2014年7月11日より全国公開/PG-12
アルバトロス・フィルム、クロックワークス
公式サイト
![]() パガニーニは天才ヴァイオリニストではありましたが、彼を世に広めたのは彼のマネージャー、プロモーターという立場にあった人物。劇中ではウルバーニという男がパガニーニを影で操っていますが、彼は実在した従者フランチェスコ・ウルバーニと、興行師のピエール・ラポールを合成した人物と資料にはあります。それはともかく、パガニーニのこの物語は、彼の半生を描いているというよりも、観方を変えると、優れたアーティストがプロになることで自分を失い、他人に一生左右されてしまうという皮肉な運命を描いているようにも思えました。実際にアーティスト自身がマネージメント側と決裂したことで芸能界から姿を消してしまうという状況は日本でもよく目にしますが、時代や国が違っても同じようなことなんだなと、パガニーニとウルバーニの関係を見ていて痛烈に感じました。原題の[Paganini: The Devil's Violinist]のデビルに込められた本来の意味には、宗教的不道徳、好色、音楽的に常識はずれで当時の人たちにとっては毒が強く衝撃的だったというような意味が込められているのだと思いますが、彼本人が罪深いという意味以外に、アーティストとして悪魔に魂を売ったという意味もあると解釈すると、さらにおもしろみが広がります。 そして、本作の見どころは何と言っても現代の天才ヴァイオリニストであるデイヴィッド・ギャレットがヴァイオリンを奏でるシーン。耳で堪能できるのはもちろん、その演奏テクニックには目も釘付けになりました。これはパガニーニが凄かったという話にとどまらず、それを聴覚的にも視覚的にも見事に再現したデイヴィッド・ギャレット自身もすごいということを証明していると思います。デイヴィッド・ギャレットは本作が映画初主演ですが、この役はホンモノの天才ヴァイオリニストでないと演じられなかったと思います。本作でパガニーニと、デイヴィッド・ギャレットに俄然興味が湧きました。音楽に興味が無い方にも敢えて観てみて欲しいし、パガニーニの悲恋が軸として描かれた物語ということで女子にオススメの一作です。 |
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