このドラマは、半径3メートルの1シチュエーションで描かれ、1話完結のオムニバス形式となっています。その第6話で主演した浅香航大さんにインタビューをさせて頂きました。浅香航大さんといえば、これまで数々の作品で名演、怪演をみせてくれていますが、演技についてのお話や、印象に残っている映画のお話などいろいろとお聞きしました。
<PROFILE>
浅香航大(あさか こうだい):鎌田健吾 役
1992年8月24日、神奈川県生まれ。2008年から俳優として活動し、ドラマ『花ざかりの君たちへ〜イケメン☆パラダイス〜2011』で連続ドラマ初出演を果たす。その他、NHK連続テレビ小説『マッサン』(2014)、『ひよっこ』(2017)、テレビドラマ『あなたの番です』(2019)など話題作に出演。映画でも『桐島、部活やめるってよ』(2012)、『悪の教典』(2012)、『南瓜とマヨネーズ』(2017)、『チア男子!!』(2019)、『見えない目撃者』(2019)、『劇場』(2020)『とんかつDJアゲ太郎』(2020)など多数出演。
こういう勇気がいる作品をやらせてもらったのはすごく良かった
マイソン:
最初に脚本を読んだ時の感想を教えてください。
浅香航大さん:
脚本が本当におもしろかったんです。荻上直子さんの脚本は初めてだったんですけど、会話劇としてすごくおもしろいし、1シチュエーションなので台詞量も多かったのですが、脚本にすごく没入感がありました。それでいてドラマ性も備えていて、この脚本はおもしろいな、ぜひやりたいなと思いました。
マイソン:
そうなんですね。あの短い中にすごく展開があって、最初にお茶を差し出されるところとかすごく怖いって思いました(笑)。
浅香航大さん:
お化けなのかなって思いましたよね(笑)。
マイソン:
ツッコミどころもたくさんあって(笑)。
浅香航大さん:
そうですよね。本当におもしろいんですよ。どこまで狙っているのかわからないんですけど、どこまで表現できるのかなっていうくらい繊細なものがたくさん散りばめられていて、それを2人で1シチュエーションで見せるっていうのは、役者の技量が問われると思うのでプレッシャーがありました。
マイソン:
演技力が伝わってくる構成だったので、すごく見応えがありました。楽しかった部分と難しかった部分はありますか?
浅香航大さん:
あの莫大な台詞量と、僕の長台詞を15分以上の1カットでいくっていうプレッシャーと緊張感はありましたけど、結局それは紙一重で、楽しいっていうことだと思うんですよね。あれだけの量にチャレンジするというのは楽しかったですし、あとはたった2人の1シチュエーションで会話劇っていうドラマはなかなか作れないと思うんです。今のお客さんは展開、展開で見せられるので、こういった作品は勇気がいると思うんです。今回はHuluで配信だからこそっていうのもきっとあると思いますし、地上波で流れて“ながら見”されちゃうと、お客さんはついてこないんじゃないかなって。だからそんな脚本は怖くて書けない、作ろうってならないと思うんですよ。映画だったら別ですけど。それをやらせてもらえたっていうのはすごく良かったなと思います。
マイソン:
1人芝居とか2人芝居でお客さんを惹きつけるって本当にすごいなと思うのですが、この作品を機に他にやってみたくなったことはありますか?
浅香航大さん:
究極でいうと、『レヴェナント:蘇えりし者』という映画。あれは、ほぼずっとレオナルド・ディカプリオの1人芝居じゃないですか。森の中で動物と戦って、あれもなかなか静かだし、ああいうのをやりたいですね。さらに突き詰めるとしたら1人でというか、1人でサバイバルをする、それこそトム・ハンクスの『キャスト・アウェイ』とか。ああいうのをやりたいです。
マイソン:
やって欲しいです!!
浅香航大さん:
サバイバルが好きだし、真っ黒に日焼けをして、髭を生やして、本当に火起こしとかして、肌もカピカピになって、火が起きただけで「うわー!!」みたいな。そういうのをやりたいですね。
マイソン:
良いですね!浅香さんが出演されている作品をいろいろ拝見して、毎回別々の方が演じているのかと思うくらい役によって全然違うのですごいなと思います。俳優は感情や内面を動かして、気持ちの切替も必要なお仕事だと思うんですけど、上手い切り替え方ってありますか?役を家まで持って帰る方と、スパッと終わる方と両方いらっしゃると思うんですけど、どうでしょうか?
浅香航大さん:
そんなにプライベートまで影響しちゃうタイプではないです。連ドラとか映画は2〜3ヶ月かかるので、ずっとそのことが頭にありますから多少はあるかもしれないですけど、切り替えをそんなに意識しないですね。慣れちゃったというか、無意識なくらいですね。あとは、本当にお芝居をする瞬間の集中力というか、整ったなという感覚はあります。お芝居をしていて、「今整ってた」っていう。本番までにそこに持っていくというのはありますけど、結局のところ感覚なんですよね。
マイソン:
それは積み重ねてきてだんだんわかってきたという感じですか?
浅香航大さん:
だんだんわかってきたというか、いかにその状況を信じられるのかということですね。環境とか場所、美術とかもすごく大事だと思いますし、衣装とかそういうことを積み重ねて、どれだけ信じられる環境に自分を置くのかみたいな。急に「はい、どうぞ」って言われてもやっぱりできないですし、頭の整理がついて、皆で作り上げた環境とか空気ですかね。そういうのを感じるんでしょうね。
マイソン:
なるほど。では、今までで大きな影響を受けた映画や、俳優、監督がいらっしゃったら教えてください。
浅香航大さん:
1番最近でいうと『すばらしき世界』が本当に良かったです。観終わってすぐに仲野太賀に連絡して、プロデューサーにも連絡して「本当に良かった!」と伝えました。すごく集中力の高さを感じる作品で、ちゃんと遊びもあって、役所広司さんもだし作品としてもチャーミングさがあるし、無骨だし、見応えがありました。あとは、小さい頃に観て大好きだった映画が『ネバーエンディング・ストーリー』で、あれは子どもの頃にすごい映画だなと思って大好きだったんですけど、大人になって観返したら、「何だ、これは!人形が動いているだけじゃないか」って(笑)。あれはビックリしました。脳の中で良いものって美化されてしまっているんですね。
マイソン:
確かに(笑)!技術もだいぶ進化しているので、大人になってから子どもの頃に観た作品を観ると「??!」ってなりますよね。
浅香航大さん:
完全に職業的な観方が入ってきてしまって、ファルコンのまばたきの仕方からして、あの中に誰か入っているのかなって(笑)。
マイソン:
ハハハハ!でもあれは子どもの頃は超大作に見えていましたよね。
浅香航大さん:
そうですよね。当時はどうだったんですかね?今考えると低予算だったんじゃないかなって思いました。
マイソン:
今の映画もすごいですけど、昔の映画って工夫してなんぼみたいなところがおもしろかったですよね。
浅香航大さん:
1周回っておもしろいのかも知れないですね、もう1回観てみようかな。
マイソン:
こうして振り返るともう1回観たくなりますよね。では最後の質問なのですが、これから挑戦してみたい役柄はありますか?あと浅香さんが出演したいと思う作品や役柄って共通点はありますか?
浅香航大さん:
共通点はないですね。いただいたお話はなるべくお受けして、いろいろなことをやりたいし、今後もいただいたものにはチャレンジしたいです。これは渡辺謙さんの受け売りになっちゃうんですけど、「自分がやりたいものをやるより、誰かが僕にやらせたいと思ったようなものをやっていくほうが良い」っておっしゃっていたんです。テレビで観ただけなんですけどね(笑)。それがすごく自分にしっくりきたんです。何かをやらなきゃとか、何か信念を持ってとか、そういうことを探しがちなんですけど、その辺に関しては受け身でも良いのかなって。もちろんちゃんと本を読んでしっかり信念を持って責任感を持って丁寧にやりますけど、受け身でも良いのかなと思います。でも、個人的にはすごくカッコ良いスパイアクションとかやりたいですね!
マイソン:
スパイ映画だと、海外作品はどうですか?
浅香航大さん:
無茶苦茶やりたいですけどね。今のところは全然で、それこそ海外の場合は自分から動かないと始まらないですよね。どんな役でも良いからクリストファー・ノーランの作品とか出たいですけどね。
マイソン:
ぜひ出て欲しいです!
浅香航大さん:
大きいこと言っちゃった(笑)。
マイソン:
楽しみにしています!ありがとうございました。
2021年3月25日取材 PHOTO&TEXT by Myson
Huluオリジナル『THE LIMIT』
Huluにて全話独占配信中
第6話「高速夜行バス」
脚本:荻上直子
出演:浅香航大/木野花
半径3メートルの1シチュエーション、1話完結で描かれるオムニバスドラマ。第6話「高速夜行バス」は、高速夜行バスに乗る、訳ありげな男性と彼に優しく声をかける老婆の物語。2人の不穏な会話の行き着く先は…。
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