本作の原作は、パキスタン生まれで、現在は英国ガーディアン紙のジャーナリストとして活躍するサンフラズ・マンズールの自伝的な回顧録です。物語の舞台は1987年。主人公のジャベドは、移民としてやってきたイギリスの田舎町で暮らしていて、人種差別や、厳しい父親のもと、恋に進路に友情に悩みながら成長していきます。そんな彼に大きな影響を与えたのは、米国を代表するシンガーソングライター、ブルース・スプリングスティーン。ジャベドは、ブルース・スプリングスティーンの歌を聞くことで勇気と自信を得て、本当に自分が進みたい道を見つけていきます。私も含めて、世代が違ったり、音楽に詳しくないと、ブルース・スプリングスティーンを全く知らないということもありますが、わかりやすく心に響く歌詞なので、ジャベドが素直に引き込まれていく気持ちもわかります。また本作は音楽もキャラクターの1人と言っても過言ではないと思いますが、音楽に疎くても、テーマが普遍的なので、誰でも共感できる作品となっています。さらに若者が一人で夢を追いかけるだけの話ではなく、大事に思ってくれる人達の存在を忘れないでいることの大切さを語っている点で、大きな気付きを与えてくれる作品です。若者はもちろん、大人も忘れている大切な感情や気持ちを思い起こすきっかけとできるので、幅広い世代にオススメしたいです。
思春期の恋愛って、重要ですね。一生一緒にいる相手かどうかはわからないにしても、大人の言うことに耳を貸したくなくなるお年頃の人にとって、好きな人の影響力は計り知れないなと思いました。本作では主人公の好きな子が、彼にとって良い影響源となっているので、恋する人が共感できるストーリーになっています。親が恋の障害になっている状況の人は、特に勇気をもらえるでしょう。
大人に近くなってきたけど、まだ親の保護下にいるティーンの皆さんにとって、とても身近な内容です。自分なりに考えや意志が芽生えてきて、将来やりたいことも見えてきた。親と意見が食い違ってしまってるけど、親の言うことも無視できない…。こういった状況でどうしたら良いかわからないという人もいるでしょう。そんな人はぜひ本作を観て、「自分ならどうするか」をイメージしてみてください。親の気持ちも想像できるし、主人公の姿から勇気をもらえます。
『カセットテープ・ダイアリーズ』
2020年7月3日より全国公開
ポニーキャニオン
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TEXT by Myson