私達は、生命の維持や成長のために毎日食事をします。体内に取り込まれた食べ物は、消化、分解、吸収され、吸収された物質は、エネルギー源となったり、体の組織を生成、生態機能を調整します。これらの一連の営みを“栄養”と言い、栄養のために必要な物質を“栄養素”と言います。今回はそんな栄養素の基礎となる“糖質”“脂質”“たんぱく質”の三大栄養素について紹介します。
三大栄養素それぞれの役割とは?
★糖質
多く含まれる食材:穀類、いも類、はるさめ、コーンフレーク、パンなど
ごはんなどの穀類やいも類に多く含まれる栄養素で、主にエネルギー源として利用される重要な栄養素。なお、人の消化酵素で消化される糖質と、消化されない食物繊維を合わせたもののことを“炭水化物”と言います。糖質は1gあたり4kcalのエネルギーとなりますが、体内でエネルギーとして使うにはブドウ糖にまで分解する必要があります。ブドウ糖は肝臓でグリコーゲンとして蓄えられ、必要に応じてブドウ糖に分解される他、血液を通して筋肉やその他の組織に運ばれ、そこで分解される際に生じるエネルギーが生命活動のもとになります。ただし、過剰なブドウ糖は中性脂肪になって蓄積され、肥満の原因にもなるので、糖質の摂り過ぎには注意が必要です。
→食事のバランスについてはこちらを参考にしてみてください。
★脂質
多く含まれる食材:植物油、ラード、牛脂、バターなど
脂質は、細胞膜、核酸、神経組織などの構成成分として必要な栄養素で、1gあたり9kcalのエネルギーとなります。高いエネルギー量となりますが、脂溶性ビタミン(水に溶けにくく油脂やアルコールに溶ける性質があるビタミン)の吸収も助ける重要な栄養素です。脂質は脂肪酸とグリセリンに分解され、小腸から吸収されます。そこで中性脂肪に再合成され、体の各部分に送られ、肝臓や筋肉、その他の組織で分解される時にエネルギーが発生し、生命活動のもとになります。中性脂肪は、貯蔵脂肪として皮下や臓器の周辺に蓄えられます。中性脂肪は、“脂肪”と呼ばれることが多く、“脂肪=太る”というイメージのある方も多いと思いますが、脂肪は内臓を守るためのクッションになったり、体温保持、体のラインを整えるなどの大切な役割も担っています。
★たんぱく質
多く含まれる食材:肉、魚、卵、牛乳、大豆など
たんぱく質は約20種類のアミノ酸が多数結合したもので、1gあたり4kcalのエネルギーとなります。アミノ酸の数、種類などによって体の中での働きが異なり、筋肉、臓器、血色素(ヘモグロビン)、酵素、ホルモンなどの合成に関わっていきます。アミノ酸のうち、体内で合成できない9種類(成人は8種類)は“必須アミノ酸”と呼ばれ、食事から摂る必要があり、主にまぐろ、かつお、あじ、サンマ、牛肉、鶏肉、卵、大豆、チーズなどに多く含まれています。たんぱく質が不足すると体を構成するたんぱく質が分解されて不足分を補うため、体力や免疫力が低下します。また、たんぱく質から分解されたアミノ酸は、一部尿素となって排泄されるため、摂り過ぎてしまうと腎臓に負担がかかってしまいます。
上記内容から、どの栄養素も私達の体にとって必要不可欠なものであり、決して欠かせないものであることがわかると思います。他にも、三大栄養素には細かい役割がたくさんありますが、今回挙げた代表的な役割だけでも意識して食事を摂ってみてください。次回は、今回の栄養素の続編として、体の調子を整える働きをする“ビタミン”と“ミネラル”、そして第6の栄養素とも呼ばれる“食物繊維”の役割についてご紹介します。
<参考・引用資料>
三ッ井清貴「服部幸應の食育インストラクター養成講座 テキスト1」(がくぶん)
農林水産省Webサイト
本内容は、上記で語られている内容を一部引用しまとめたものです。
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TEXT by Shamy(NPO日本食育インストラクターPrimary)