスマスの飾りで溢れるこの季節。いくつになってもクリスマスの雰囲気は子どものようにドキドキワクワクしちゃいますよね(^^)。
ということで今回は、子どもが主役のクリスマス映画ホーム・アローンを紹介します!

大人気シリーズ1作目のビジュアルで、両手を頬にそえて目も口もまんまると開いたこの表情を、皆さん一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
マカリスター家の末っ子ケビンは、いつも自分を子ども扱いする家族にうんざりしています。クリスマスは親戚総出でパリに行くことになりますが、出発前夜にケンカをしてしまい、ケビンはこう言い放ちます、「家族なんか消えちゃえ!」 。翌日、目を覚ますと家には自分だけ!ケビンはひょんなことから家に置き去りにされてしまい、さらにはクリスマスの留守宅を狙った泥棒二人組が現れ…。

大きな家に一人残されたうえ泥棒に狙われるなんて、どうなることかと思いきや、子どもならではの発想で楽しんでしまうのがこの映画のおもしろさ。テレビを独占してもどんなにお菓子を食べても誰にも怒られないなんて、まさに子どもの頃の夢ですよね! 泥棒から家を守るためにケビンが張り巡らせる“泥棒撃退トラップ”も、使うのは家にあるもの、それもおもちゃばかりなのに、“そんな使い方をするのか!”と感心したり、過激な仕掛けに驚きます。しかもこの泥棒コンビもなかなかマヌケで、次から次へとトラップに引っかかる様子は爆笑必至!最後には家族の絆にほっこりするかも。
友達や家族とワイワイしながら観ると盛り上がりそうです。皆さんも是非観てみてください!

『ホーム・アローン』
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映画業界人インタビューVol.10 映画コラムニスト ジャンクハンター吉田さん【中編】

プロレスラーをやりながら、映画宣伝の仕事。そして、CGの専門学校へ

ジャンクハンター吉田さん:日本に帰ってきて、ハリウッドでの体験から格闘技の道に進みたくなっちゃって、プロレス界に入ろうと思ったんですよ。それでプロレスの道に進みつつ、1991年、当時住んでた新大塚から行ける場所でバイトできるところを探してたら、株式会社現代(現在は“株式会社現代マーチャンダイズ”)っていう、映画のプロモーションの仕事をやってる会社を見つけて。当時の時給が820円くらいで「安っ!」って思ったけど、修行のためにと思って、面接を受けたんだよね。面接には映画業界に入りたいっていう人がたくさんきていて、皆スーツだったけど、バイトの面接だしというのもあって、自分だけ短パンに半そでで行ったんですよ。ちょっとアメリカナイズされてたから、おかしくなってた(笑)。結局80人くらい面接を受けてて、3人採用の中に入れられて、なんで自分が選ばれたのか不思議だったけど、最初の仕事が『ターミネーター2』で、そんなにでかい仕事があるんだと思った。それから『ターミネーター2』の仕事をやりつつ、ジャッキー・チェンの『ツイン・ドラゴン』っていう映画のプロモーションをやったり、東宝との仕事が多かったね。プロモーションとして、配布用、劇場販売用のキャラクターグッズの企画とか、いろいろとやり始めて、そうしてる間に、自分はまだ20歳で会社で1番若かったので、東宝東和のプロモーション会社に行けって言われて、東和プロモーションっていう会社で下積み生活を始めたんです。映画のチケットを管理している会社で、当時、東宝東和は20世紀フォックスとか日本ヘラルドのチケットの管理をしてたの。でそのチケットの営業を手伝わされたり、飲食店とかを回って、B2ポスターを貼ってもらったり、ポスターをラミネートフィルムで加工して看板を作って、店先に置かせてもらったり、営業なんかしたことがなかったから全然わからなかったけど、いろんなところへ行って、まず喋りを鍛えさせられて、これがタモリ倶楽部で見ていた、喋りを鍛えるってことなんだなと、自分のなかでの挑戦と思ってやってた。そういういろんな仕事をして、映画の宣伝をやった時はおもしろかったですよ。27歳の夏で会社を辞めるまで毎月15万で、生活がすっごくきつかったけどね。でも、やっぱ人生って修行が大事だと思うし。

局長:それと同時にプロレスラーをやってたんですよね?

ジャンクハンター吉田さん:その時に、アニマル浜口ジムに入って、プロレスの練習もし始めた。

一同:うわ!ヘビー!

映画業界人インタビューVol.10 映画コラムニスト ジャンクハンター吉田さんサン:そのときにジャンクハンターって名前が付いたんですか?

ジャンクハンター吉田さん:ジャンクハンターっていうのはまだ。ジャンクハンターって名乗り始めたのは1997年かな。フリーライターとしての道をスタートする時に、ジャンクハンター吉田っていう名前で活動し始めたんですよ。その後2000年に、プロレスをやって欲しいってすごく頼まれて、その時ライターネームの“ジャンクハンター吉田”のまま、プロレスとか格闘技を始めちゃって。でも、それまではずっとアマチュアでしかやってなくて、プロとしてはやってなかった。48歳でジャンクハンター吉田って、どうなのかなって思うけど、自分でもこの歳までこの名前で仕事してると思ってなかった(笑)。

一同:ハハハハハ!

ジャンクハンター吉田さん:20年ちょっとこの名前で仕事してて、一回この名前を捨てて、“吉田みやん”って名前にしたけど、仕事がこなくて、ジャンクハンター吉田に名前を戻したら一気に仕事がきたっていうね。絶望感を味わいました。名前は変えちゃいけないって思った。まあそういっても映画業界って、もともとお金が儲からない仕組みになってるんだなって、すごく学んじゃって。で、1998年に、デジタルハリウッドっていうCGの専門学校に退職金で行ったんですよ。CGクリエイターになるつもりはなかったけど、フリーのライターとして活動していきたいなと思って。あと1997、98年って、CGブームがくるっていう黎明期だったんですよ。その時にまた修行したいなと思って退職金の80万を全部注ぎ込んで、お茶の水にあるデジタルハリウッドに行って、半年間CGを学んだけど、知識が欲しかっただけだから、就職活動はしなかった。就職活動をしてたら、今の自分はいなかったですよ。でも、その知識のおかげで、ゲームクリエイターとも仲良くなれるし、ハリウッドのCGクリエイターともすごい仲良くなれる。

おこめとパン:それはどうやって、そういう方々と繋がったんですか?

ジャンクハンター吉田さん:取材です。ライターでここまで詳しいやつはいないって皆に言われる。クリエイターはそういう人間を喜ぶわけですよ。ウェルカムって感じで「飲み会やるから来ない?」って言われたり、アメリカに行って取材した時には、今度紹介したいやつがいるからって言って、CGクリエイターを紹介してもらったり、ILM(インダストリアル・ライト&マジック=アメリカの特殊効果の制作会社)の人を紹介してもらったり。それでいろいろ広がっていって、その80万は自分への投資だったけど、役に立ったよね。普通のライターじゃわかんない知識がいっぱいあるって言われて。

取材日:2018年6月1日

吉田さんのこれまでのご経験があまりにドラマチック過ぎて、3回の連載には収めきれないのですが、まだまだ“ドラマ”は続きます!
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クリスマスカウントダウン・アドベント映画レンダーVol.1『RENT』

こんにちは!学生映画宣伝局エージェント cosmos です。

これから毎週、映画レビューを投稿していきます。読者のみなさんが映画を観たくなるような、好きな映画をもっと好きになるような、そんなレビューを書いていけたらなと思っています。よろしくお願いします!

今週から12月いっぱいまではクリスマス特集です!クリスマス映画を独自の目線からたくさん紹介していきたいと思います。

初回はミュージカル映画『RENT』。

え、それクリスマス映画なの?て感じですよね。まあ簡単に言うと違います!というかテーマは全くクリスマスではありません。物語がクリスマスに始まり、翌年のクリスマスに終わるだけです。

むしろテーマは「HIVと貧困の中でもがく若者」という感じです。ロックミュージックが最高にかっこいいので忘れそうになりますが、かなり重くて苦しいお話です。クリスマスに近づいてから観るには悲しすぎちゃうのでこのくらいの時期がちょうどいいかもしれません。

なんて言いながら、実は私、これほどのクリスマス映画って他にはないとも思っています。

作中で重要なカギを握るエンジェル。サンタドレスに身を包み、クリスマスの朝に登場する彼(彼女)はまさにクリスマスプレゼント。マークやロジャー、コリンズだけでなく、観ている私たちにまで幸せを届けに来てくれる、そんな本物のエンジェルだと思うのです。映画を最後まで観てもらえたら、余計そのことが実感できると思います。

私、『RENT』のミュージカルを劇場で観たことあるんですけど、エンジェルが登場しただけで拍手と歓声がすごかったです!家で映画を観る分にはスタンディングオベーションも自由なので、ぜひエンジェルたちと歌って踊って楽しんで観てください!

 

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映画業界人インタビューVol.10 映画コラムニスト ジャンクハンター吉田さん

映画業界人インタビューVol.10 映画コラムニスト ジャンクハンター吉田さん【前編】

今回は、エージェントのサンと、おこめとパンが取材しました。このインタビューは3回に渡ってお届けします。

高校生で『ロボコップ』前売り券50枚の束を買い占めた!

サン:今まで映画にまつわるお仕事をいろいろとされていますが、ご職業名は何と書けば良いでしょうか?

ジャンクハンター吉田さん:そうか。映画コラムニストが主軸だよね、今はね。たぶんこの映画コラムニストっていう肩書きが、“最終駅”だと思うんですよ。これまでは映画の宣伝マン、ライター、ジャーナリスト取材とかをしてきたけど、1つの作品について「語ってください」「記事を書いてください」っていうオファーがすごく多くなっちゃって。需要がどれくらいあるかって自分ではわからないけど、例えば『レディ・プレイヤー1』だったら、普通はスピルバーグ推しだったりするけど、敢えてそうせずに、脚本家の目線という独自の切り口にしたり。具体的にいうと、「脚本家が実は80年代の映画が好きで、ゲームが大好きで、ゲームのドキュメンタリー映像まで作ってるザック・ペンっていう人で…」とか、そういうアウトサイドの切り口からコラムをやってくれって言われるわけ。王道なら誰でもできるけど、僕は王道じゃないところを切り口にするから需要がある。隙間産業ですよ。結局、畑を耕してるところはいっぱいあるけど、遠くの畑までは耕せないんですよ。だからやっぱり自分としては、メインストリームじゃなくアウトサイドのほうから、遠くの畑を耕すほうが、作品を柱として自力で支えてるような気がして好きなんです。それは映画の宣伝も同じで、メインストリームは誰だってできます。なんでかというと、お金を投入すれば、広告を打てるしCMも出せます。でも、お金を投入しないでどうやって限られた宣伝費でやるのか、頭を使って考えなきゃいけないとなると、王道で宣伝できない。だからアウトサイドから、遠くの畑を耕すやり方で宣伝していく。それが僕がホラー映画の宣伝ばっかりだった理由です。

局長:私が吉田さんに出会ったのも『テキサス・チェーンソー』の宣伝をされてた時でしたもんね。ほんと、宣伝、ライター、ジャーナリストと、いろいろされてて、ゲームもすごく詳しいですよね。

ジャンクハンター吉田さん:幅広くやってきたっていう部分で、肩書きを特に重要視しないで、この業界で生きてきてっていうのがあって、それが根底だよね。肩書きがあると、それだけ仕事の幅が狭くなるなと思って。だから名刺に肩書き入れてないでしょ。肩書きって、すごくこの業界で重要視される部分なの。でも肩書き入れないと、「こういう仕事できますか?」ってオファーが来るの、フリーランスだから。いや、できませんって断るときもあるけど、7割はできる仕事が多い。クライアントがある程度ネットで調べて、この人ならこういうことができるかなって思ってオファーしてくるの。フリーとして生きる道はそこだよね。

サン:では、定番の質問なのですが、この業界に入ろうと思ったきっかけを教えてください。

ジャンクハンター吉田さん:映画業界の話に限定しちゃっていいんだよね?

局長:はい、大丈夫です。

ジャンクハンター吉田さん:“タモリ倶楽部”っていう番組を80年代に観てて、当時は映画宣伝マンが月に1回くらい出てきて競い合ってたわけよ。それを観た時に、映画の宣伝マンって、喋れないとダメなんだなって思ったの。で、俺だったらこんな風にもっと喋れるのになって、自分で勝手にシュミレーションしてたのが高校生の時かな。それから1987年に、ポール・ヴァーホーヴェン監督の『ロボコップ』を試写会で観て衝撃が走って、これは自分が考える映画の教科書だと思ったの。こんなに最後まで沸かせるような、これはもう自分の中の王道の王道で、無人島に絶対持っていきたい映画だなって。定時制の高校に行ってて、バイトでお金をいっぱい貯めてたから、このポール・ヴァーホーヴェンってよくわかんないけど、映画の業界に入れれば、この人にきっと会えるかもしれないなと思って、映画のチケット屋に行って、前売り券を全部くださいって言ったの。

『ロボコップ』

一同:ええー!!

ジャンクハンター吉田さん:「全部ですか?!」って言われて、「全部です」って答えて(笑)。その時自分は高校生だったから学生として普通はそんなに買えないじゃない。でも、まだチケットが誰にも買われてなかったので、50枚つづりが1束あって、「すいません。これ50枚一束ください」って言ったら、「一束ですか?!」って聞かれたから、「いや、これ本気です」って言ったんだよね。そしたら、そこの人達が “なんだかよくわかんない若者が『ロボコップ』のチケット50枚を買おうとしてるらしい、なんなんだこれ?”ってざわざわしてたけど、現金で買って。当時の銀座プランタンのプレイガイドの人達の中では伝説になってるかもしれない(笑)。

一同:いや~すごい。

ジャンクハンター吉田さん:やっぱりね、この業界に入る時の熱量が大事なんですよ。“タモリ倶楽部”に出てた映画宣伝の人達が熱量ないなと思って、あれは反面教師でしたね。やらされてる感があって、この作品を本当に心底愛してない状態で宣伝してるな~っていうのが伝わってきちゃって。宣伝マンだから仕方なくきてるのかなって、ブラウン管越しだったからそういう風に感じたのかも知れないけどね。でも、いつか映画業界に入ったら、自分は熱量100パーセントでぶっぱなすしかないなと思った。『ロボコップ』でうるっとくるのもおかしいかも知れないけど、試写会で観た時も号泣して、自分だけしか泣いてなかったけど、17歳の時かな。劇場公開してからビデオリリースを待てずに輸入版VHSも買って、「この道に進んで『ロボコップ』を担当したら、こうやって宣伝するのにな」って考えたり、いろいろ自分の頭の中でシュミレーションしてました。それでね、定時制高校で4年制だったので、卒業する間際、映画の仕事とか漠然とした状態だったけど、アメリカに行ったんですよ。『ドラゴンへの道』っていうブルース・リーの映画があって、ハリウッド俳優であり、空手家のチャック・ノリスをこの作品で観て、「この俳優すごい、胸毛むしられてる。なんだすげえ!」と思って、彼を好きになっちゃって。マーシャルアーツ本とか空手本とかもういろいろ調べまくったら、見つけたんですよ、住所を!チャック・ノリス道場って書いた、空手着を着たチャック・ノリス先生の写真が載ってたから、「これだ!」と思って、渡米して道場を訪ねたんです。で入門させてもらおうと道場に行った瞬間に、たまたまチャック・ノリス先生がいてね。

一同:ええー!すごい!

ジャンクハンター吉田さん:これはもう逃せないと思って、なんとかハリウッドで仕事ができるかも知れないって勝手に妄想が膨らんじゃって、何の経歴もなく、何の手土産もなく行って、「あなたの作品”THE WAY OF THE DRAGON”を観ましたよ。ブルース・リーではなく、あなたのファンになりました。あなたのジャンピング・バック・スピンキックは本当に強いんですか!?」って、片言の英語でペーパーを持ちながら喋ってね。でも「本当に強いんですか?」って聞いたもんだから、それを向こうが道場破りと勘違いしちゃって。

一同:アハハハハ!

ジャンクハンター吉田さん:これはまずいなと思ったけど、道場生達に囲まれちゃって、カラテもレスリングも、格闘経験なんて何もない人間が、でっかいサンドバックっていうかキックミットっていうのを持たされて、「歯を食いしばれ」みたいなことを言われて。チャック先生が「本当にいいのか?」って聞いてきたけど、全然言葉がわかんないから“Welcome”って言ったら笑い始めちゃって、3,2,1と数えた後、ボーンっとジャンピング・バック・スピンキックをくらったんです。吹っ飛ばされて、3回転くらい転んだのかなあ。

局長:漫画みたい(笑)。

ジャンクハンター吉田さん:そしたら道場生達が「なんだ、この日本人は!」ってなって、一気にそこで皆爆笑し始めたの。それまで道場破りが来たと思われてすごい空気だったけど、その後に皆笑いながら近づいてきて、「お前のキックミットの持ち方がおかしいんだよ」とかダメ出しされて、そこで一気に雪解けして、仲良くなったの。それでチャック先生に「お前は本当に何しに来た?クレイジーだな」って言われて、「いやあ感動しました。キック食らって回転したけど、あなたは本当に強かった」って、なんだか気持ち良くなっちゃって、感動して泣いてたら、「泣く必要ないだろ」って言われて、「観光ビザだから3か月間、ここで道場生としてやりたい」って話して、入れてもらったんだよね。道場にはどっかで見たような映画プロデューサーとか、俳優とかが来るわけ。やっぱチャック・ノリスってすごい人なんだって思い始めて、アメリカでは格闘家としても有名だし、俳優としても有名なんだなって、余計尊敬を抱いちゃって。だから、そこで練習してて、白帯のくせに試合に出たいっていう欲求が出てきちゃったんですよ。

局長:なんか運命に導かれてる感がすごくありますね。

ジャンクハンター吉田さん:チャック先生は映画の撮影があるから1週間とか10日に1回しか来てないらしくて、「お前はラッキーだ」って言われた。直接指導は、本当に1週間とか10日に1回、みっちりと教えてくれるんだけども、その間も自分達は本当もう底辺だから、道場の隅々を磨いたり、下積みをやらされたんですよ。でもそこにハリウッドの映画人がいっぱい来るから、ミーハー気分ですごくドキドキするわけ。でもビザが切れるので帰国したんだよね。

今回の記事担当:サン
■取材しての感想
私の想像を超える破天荒で濃密なエピソードに、仰天するばかりのインタビューでした!難しいことをいろいろと考える前に、自分の直観に従って行動を起こすことが大切だと感じました。ありがとうございました!

取材日:2018年6月1日

映画化されても良さそうなくらい、ドラマチックな人生を送られている吉田さん。次回も濃厚なお話をお聞きしています!→【中編を読む】

 

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映画『ロボコップ』『ロボコップ』日本初の4K上映&国内外ゲストを招いてのファンイベントの開催を!

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翻訳家:菊地浩司さんインタビューに見せて頂いた資料

映画業界人インタビューVol.9 翻訳家(ACクリエイト株式会社 代表取締役会長) 菊地浩司さん【後編】

映画は、文化を輸入する役割がある

局長:今みたいにインターネットとかですぐ調べられない時代は、知らないものが出てきた時にどうされてたんですか?

菊地さん:聞く!

一同:アハハハハ(笑)。

菊地さん:例えば、LPD【Los Angeles Police department】とか、Highway Patrolとか、警察の種類もいろいろあるでしょ?日本と警察の組織が違うから、わからないとドラマ自体がわからなくなっちゃう。となるとそれは調べなきゃいけないから、知ってそうな人に聞く。それと同時に、日本語に翻訳しなくちゃならないから、日本の警察のことも知らなくちゃいけなくなる。例えば、日本の警察で“巡査部長”って偉い地位に聞こえるけど、実際は日本の警察の中では下のほうなんだよね(笑)。

一同:へぇ〜。

菊地さん:下から二番目くらい。そういうことが頭に入ってないと、上手に訳せないわけよ。

らいらい&mo:確かに。

菊地さん:あと、最近はあんまり使わないけど、“police”のことを日本では“お巡りさん”、悪く言えば“お巡り”って言い方をしてて、私服の“detective”は刑事でしょ。でも日本では刑事はデカとも呼ぶ。そうすると、“お巡り”とか“デカ”って、良い言葉なのか悪い言葉なのかわからないまま使って、警察から怒られちゃうと困るから、警察に問いあわせて「“お巡り”って言い方をしても良いですか?」って聞いたりしてね。

一同:へぇ~〜(笑)!

菊地さん:わからないことが多いから、警察や自衛隊とかには、よく電話しましたよ。あとアメリカの地方検事って田舎の検事だと思ってたら、選挙で選ばれる、その地区で一番偉い検事なの。日本では検事を選挙で選んだりしないけど、アメリカでは州知事みたいな地位なんだよね。そういうのが頭に入ってないと、訳す時に間違えちゃう。

局長:それは、やりながら学べる部分と最初から知ってないとできないことがあるんですか?

菊地さん:最初は知らないから、出会う度に知っていく。

局長:なるほど~。実は、moは翻訳家を目指しているんです。

mo:はい…やりたくて、今日来ちゃいました(笑)。

菊地さん:おお~(笑)。

局長:彼女のように、翻訳家になりたい人はどんな準備をしたら良いでしょうか?

菊地さん:英語がすごくできる人達が増えたけど、実はそんな必要でもない(笑)。TOEIC満点でも、翻訳で使う英語とはギャップがあって、英語を読み込む力っていうのかな。トライアルというか、ちょっと例題を出してみるね。

翻訳家:菊地浩司さんインタビューに見せて頂いた資料

デスクから紙を取り出してきて見せてくださいました。

菊地さん:これ、映画の翻訳じゃないんけどね。それほど難しい単語は書いてないけど、おおよその意味はわかる?

’I still miss my ex-husband, but my aim is improving. ’

mo:まだ前の夫に未練があるけど前を向いて行くわ…?

菊地さん:うーん…、みんなそうやって訳しちゃうんだけど、実は全然違うんだよ。このaimっていうのは狙いって意味で、ここにあるmissっていうのは、それに対する言葉なの。

一同:あ~!

菊地さん:「私はまだ前の旦那に弾をあてることができない」、“miss”は、「打ち損じる」って意味。もちろん未練があるって意味もあって、ここではダブルミーニングで使われてる。

mo:そっちの意味か!

菊地さん:「だけど、私の狙いはだんだん良くなっていってるわよ」って言ってるわけ。

らいらい&mo:難しい~(笑)!

菊地さん:決して難しいわけではないんだけど、みんなひっかかる(笑)。でもこの言い回し、ネイティブはすぐ理解できるんだよね。

局長:言葉の組み合わせからも意味を読み取るんですね。

菊地さん:そうそう。でもこの“miss”を“寂しい”って訳しちゃうと、次の文が訳せなくなっちゃう。

らいらい:そういう感覚は、海外で生活して触れていくことで養えるんですか?

菊地さん:いや映画のセリフに触れてれば大丈夫だよ(笑)。映画のセリフってこういうの多いんだよ。

一同:へぇ~~!

菊地さん:一見単純な話し言葉のようだけど、脚本家が一生懸命頭を使って考えてるから、単純なセリフじゃないことが多い

らいらい:そっか~。

菊地さん:字幕なんか無くてもわかるって言う人がいるけど、そんなに簡単ではないぞ~って(笑)。

局長:なるほど。じゃあ逆に、DVDとかで日本語で聞いて、英語の字幕で観るというのも良いんですかね?

菊地さん:英語の勉強だったら良いんだよね。イアン・マクレガーって友達がいるんだけど、知る限り日本語を英語に訳すのが一番上手。彼の訳した日本映画を字幕つきで観ると、「ああ、(英語で)こう言うんだ~。なるほど」って。

局長:マクレガーさん、覚えておきます!

翻訳家(株式会社ACクリエイト代表取締役会長) 菊地浩司さん菊地さん:あとはね、日本語の感覚。英語ができても大事なところを見落とすと、映画がつまんなくなっちゃう。できないのが普通なんだけど、自分の英語に自信を持たないことも大事。

mo:自信を持たない?

菊地さん:わからないって思った時には、わかる人に必ず確認すること。わからない度に必ず確認する。たぶんこうだろうって思っても、確認する。特にこういう大切なところはね。

局長:ユーモアのある言葉を、ユーモアがあるように訳すのも難しいですよね。

菊地さん:だから今度は日本語のセンスが必要になるわけよ。大体意味はわかってて、日本語でなんて言えばいいかわからない単語はどうすれば良いかなとか、それこそ字幕は字数制限もあるし。

一同:確かに。

局長:翻訳者になりたいなら、翻訳の勉強ができる学校に入ったほうが良いということはありますか?

菊地さん:我々の時代はそんな学校はなかったからなぁ。僕は法学部で英語なんて関係なかったし、ただ多少、学生時代に会話はできたかな。一つは、日本語の練習をしたほうが良い。ピカソみたいな絵を描く人も、デッサンがめちゃくちゃ上手で、ダリとかも若い時からすっごく上手なんだよね。だから、日本語のデッサンみたいな、本当は俳句でも短歌とかでも良いんだけど、例えばこの部屋を文で表してみるとか。それも自分のために書くんじゃなくて、誰かが読んだ時に、この部屋を思い浮かべられるように、表情とか動かないものをいかにイメージできるか、文章で書く練習をする。そうすると、表現力がつく。

局長:ほぉ~。

菊地さん:日本語の翻訳は一つの表現だから、そういう言葉のデッサンで練習しておくと、こういう時はこう訳せば良いっていうのが自然と身についてくるのね。だから日本語のデッサンをしておくと良いよ。英語は後からでも良い

らいらい:今まで訳して一番おもしろかった、楽しかった作品はなんですか?

菊地さん:うーん…、よく言うんだけど、『スタンド・バイ・ミー』かな。まだ若い頃にやった作品なんだけど、主人公と同い年で、映画の中に出てくるいろいろなシーンがほんとに自分の若い頃と同じで、小学校の頃の夏ってあんな感じだったよな~って思えた。自分で翻訳しながら共感できたんだよね。

局長:逆にぶっとんでるというか、意味がわかりづらい作品も、それはそれで楽しいんですか?

菊地さん:言えません(笑)。でもまぁコメディはおもしろいよね、一番難しいんだけど。

局長:ダジャレとか、英語で韻を踏んでいる言葉を、日本語でも韻を踏んで訳しているのが、いつもすごいなと思います。

mo:本当にすごい。

菊地さん:映画って長く残るから、いつ観てもおもしろくしなきゃいけないんだよね。

mo:10年後、20年後に更新していくんですか?

菊地さん:そういうことがあまりないから難しいんだよね。今風の、時代ウケする訳をしても良いんだけど、僕が良い映画だなって思うのは、10年後、20年後の人が観てもウケるように訳しているもの。それはどっちが正しいとかではないんだけどね。

局長:さじ加減がすごく難しそうですね。2時間の映画だと、翻訳のお仕事はどれくらい時間がかかるんですか?

菊地さん:ピンキリだけど、机に向かって翻訳してる時間は4日くらい。

局長:もうほぼ缶詰状態ですかね。

菊地さん:まあ8時間くらいずっとかな。僕と戸田さん(戸田奈津子さん)なんかは早いから、4日くらいでやって、その前後に試写をやったり、ずっと翻訳だけしてるわけではないから、だいたい全部で1週間くらいで終わるのかな。一番多く翻訳してた頃は、年に50本翻訳してたから、1週間に1本のペースでやってたかな。

一同:えぇ~、すご~い!

菊地さん:当時はビデオがなかったから、3回映画会社に行って観るのよ。一番最初に観て、机に向かって翻訳して、2回目はその原稿と映画を付け合わせて、あとはラボで字幕を入れてもらって、最後に字幕の入った状態で観る。40本やるとしたら、120回は映画会社に行って映画を観ることになるから、その間に時間をみつけて翻訳するわけよ。

らいらい:すごいな~。

mo:では、最後にどんな人が翻訳者に向いてますか?

菊地さん:戸田さんを筆頭として石田康子さん、松浦美奈さんとか、今劇場公開の映画を翻訳している人達はみんな基本明るいよね。おしゃべりが好きで、じーっとしてるより、明るい人が多い。

mo:お会いしてみたいです。

一同:ありがとうございました!

今回の記事担当:mo
■取材しての感想
とても気さくで、お話の上手さが印象的でした。思わぬところで翻訳に挑戦させていただきましたが、やっぱり、英語の読み込みや制限内での置き換えは難しい…。だけどそれ以上に楽しく、興味深いことばかりで、さらにやりたいという気持ちが強まりました。他の翻訳者さん達の話もおもしろくて、今回お話を聞けて良かったです!ありがとうございました!

取材日:2018年7月6日

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翻訳家(株式会社ACクリエイト代表取締役会長) 菊地浩司さん

映画業界人インタビューVol.9 翻訳家(ACクリエイト株式会社 代表取締役会長) 菊地浩司さん【前編】

今回は、エージェントのらいらいと、moが取材しました。2回に渡ってお届けします。

今は普通に使われている言葉には、翻訳がきっかけのものも

ごはん:この業界に入ろうと思ったきっかけや、このお仕事に就いた経緯を教えてください。

菊地さん:全く成り行きで、映画の字幕をやるなんて考えてなかった。大学を出た1970年当時は、アンダーグラウンドな日本のお芝居とかがすごくおもしろい時代だった。寺山修司とか唐十郎とか、歴史に名を残すような人達が登場して、全体的に熱気のある時代で、僕は何となく隅っこでその真似をしてました。就職しないでブラブラしていたら、新宿で映画喫茶を作った大学の先輩に声をかけられてね。映画は本来、映画館で観るものだけど、その先輩がお茶を飲みながら観られる場所を作りたいと言ったんです。
とはいっても、フィルムが手に入らないでしょ?当時はビデオもない時代だからね。アメリカでは家庭用の16ミリフィルムっていうのがあったんです。それをその先輩がアメリカから輸入して、喫茶店で流して見せるっていう話だったの。ただしちゃんとした映画はやっぱり手に入らなくて、チャップリンとか、サイレント映画を最初に持ってきた。サイレント映画はセリフはしゃべらないんだけど、幕間に文字が出る。アクションだったら、「この野郎」とかって。アメリカの映画だから英語で書いてあるので、それを日本語にしなきゃいけないわけ。そのサイレント映画に日本語字幕をつけた、っていうのが僕の一番最初の字幕かな。
それをやってくうちに今の映画、トーキー映画もやっていこうかってことになって。当時トーキー映画に字幕を入れるラボがあったから、そこに行って「字幕翻訳ってどうやってやるんですか?」って教えてもらって、最初は真似ごとで字幕を始めた。これが1番最初に字幕の翻訳をやるようになったきっかけです。で、ちょうどサイレント映画からトーキー映画を翻訳するようになった頃に、日本の会社が16ミリの外国映画を輸入して流すっていうのを始めて、「16ミリの映画を丸ごと翻訳しているやつがいるぞ」って、そういうところから仕事をもらうようになって、16ミリの翻訳を始めたんです。映画館で公開する映画はヒットするものもしないものもあるけど、ヒットしないなら捨てちゃうから、16ミリになるってことは基本良い映画、名作が多いんです。だから16ミリ時代に良い作品にたくさん出会って、名作に傷つけてすいませんって感じだけど(笑)。

一同:いやいやいや!

局長:その時代は劇場公開されるのは邦画がメインだったんですか?

菊地さん:アメリカ映画がいっぱいありましたよ。第二次世界大戦で日本が負けたあと、アメリカは日本人の頭の構造を変えようと、アメリカ映画を大量に持ってきたの。だから戦後はそういう専門の配給会社があって、そこはアメリカのフィルムを集中的に入れて、映画館で流してた。日本人も文化に飢えてたから、アメリカの映画を観て感動して喜んだらしい。僕は終戦直後のことは知らないけど、時代としてはそんな感じだったらしいね。その後、ヨーロッパの映画もたくさん入ってきて、イタリア映画だと『鉄道員』、フランス映画だと『禁じられた遊び』とか、名作がたくさんある。もう少し時代が後になってくるけど、フランス映画では二枚目のアラン・ドロンとか、ジャン・ギャバンっていうすごく渋いスターもいるんだけど、これがフィルム・ノワールって言われる、ギャング映画で大ヒットしたんです。あの頃はヨーロッパ映画が大ヒットしてたし、アメリカ映画ももちろんすごかったし、その後、1960年代くらいはマカロニ・ウェスタンがすごく流行った。クリント・イーストウッドなんかはマカロニ・ウェスタンで大ブレイクしたの。

一同:へぇ〜〜〜〜!!!

菊地さん:マカロニ・ウェスタンっていうのはイタリア製のウェスタンって意味なんだけど、実はそれは日本人が作った言葉で、日本人はイタリアのものはマカロニだと思ってるじゃん(笑)。でもアメリカでは、スパゲッティ・ウエスタンって言ってた。

mo:似たり寄ったりですね(笑)。

局長:急に翻訳家が必要になる時代があって、翻訳家の方も増えたんですか?

菊地さん:終戦後、アメリカ映画がたくさん入ってきて、それでも翻訳家は4、5人だったかなぁ。

mo:4、5人!

菊地さん:もうちょっといたかも知れないけど、主に表に出て活躍している先生は4、5人だったかな。天才だよね。清水俊二っていう先生がいて、東大出身で、経済学部だったけど、ずっと翻訳をやって、宝塚の人達と仲が良かったから、先生の周りには宝塚の女優さん達が集まってて、すごく羨ましかった(笑)。

一同:あはははは。

菊地さん:あと我々がこの人天才だなって思っているのが、高瀬鎮夫(たかせしずお)先生。この先生は英語だけじゃなくてフランス語も堪能で、ラボに行くと、辞書も持たずに台本だけを見て翻訳してるんだよね。試写を一回観ただけで、音も画もない台本だけを見て訳してるのに、実際に映画と字幕を合わせるとぴったりなの。

一同:へぇ~~~~!!!!

菊地さん:でも朝っぱらから、麦茶を飲んでるのかと思ったらウイスキーを飲んでたね(笑)。「菊地君も飲みますか?」って言われるけど、「いやいや結構ですって」言ってたね(笑)。

局長:ハハハハ。個性的な方が多いですね!翻訳家はただ英語ができるだけじゃなく、限られた文字数で訳さないといけないし、意訳を好まないファンもいるし、気の利いた訳だったら話題になることもありますが、翻訳のセンスって、ある人とない人の違いってどういうところにあるんでしょうか?

菊地さん:違いはあることはあるかもね。何を上手いとするかは時代とともに変わると思うけど、ダメな場合もある。つまんないというか、言葉が巧みな人の翻訳と、真面目な人の翻訳の違いかな

局長:正しい日本語に忠実な方と、ちょっと意訳をしてでも雰囲気を伝えられる方の違いって、どういうところですか?

菊地さん:忠実な人ってあまりいないと思う。英語に忠実ということは、意味をきちんと訳すということにはならないから、あたかも辞書通りの訳は、言葉としては言葉足らずでだめなんだよね。英語のニュアンスをどのくらい残すのかってことと、その雰囲気、そのセリフの持つ気持ちっていうか。そういうのをどう出していくかは、人によってさじ加減はありますよね。

局長:それは作風で「この作品だとあの人が合いそう」とか、頼む側の方もだんだんわかってくるんですか?

菊地さん:映画の配給会社が「この作品はこの人だろう」って思って仕事を出すこともあるけど、映画会社によって違うから必ずしもそうではない。ただ、俺なんかだとラブストーリーを頼まれることはなかったの。「俺もラブストーリー大丈夫だよ」って言ったけど、「嘘つけ!」って言われた(笑)。

局長:ハハハハ。これまで担当された作品は、アクションが多いですよね。

菊地さん:アクションばっかり。

局長:ご自身でやっていておもしろいジャンルや、作品の傾向はありますか?

菊地さん:う~ん。でも、ラブストーリーは自分でやっていても、わかんなくなっちゃうの(笑)。

らいらい:アクションとラブストーリーとで、翻訳の難しさってどう違うんですか?

菊地さん:アクションにもいろんなアクションがあって、特に最近のものはSFが多いでしょ。例えば“スター・ウォーズ”は実在しないから、それはそれで、新たな言葉を考えなきゃいけない。有名なところだと“フォース”って言葉があるでしょ。この言葉を昔、岡枝慎二先生が“理力”って訳した。そしたらそんな日本語はないって週刊誌で散々叩かれて、今はカタカナで“フォース”って書くし、それでわかるようになったけどね。

一同:確かに!!

菊地さん:ラブストーリーは日常を描いている作品が多いから、言葉を新たに作ることはあまりなくて、そういう意味ではラブストーリーのほうが生活に近いのかも知れないね。

局長:このセリフの女心がわからないとかって、ないですか(笑)?

菊地さん:もうね、そんなのばっかり(笑)。1回だけね、ジェーン・オースティンっていうイギリスの19世紀の作家の名作で『いつか晴れた日に(原題:Sense and Sensibility)』っていうタイトルがあってね。何を間違えたか、僕に依頼がきたの。イギリスの18世紀か19世紀かを舞台にしていて、主人公が三姉妹。それに、男が一人。三姉妹だから、僕には女性皆同じ言葉になっちゃうわけ。でも、3人ともキャラクターが違うから、それじゃ本当はだめなわけで、一人ひとりしゃべり方も違わなくちゃいけない。男だったら、3人出てきたら3人全部違う言葉を使えるだけど、残念ながら、三姉妹はわからない(笑)!

局長:たしかにそうですよね。

菊地さん:逆に女性の翻訳家だったら、男3人皆同じような言葉になっちゃうんだよね。

mo:難しい。

菊地さん:日本語は特にそういうところがあって、主語も日本語は山ほどあるでしょ。英語は全部“I(アイ)”って言うけど、日本語は“私”“僕”“俺”って、全部雰囲気で変えていかなきゃいけないから、それは英語だけ読んでもわからない。“猿の惑星”の時は、この猿のIは、“俺”なのか“僕”なのか、“私”なのかって、猿の顔を見ながらすごく悩みました(笑)。

一同:あははは(笑)。

mo:そういう時は、映画制作会社の方と話し合ったりせず、翻訳家の方が決めるんですか?

菊地さん:とりあえずはね。でもそれを観て、「これはこうじゃないですか」っていうのが出てくれば、また考えるけど、基本は翻訳者が決める。

一同:へ〜。

局長:ちょっと演出家の要素が必要ですね。

菊地さん:ハハハハ。でも逆にいうと、その雰囲気を読み取ることだよね。

局長:となると、どっちの文化もわかってないと訳せないですよね?

菊地さん:うん。翻訳者っていうのは、例えばアメリカと日本があって、間に橋があるとすると、そのどこに立っているか、つまり橋の真ん中なのか、アメリカ側なのか、日本側なのかによって訳し方が全然変わってくるわけ。橋の真ん中に立っているっていうのはあんまりなくて、実はどっちかに立ってる。今は日本と外国のギャップがすごく少なくなってきて、いろんなものが大体わかる。だけど、例えば“ルートビア”って、って日本で聞くとビールかなって思うけど、向こうだと子ども向けの炭酸飲料なんだよね。で、その時にどう訳すか。カタカナでそのまま“ルートビア”って訳すと自分勝手になっちゃうし、固有名詞だけじゃないけど、そういうことって年中あって、そのたびに悩むわけだよ。でも、その時点で日本人にはわからないかも知れないけど、とりあえず輸入する。輸入することに意味がある。
例えばね、『歴史は夜作られる』っていう名作があって、『タイタニック』みたいな話なんだけど、アメリカからフランスに初航海をする船上の物語で、主人公が名シェフなわけ。この人の得意料理がブイヤベースなんだけど、この映画が公開された時代(1937年公開)に、誰もブイヤベースなんて知らないんだよね。これは清水俊二先生が翻訳したんだけど、先生は“ブイヤベース”ってそのまま翻訳したの。でも映画で「あ~、こういうのなんだ」って皆が観て、ブイヤベースが有名になったの

mo:そこからなんですね。

菊地さん:だから映画は文化を輸入するっていう役割がある。

 

今回の記事担当:らいらい
■取材しての感想
いつも洋画を観る時は字幕派で、翻訳家の方ってすごいなと漠然と感じていましたが、菊地さんのお話を聞いて本当に様々な試行錯誤をして、文字をあててるんだなと思いました。貴重な裏側のお話が聞けてとても楽しかったです。ありがとうございました。

取材日:2018年7月6日

知って得したと思えるお話がたくさん飛び出し、私達は「へ〜」「なるほど」の連発でした(笑)。次回も映画ファン必見のお話がギッシリです!→【後編を読む】

 

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映画『十年 Ten Years Japan』杉咲花/太賀/川口覚/池脇千鶴/國村隼

映画業界人インタビューVol.8株式会社フリーストーンプロダクションズ 代表取締役 高松美由紀さん(海外セールス&宣伝)【後編】

海外セールスをやりたいなら、就職先は日本だけじゃない

サン:今までで一番楽しかったのはどんなお仕事でしたか?

高松さん:全部楽しいんですよ。だから何とも言えないですけど…。映画の宣伝だと、『あん』っていう河瀨直美監督の、樹木希林さんと永瀬正敏さんを起用して撮られた映画があって、宣伝的にもすごく転機になったし、あの作品に携わったことで、 “宣伝でカンヌに行く作品を手掛ける”っていうことが、会社の目標になりました。私達が手掛ける作品をレッドカーペットにのせるっていうのが目標だったんですけど、やっぱり河瀨さんの作品ということもあって、カンヌに行かせていただいて、樹木希林さんのような素晴らしい女優さんにいろいろ助けていただいて、ものすごく勉強になりました。興行収入1億円いったら御の字だねって言われていたのが、7億以上までいったので、そういう点でも結果が出せました。河瀨さんのような、世界の舞台で百戦錬磨に働いて、自分の好きなものを追求して、身を削っってエネルギーを注げる環境を作っている女性を目の当たりにして、すごく感激しました。そういう意味で映画って優劣はないですけど、映画祭の頂点であるカンヌ国際映画祭を経験できているのは、すごく大きかったです。あとセールスで言うと、TBSに入って1年目に、『NANA』という作品をアジアで公開させた時に、香港や韓国でもプレミアをやって、現地でレッドカーペットを敷いて、現地のメディアの取材も受けてっていう仕事をやったんです。現地の配給会社とコラボレーションして、ちゃんとお金をかけてプロモーションしたっていう経験のなかで、すごく大事なことを叩き込まれたなって。血尿が出たんですけどね(笑)。売るだけじゃなく、権利を管理するだけでもなく、海外の人と一緒に「いかに映画を当てるか」というローカライゼーションに取り組むっていう点で、いろいろな段取りで涙が出るくらい交渉して、仕事の難しさ、海外の方とのやりとりの難しさとかを目の当たりにしました。ただ、それがあったから、今回『十年 Ten Years Japan』っていう映画が実現できたんです。この作品に関わっているメンバーには当時出会った香港のメンバーもいて、それこそ香港のメンターみたいな方とも、その頃からずっと同じ業界でお仕事ができているっていうのは、すごくありがたいなと思います。

局長:本当にすごいですね!やっぱりいろんな国の方とそこまでの関係を築くには英語がかなり話せないとダメですよね?

高松さん:そうですね。でも万国共通で英語は必要なんですけど、それ以前に、たぶんキャラクターじゃないですかね(笑)?物怖じせずに、「これは嫌だ」「これはこうしたい」とはっきり言える人が強いですよね。私とかはまだ全然弱いですけど、こっちの要求を聞いてもらうための交渉をしつつ、向こうの意見も聞くっていう交渉力は、たぶん海外の方と話して培われたのかなって思います。

サン:では、学生の頃にしていて今の仕事に役に立っていることはありますか?

高松さん:そうですね。いろいろな言語を勉強するようにしてました。英語だけでなく、スペイン語もそうなんですけど、やっぱり相手が自分の国の言葉をしゃべってくれると、ちょっと安心するじゃないですか。だからそういうのもお返しとして、ちょっとでも言語ができるといいなと思って、機会があれば言語をまめに勉強するようにしています。

サン:それは高校生の頃からですか?

高松さん:そうなんですよ。親に言われたんですけど、高校生の時に、本屋さんとかに行っても、私一人だけ英語でしゃべってたらしいです(笑)。覚えてないんですけど。

サン・局長:え〜!

高松さん:完全におかしいですよね。塾にも行ってましたが、高校3年生の時なんかは、授業を抜けてアメリカ大使館とかにも行ってました。図書館とかがあったので、本を見たり、留学生との交流会に積極的に参加したりっていうのは受験勉強の代わりにずっとしてました。

局長:常に、“思ったらすぐ行動!”なんですね。学生の頃にアルバイトはされてましたか?

高松さん:アメリカ留学時に、日本料理屋さんで働いてたんですけど、ボストンだったので、ミック・ジャガーやアントニオ猪木さんとかが来てましたよ。

サン・局長:めっちゃ高級店(笑)!

高松さん:あと小さい大学だったんですけど、寮長をやってました。外国人初の寮長だったらしくて、言語の問題とか大丈夫なのかなっていうのはあったんですけど、酔っぱらって吐いた人の後始末をしたり、AEDの使い方を学んだり、夏に寮長チームが集まって合宿に行ったり。それで寮費がタダになったりして。寮では毎週末パーティーがあって、非常ベルが鳴って皆外に出されるんですけど、毎回それを写真に撮ったり、かなりいい加減にやってました(笑)。

サン・局長:楽しそう(笑)。

高松さん:だから学生のうちは、ほんとに好きなことやったほうがいいと思いますよ。

局長:考えるより行動ですね。

高松さん:そう、考えるより行動です。

サン:私はやる前に考えてしまうタイプなので、挑戦していける人が羨ましいです。

高松さん:挑戦とは思ってないんですよ、私とかも。選択肢が自分の中にあまりなくて、逆に悩んでる方っていろいろ選択肢が見えてるから悩めるんだと思うんですね。私の場合は選択肢が二択しかない。だから、AかBかに向かって突っ込んでいって、ドロまみれになることもある(笑)

局長:たぶん目的があって、そこにたどり着くまでに何回失敗するかだけの話で、早く正解にたどり着ければラッキーけど、失敗を選び続けても、最終的にたどり着ければ良いんですよね。とりあえず数こなすっていうかね。

高松さん:数をこなすと選択の仕方も磨かれてくるから、こっちで失敗したから、今度はこっちかなみたいに、選択の精度が高まってきますよね。

サン:失敗したくないから、挑戦するのもなるべく効率よく目的にたどり着くようにと思っていたら、結局すごく遠回りをしちゃったり、最初からあっちに突き進んでおけば良かったなって思うことは結構あります。

高松さん:学生の方に今私が言えることって、オールマイティーじゃなくても良いと思うんですよ。失敗しても、やったらやった分だけ、得意不得意って見えてくるんですね。得意なところは集中的に伸ばしたら良いし、不得意なところはそれを得意な人を自分の仲間につけるっていうのはすごく大事です。

局長:もし日本で海外セールスのお仕事に就くとしたら、どんな方法がありますか?

高松さん:うち以外にもセールスカンパニーはいくつかあるし、配給会社の国際部に入るとか、海外のセールスカンパニーに入るっていうのも全然ありだと思うんですよね。是枝監督、河瀨監督、黒沢清監督などの作品って、日本のセールスカンパニーでは扱ってなくて、フランスの会社が全部海外の権利を持っていっちゃうんですよ。そういう会社で人脈だったり、映画業界のビジネスルートをきっちり持っているところで勉強して、日本に戻ってくるっていうのもありかもしれません。

局長:日本の映画は日本の会社が売るってわけじゃないんですね。

高松さん:そうなんです。映画は国籍があるようでないので、就職先も日本にこだわらなくても良いのかなと。もともと映画は海外国内関係なく楽しみますよね。なのに就職先が日本だけっていう考え方自体がおかしくて、視野を広げるほうが道は開けると思います。

局長:あと海外セールスを仕事にするなら、こういう性格、こういう人が向いてるというポイントはありますか?

高松さん:出張が多いので、体力勝負というのがまず一つ。あと、セールスって契約とかお金の計算とかもやらなきゃいけないので、緻密な部分と、大胆に動いて判断するっていう二面性があるんです。その場で金額を聞いて、そのままシェイクハンド(契約締結)ってこともあるんですよ。カンヌでも、現地で盛り上がって、「この映画を買います」って言ってくれる人がいたら、セールスカンパニーはその人を捕まえたいがために、契約書を明日準備するんじゃなくて、その場にある紙ナプキンに作品名と日にちとサインを書いて、相手にもそこにサインをもらうっていうくらいの瞬発力が必要だったりします。そういう大胆さを持っている人のほうが、成功しやすいというか、楽しめるんじゃないかと思いますね

サン:私は今大学三年生で、就職先としては映画業界にも興味があるんですけど、新卒は募集自体が少なくて、でも興味がある人は多くて、狭き門になっていて。英文学科で英語にも興味があるので、海外も選択肢としてはあるのかなって。

高松さん:絶対あると思います。映画業界って、すごく閉塞してるんですよね。さっき言ったみたいに縁故じゃなきゃ入りづらいとか、中途採用しかないとか。それって結構映画業界の怠慢で、忙し過ぎて人を育てられないんですよ。だから新卒から入れちゃうと、会社の負担になっちゃうんです。映画の仕事って、なんだかんだですごく感覚的なところ、クリエイティブなセンスが重要だったりするので、そういう意味で一回社会人を経験して、人間の幅が広がっている人のほうが、映画しか知らない!という人よりも我々映画業界の人は興味があります。だから違うフィールドで勉強してから映画業界に入るっていうのはアリだと思います。

局長:感覚が違う方とか、新しい風を求める風潮もありますよね。キャラがおもしろいだけで重宝される場合もありますしね(笑)。

高松さん:そう!個性上等なんですよ。

サン:では最後に、好きな映画ベストワンは何ですか?

高松さん:ベストワンか。難しいですが、『クレイマー、クレイマー』かな。ダスティン・ホフマンが主演で、メリル・ストリープと共演しているんですけど、若い男女が離婚して、シングルファーザーになった主人公が子どもを育てていくっていう、ストーリー自体はそんなに起伏がないんですけどね。役者さんの演技だったり、すべてが胸に響くんです。あと『存在の耐えられない軽さ』は素晴らしい映画です。ジュリエット・ビノシュとダニエル・デイ=ルイスが主演なんですけど、それも役者さんが素晴らしくて、総合芸術としてとてもバランスが取れていて、そういう映画を観ると、気持ちが良いなと思います。

サン・局長:ありがとうございました!

今回の記事担当:サン
■取材しての感想
高松さんの行動力溢れるパワフルなエピソードをたくさん聞くことができ、楽しかったです!自分も負けていられないなと感じました(笑)。
これから就職活動をする上で、こだわりすぎないこと、選択肢を広く持つことというお話を聞けたので、どんどん自分からアクションを起こして、ぶつかっていけるようになりたいなあと思いました。がんばります!

取材日:2018年8月3日

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★フリーストーンプロダクションズが企画、製作から携わり、配給・宣伝する作品

『十年 Ten Years Japan』

映画『十年 Ten Years Japan』杉咲花/太賀/川口覚/池脇千鶴/國村隼2018年11月3日より全国劇場公開
公式サイト
エグゼクティブ・プロデューサー:是枝裕和
監督・脚本:早川千絵、木下雄介、津野愛、藤村明世、石川慶
出演:杉咲花/太賀/川口覚/池脇千鶴/國村隼
配給:フリーストーン

香港で社会現象となったオムニバス映画『十年』をもとにした、“十年 Ten Years International Project”の日本版。日本、タイ、台湾、各国5名の新鋭映像作家が独自の目線で10年後の社会、人間を描く国際共同プロジェクト。『万引き家族』で、日本人監督として史上4人目、21年ぶりのパルム・ドールを受賞した是枝裕和監督が、初めてオムニバス映画の総合監修を務める。
©2018 “Ten Years Japan” Film Partners

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映画『フィフティ・シェイズ・フリード』ダコタ・ジョンソン/ジェイミー・ドーナン

映画業界人インタビューVol.8株式会社フリーストーンプロダクションズ 代表取締役 高松美由紀さん(海外セールス&宣伝)【前編】

【映画業界の方にインタビュー】第8弾は、エージェントのサンが担当。今回も2回に渡ってお届けします。

留学中に大好きな日本人監督の作品が観られなくて、今の仕事を志した

サン:海外セールスのお仕事の具体的な内容を教えてください。

高松さん:簡潔にいうと、日本映画を海外に広める仕事なんですが、世間一般的には、弊社はセールスカンパニーって言われる会社になります。日本では、セールスカンパニーっていう名称はあまり広まってはいないんですけど、海外では、映画業界の中で一番重要なポジションを占めていて、彼らがいなければ、映画は世界に配給されることもないですし、映画祭に出品することもできません。そういう意味では、なぜ日本ではセールスカンパニーがそれほど大々的にビジネスとして成り立たないんだろうって、不思議でしょうがないのですが、それがきっかけで会社を作りました。

局長:確かに日本では、セールスカンパニーって言われる会社はあまり表に出てきていないですね。

高松さん:そうなんですよ、それこそ是枝裕和監督、河瀨直美監督、北野武監督、黒沢清監督など、名だたる監督がいらっしゃるなか、昔は海外ではそういう日本映画へのアクセスが無かったんです。私はもともと伊丹十三さんの作品がすごく好きなんですが、『たんぽぽ』以外は普通のDVDショップ等でDVDを見たことがなく、海外留学をしていた時は最新の日本映画なども観られなかったんですよ。アメリカの片田舎には全然情報が入ってこなくて、日本映画を海外に出していくっていう仕事をやりたいなと思いました。海外の経験を日本に持ってきたという形です。

局長:いつ頃からいつ頃まで留学されてたんですか?

高松さん:高校を卒業して2週間後にはもう海外に渡って、語学学校を経て大学に行ったんですけど、その間にもアメリカからスペインやイギリスへ留学したり、留学システムにポーンと入ったので、寄り道して合計5年くらいいました。

局長:留学を決めたのは、何がきっかけだったんですか?

高松さん:ベトナムのベトちゃんとドクちゃんっていう、枯葉剤の影響で、身体がくっついたまま生まれてきた双子がいて、彼らが成長するにあたり、手術しなきゃいけなくなったんです。その手術ができる高度な技術を持っているのが日本の医療と言われており、確か日本とベトナムの医療機関の国交がちゃんと結ばれておらず、日本の医者が現地で施術できなかったんです。「なんじゃそりゃ!」と。それだけの問題で人の命が左右されるのかと思うと不思議な気がしていて、高校の頃に外務省に直接連絡して「おかしいと思います!」って訴えたことがあります。そこから、国連の職員になったら、そういうことが変えられるのかなと思って、高校の頃からはずっとアメリカに行きたいなとは思っていました。映画とは全然関係ない仕事を最初はしたいと思ってたんです。

局長:でもやっぱり日本と海外を繋ぐっていうところが、最初からあったんですね。

高松さん:そうですね。大学を卒業して、大学院のクラスを取っていた時に、学校帰りにボストンの小さな映画館で黒澤明監督の『羅生門』を観たんですね。周りのアメリカ人がすごく喜んで感動している姿を見て、「ああ、国境ってこんな風にすぐ超えられるんだ」って思って、映画の仕事をしようとすぐ切り替えて、東京FMが出版していた、エンタメ業界の名簿本を親から送ってもらいました。当時は個人情報の扱いも緩かったので(笑)。

局長:そうそう。企業がずらっと載った本、昔は売ってましたね!

高松さん:今となっては…なんですけど、その本に載っている映画業界の企業を一から全部あたりました。

局長:すごーい!

高松さん:留学中だったので、日本の就職戦線を全く知らないまま、アポなしで20枚くらいの履歴書持って、神戸の実家から帰国早々新幹線に乗って、全部映画会社を回ったんです。

サン:すごい…!

高松さん:その時に出会った、ある会社の人事の方に、「映画業界に入るんだったら、末端の宣伝を勉強したほうが良いよ」って言われて、その日に神戸に戻ってすぐに宣伝会社を全部当たって、全滅して。その方に「映画業界って縁故が多いから、君みたいな若い子は入れないよ」とも言われて、もう一周したので無理かなと思いましたが、宣伝会社をもう一回あたって、それでも空きがなければ諦めようって連絡したら、たまたま一か所、「今日、実は退職願を出した人がいるから、来週会いに来てくれますか?」って言われたんです。それで次の週にまた新幹線に乗って、その宣伝会社に行って面接して、その翌週から働き始めたんです。

局長:ドラマチック!

高松さん:ほんとに右も左もわからない状況でしたが、今考えたらよくやったなって思います。

局長:でも何も知らなかったからこそ、逆に良かったのかも知れないですね。

高松さん:そうなんですよ!人の意見を純粋に聞いていたので、迷いはなかったです。宣伝会社の社長に「君はガンダムが好きか?」って聞かれて、「シャアが好きです」って言ったら、「じゃあ採用!」って。入ったらすぐにガンダムの宣伝が待っていたっていう(笑)。失うものがないから、できたのかも知れないですよね。

局長:じゃあ最初は宣伝だけをやってたんですね。

高松さん:そう、でもその頃もやっぱり将来的には海外セールスをやりたいと思っていたので、その後いろいろ宣伝をやらせて頂いてから何年後かに、ちょうどTBSさんが『世界の中心で、愛を叫ぶ』っていう映画で約75億円の興行収入を記録したんです。日本の映画界でも、ちょっとした激震が起こって、その辺りから、日本映画も海外で売れるんじゃないかという機運が生まれて、(TBSの)今までテレビ番組を売ってた部署に、映画を売るチームを特別編成することになって、そこに入らせて頂いて。宣伝をやっていたことは、セールスの仕事にもすごく役立ったし、就活の際に言われたアドバイスは本当だったなと思いました。

サン:「宣伝から入って」っていうところですね。

高松さん:そう、間違ってなかった。その経験があるので、うちのスタッフには必ず全員一度宣伝をやらせるんですよ。

局長:なるほど。『世界の中心で愛を叫ぶ』をきっかけに転職されて、海外セールスも手掛けるようになったんですね。

高松さん:そうですね。その頃ちょうど、いわゆるテレビ映画って言われる作品の全盛期だったんです。それこそ『NANA』『日本沈没』『木更津キャッツアイ』とか、テレビから派生した映画を、テレビ局がお金をかけて作って、それがアジアでどんどん売れていたんです。一年後くらいに、日テレさんが本格的に『デスノート』『20世紀少年』などをバンバン海外に売るという時期があったので、その頃が一番アジアで日本映画のバブルがありました。

局長:その頃から、他にも海外セールスをやっていた会社はあったんですか?

高松さん:ありました。海外セールスって、実はずっと昔からあるんですよ。ただ、大手の映画会社さんでは、国際部がその役目を担っていて、例えば東宝さんの国際部が『ゴジラ』の権利とか、黒澤明監督作品の権利とかを管理しているんです。TBSさんが民放で初めてカンヌ国際映画祭の展示会で単独のブースを立ち上げて、そこからどんどん、いろんな会社さん、テレビ局さんが単独ブースを出すようになって、自身の映画を売るっていう仕事が本格化してきたという感じです。

取材日:2018年8月3日

本当にすごい行動力で、たくさん刺激を頂きました。まだまだ、濃厚なお話を聞いています。ぜひ続きをお読みください。→【後編を読む】

★高松さんが宣伝担当の作品

『フィフティ・シェイズ・フリード』

映画『フィフティ・シェイズ・フリード』ダコタ・ジョンソン/ジェイミー・ドーナン

2018年10月5日より全国劇場公開
公式サイト
監督:ジェームズ・フォーリー
出演: ダコタ・ジョンソン/ジェイミー・ドーナン/エリック・ジョンソン/リタ・オラ/マーシャ・ゲイ・ハーデン
配給:東宝東和

全世界で累計発行部数1億冊を越え、世界中の女性を虜にしたE L ジェイムズのデビュー小説を映画化した、“フィフティ・シェイズ”シリーズの最終章。本作は北米を含む世界54地域で初登場1位を記録し、全世界シリーズ累計興収は13億1900万ドル(約1500億円=1ドル113円換算)という大記録を樹立。超豪華なセレブ生活のキラキラと、王道ラブストーリーの究極版が楽しめる。
©2017 UNIVERSAL STUDIOS

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映画業界人インタビューVol.7 ぴあフィルムフェスティバル(PFF) ディレクター 荒木啓子さん【後編】

皆と同じことをやってたら絶対ダメ

局長:今年の作品にトレンドを感じる部分はありましたか?

荒木さん:応募作品を拝見する過程で、今年はこういう題材が多いねっていうのはありますけど、トレンドになるほど力のある映画はなかなかありません。ヒットするものって一つ突出してるんですよ。極端に言えば、人と違うことをやらない限り、良いものは生まれません。皆と同じことをやってたら絶対ダメ。どんな世界でもダメ。あ、それは過去の名作の名シーンをコピーしちゃダメとかのレベルの話ではないですよ。コピーは創作の基本ですからね。自分にしかできないことをやる、ってことです。そのことを、どうしてちゃんと皆はっきり認識してないのかなって思います。誰もが褒めるものは、創作においては、誰もがどうでもいいと思っているのと同義語なんですよ。それは本当に確かなことなので、皆さんも誰もが良いってものは、意識的に避けたほうが良いですよ。人生の毒になります(笑)。

局長:深い。

らいらい:では学生の頃にやっていて、今仕事に役立っている経験はありますか?

荒木さん:何もないですね。というのも、基本的に0から何かを作らなきゃいけない仕事なので、毎日毎日考えなきゃいけいないことがあって、過去のことで役に立つことはなくなっていくんですよ。常に何かを作るというのはそういうことで、映画監督も同じだと思います。毎日料理を作っていたら段取りがうまくなるとか、カンが育つとか、そういう慣れはあると思いますが、構築するってことに関しては、学生時代にこれをやっとけばということはないですね。ただ、今の学生ってがんじがらめじゃないですか。出欠や課題やカリキュラムや、息つく間がない。ただ学割があるとか、友達が見つけやすいとかそのくらいじゃないですか、学生の利点。本当に気の毒だと思います。例えば、入選した大学生からの「講義を抜けられないから出れません」とかの言葉に触れると、今の学生は全然自由じゃないと思うし、学生を自由にさせない空気がありますよね。

ミミミ:その言葉に救われます(笑)。

映画業界の方にインタビュー:ぴあフィルムフェスティバル(PFF) ディレクター 荒木啓子さん荒木さん:学生だからこそできることって言っても、現実的に日本ではレンジが狭いから、世界との競争力がない。あまりにも常識が違うから、世界に出た時に勝負ができない。そこの危機感を持ったほうが良いと思います。一体自分はどこの分野でどんな生活がしたいのかっていうイメージを独自に描いていくためにも、映画はたくさん観たほうが良いです。映画って、世界の状況がかなりダイレクトに伝わるから、将来官僚になるような学生は年間100本映画を観なくちゃいけないってなればいいと思ってます(笑)。想像力がない人はせめて映画を観ないとって。

らいらい:このお仕事は続けたいと思いますか?

荒木さん:続けたいっていうのはないですね。でも、「今回これがやれなかったから、次これをやらなくちゃ」って思っているあいだは続けていると思います。PFFという映画祭は「続ける」ってことが使命ですが、PFFディレクターという仕事は、続けることが目的じゃない。やりたいこととか、アイデアがないのに、このポジションにいたらすごく迷惑じゃないですか。あ、話変わりますが、そういう状況でも続ける上司のために、会社の人間関係で悩んでるとか、学校の人間関係で悩んでるとか、そんな悩みはすぐ捨てたほうが良いです。逃げればいいんだから。

らいらい:やりたいことをやるべき?

第40回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)最終審査員:佐藤公美/大九明子/佐藤信介/冨永昌敬/生田斗真

荒木さん:そう。絶対理解者がいるから。あらゆる人が“嫌なことを我慢しない”って決めた時に、そこにちゃんと自分の理想があれば、世の中はダメにならないと思ってます。理想がないから、こうなってる。

ミミミ:今まで出会った方で印象に残っている方はいますか?ずっとその方の言葉が残っているとか、ふとした時に言葉を思い出すとか?

荒木さん:ホウ・シャオシェンっていう台湾の巨匠がいて、『悲情城市』という映画があるんです。ぴあも制作に一部関わっている作品です。その作品のアフタートークでのホウ・シャオシェンの話がすごく素晴らしくて。そこに一つの物語ができあがっているというか、それを聞いた時に映画監督ってすごいなと思いました。監督は映画を作るだけで充分。さらに話さなくてもいいじゃないか、という方もおられますが、さらに話せるとどんなに素晴らしいかって言い続けてます。映画監督って素晴らしい人間で、並外れてるっていうことを、全身で表現する人であって欲しい。ホウ・シャオシェンはそれをすごく具体的に見せてくれたかなと思います。

 

今回の記事担当:らいらい
■取材しての感想
とてもカッコ良い女性で、お話していても興味深いお話ばかりでした。ぴあフィルムフェスティバル(PFF)もさまざまな視点で楽しめそうです。自分の将来についても考えさせられました。荒木さんのようにバリバリ仕事がこなせるような女性になりたいです!!貴重なお時間をありがとうございました!

取材日:2018年7月18日

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第40回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)

★ 第40回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)

会期:2018年9月8日(土)~22日(土)※月曜休館
会場:国立映画アーカイブ→こちら
公式サイト 
学生当日券は500円!

■今までの主なPFFアワード入選監督
黒沢清、園子温、成島出、塚本晋也、橋口亮輔、中村義洋、佐藤信介、熊切和嘉、李相日、石井裕也など

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学生映画宣伝局:2018プロジェクト打合せ

学生が主役のイベントを実施します!

実は、今年夏から秋に向けて実施のつもりで、この春から企画を練ってきましたが、いろいろな壁にぶつかり、「このままではいかん!」ということで、当初の内容からガラッと変えて、原点回帰し、イベントを実施することに決めました!

詳細はこれから急ピッチで決めて、準備を進めていきますが、イベント名や内容、日程、場所などは追って、随時情報を発信していきます。

ぜひ、応援よろしくお願いします!

学生映画宣伝局:2018プロジェクト打合せ

たまたま女子ばっかり(笑)。このプロジェクトには他に2名のエージェントがいます。


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第40回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)最終審査員:佐藤公美/大九明子/佐藤信介/冨永昌敬/生田斗真

映画業界人インタビューVol.7 ぴあフィルムフェスティバル(PFF) ディレクター 荒木啓子さん【前編】

【映画業界の方にインタビュー】第7弾は、エージェントのらいらいと、ミミミが担当します。今回も2回に渡ってお届けします。

目標は、満員電車に乗らなくて良い生活(笑)

ミミミ:この業界に入ろうと思ったきっかけと、どういう経緯で入られたのかを教えてください。

荒木さん:ある女性の映画プロデューサーから、女性だけで映画を作りたいので、アシスタントプロデューサーになってくれないかと言われたんです。で、「良いですよ」って。その仕事をやっている時に、映画の現場に来た方が、PFFの方達とすごく親しくって、なぜだか「絶対PFFに向いてるから、紹介するから会いに行け」って言われたんです。それまで、ぴあフィルムフェスティバルに熱心に通っていたわけではありませんでしたが、好きな監督の石井聰亙(現在の名称:石井岳龍)って確かPFF出身だったなと思って、彼に会えるかもってことで。ってのは冗談です(笑)。

一同:ハハハハ。

荒木さん:それで会いに行ったら、一緒に仕事をやりましょうという話になって、2年後にディレクターになりませんかと言われて、今日に至ります。ディレクターというのは映画祭の役職の専門用語で、やっていることはプロデューサーなんです。企画運営して、構築していくっていう。完成形をイメージして具体的にしていくっていう仕事ですよね。

局長:こういう映画祭の仕事が最初からしたいという若者がいた場合、そこに直接入るって方法はあるんですか?

荒木さん:どんな仕事も入りたい人はすぐ入れると思いますよ。別に全然敷居は高くないと思います。残念ながら衰退産業ですから(笑)。

ミミミ:ビッグネームになるかは置いておいてってことですよね?

荒木さん:というか、それが想像した仕事と同じかどうか。自分に向いた仕事かどうかっていうのはすごくあると思いますけどね。仕事内容の具体的なイメージがないでしょ?

ミミミ:確かに。

荒木さん:映画の仕事をしたいって言ったときに、何がしたいのかって実はよくわかってなかったりするでしょ(笑)?何がしたいですか?

らいらい:私は映画宣伝がしたいと思っているんですけど。

荒木さん:映画宣伝ね、本当に人がいないから、今日からでも仕事はありますよ。

らいらい:ほんとですか!?

荒木さん:いっくらでもありますよ。それで食べていけるかは置いておいて、今日からでも手伝ってくださいっていう人はいっぱいいます。って、今日はそんなインタビューじゃないですね(笑)。

一同:(笑)。

ミミミ:アシスタントプロデューサーをやっていらっしゃった頃は、プロデューサーを目指してましたか?

荒木さん:いいえ(笑)。私は求められる所には断らず行くんです。知らない世界だし、誰かの助けになるならやってみよっかなと思って、入った感じです。

ミミミ:気の向くままという感じだったんですね(笑)。当時、何か目標はありましたか?

荒木さん:目標はありましたよ。満員電車に乗らなくて良い生活(笑)。

局長:そこは大事ですね(笑)。

一同:(笑)。

第40回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)最終審査員:佐藤公美/大九明子/佐藤信介/冨永昌敬/生田斗真

第40回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)最終審査員:佐藤公美/大九明子/佐藤信介/冨永昌敬/生田斗真

局長:実際にこのPFFで荒木さんがやってらっしゃるお仕事の内容って、ざっくり言うとどんなことなのでしょうか?

荒木さん:すべてです(笑)。ざっくり言うと、PFFはどうあるべきか、そのために何をするかを考えて、実行することですね。

局長:今回で40回目とのことですが、変化したことはありますか?

荒木さん:変化っていうのは、時代や社会状況と共に起きることなので、自ら変化させようって思うのではなく、今この時にはこれが必要だっていう風にやっていくことだと思います。たぶん、意図的に今年はこうだからこうしましょうってものではなくて、10年くらい前を振り返れば、変化がわかる、という感じですね。映画ってその時代に根ざしてないと全く魅力が無くて。でもそれを超えて、強い力を持つものだけが歴史的に残るわけで、私達が欲しいのは、普遍的な力を持つ映画なんですけど、そういう映画ってどんなものなのかなって考えながら、同時に今しかできないことは何なのか、今必要なことは何なのかを考えていきます。PFFは自主映画のために始まったんですが、昔は映研(映画研究会)っていうのがあったんですよ。噂によると、映画研究会は、大学、高校、中学にもあったんですが、60年代から80年代くらいまでは、映画を作ることは一つの活動としてすごくかっこ良かったんでしょうね。だから、皆8ミリフィルムで映画を作ろうとしていたわけで、あらゆる大学に、映画を作る、観る、あるいは上映するっていう映画研究会が山のようにあった中で、天才的って言われる人達が出てきたんです。そういう時代には「映画監督」はもう、かつてのように映画会社での雇用はなくなっていた、つまり「職業」としての保証はないのに、映画を作ることに夢中になっていた人がたくさんいました。ぴあという会社は、そういう映画研究会にいた大学生5人が作ったんです。

一同:そうなんですか!

荒木さん:そうなんですよ。彼等は自分達も映研で映画監督を目指してたけど、どうやらあまり才能がないらしいということで…(笑)。だけど、映画がすごく好きで、毎日でも映画が観たいと思っていた時に、最初に東京中の映画と演劇とコンサートのスケジュールが載っている「ぴあ」という雑誌を作りました。想像するのは難しいと思いますが、当時はインターネットもなくて、新聞にすごく小さく、何の映画がどこでやっているかが載っているくらいで、あとは映画館に直接電話して聞くしかなかった時代です。その時に、「ぴあ」という雑誌が爆発的にヒットして、つまり、大学生起業家として成功して、このお金をどうしましょうっていった時に、映画祭をやりたいと思ったわけです。そこで自分達が天才だと思っている映画監督の8ミリフィルムで撮った映画を、映画館でちゃんと上映して、ちゃんとそれを多くの人に見せたいと考えて、ここからどんどんデビューしていって欲しいという映画祭を始めたんです。それが今も続いていて、最初のスピリッツは全く変わっていません。それを絶対にぶらさないで、いわゆる大成功している“スター・ウォーズ”のような映画も、無名の学生が作った映画も完全に平等で、映画は映画、映画を作る人は皆同じだっていうベースがあるんです。ベースが変わらないところが、PFFがこれだけ続いてるっていうことで、こんな映画祭は世界中どこを探してもありません。

 

今回の記事担当:ミミミ
■取材しての感想
PFFに去年一般審査員として参加してみて、商業映画じゃない映画でもこれだけ力があり、見応えがあるのかと感動したのは忘れられません。今回荒木さんに取材をして、ノミネート作品を全部観た時のあの感動は、PFFの方の熱い映画への思いや地道に丁寧に選考をしていくという手間のかかったものが、生み出している要因でもあったのかと、とても胸が熱くなりました。大学生が裸一貫から立ち上げた“ぴあ”という会社、PFFという映画祭がこうして今もなお映画制作に情熱を注ぐ若い人達に受け継がれているというのは、とても素晴らしいことだとも思いますし、これからもずっと続いていって欲しいと思いました。今回は「新人発掘」という視点での映画の話を聞けたことはとても興味深く、一つの経験にもなりました。荒木さん、たくさんの有意義なお話を聞かせてくださり、ありがとうございました。私も「満員電車に乗らない生活」目指したいです(笑)。

取材日:2018年7月18日

 

「ぴあ」創設のお話から、PFFの成り立ちまでお聞きして、映画を直接作るわけではなくても、映画に携わる道はいろいろあるのだなと思いました。とても豪快で明るいお話ぶりが印象的な荒木さん。後編も荒木さん節が炸裂です。→【後編を読む】

 

★ 第40回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)★第40回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)

会期:2018年9月8日(土)~22日(土)※月曜休館
会場:国立映画アーカイブ→こちら
公式サイト
学生当日券は500円!

■今までの主なPFFアワード入選監督
黒沢清、園子温、成島出、塚本晋也、橋口亮輔、中村義洋、佐藤信介、熊切和嘉、李相日、石井裕也など

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