2020年1月に日本で公開された岩井俊二監督の映画『ラストレター』が、本作では中国を舞台に描かれています。こちらも監督、脚本、プロデュースは岩井俊⼆が担当しており、セルフリメイクにも思えますが、実は本作のほうが先に撮影されており、中国で2018年に公開されたそうです。姉の死をきっかけに妹が、姉の同窓会に参加し、そこで初恋の人と再会。その後、姉になりすまして初恋の人と手紙をやり取りする展開など、大筋の物語は日本版とほとんど変わりませんが、やはり舞台とキャストが変わると、観終わった時の物語の印象が異なります。
そして、主人公のチィファ、亡くなった姉のチィナン、チィファの初恋相手イン・チャン、さらにチィファやチィナンの子ども達など、それぞれのキャラクターの思いが淡く美しく描かれていて、少しずついろいろな人物に共感できるのは、やはり岩井監督の演出力と各キャストの演技力なのかなと思います。また、手紙のやり取りのすれ違いや、少しずつ明かされていく各キャラクターの背景は観ていてすごく引き込まれます。中国版から初めて観る方はもちろん、日本版を既に観た方も改めて楽しめる作品になっています。
初恋と温かな人間関係が描かれた物語なので、デートにもオススメです。主人公の初恋が過去の回想シーンと現在を軸に描かれているのですが、改めて恋愛は難しく、なかなか思うようにはいかないことがわかります。今まさに恋愛中で手こずっている相手がいたら、敢えて本作を一緒に観て、相手の気持ちを探るのもアリだと思います。
主人公達の子ども時代が登場したり、現在のパートでは主人公達の子ども達も登場し、それぞれがキーとなる存在なので、皆さんも共感しながら観られるでしょう。また、主人公達が大人になってからの生活も映し出されていて、過去との結び付きなども観られる作品なので、将来自分がどんな大人になるのか想像しながら観るのもおもしろいと思います。
『チィファの手紙』
2020年9月11日より全国公開
クロックワークス
公式サイト
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TEXT by Shamy