REVIEW

ドント・ルック・アップ【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
Netflix映画『ドント・ルック・アップ』レオナルド・ディカプリオ/ジェニファー・ローレンス

巨大彗星が約半年後に地球に衝突するという危機を描いたストーリーですが、よくあるディザスタームービーとは一線を画しています。これは巨大彗星が地球に衝突するのをどう回避するかという話ではなく、この地球滅亡の危機を察知した天文学者が必死に政府や世の中に訴えても誰も耳を貸さない社会を映し出す物語となっている点でとてもユニークです。そして、目の前の現実から目を逸らすだけではなく、今度は権力者達が地球を救うよりも自らの利益のために暴走する様が描かれていて、地球上の至るところで起きているであろう出来事を揶揄する内容となっています。なので、扱っているテーマはとても深刻な社会問題と言えますが、そういう社会を象徴する人物達のバカさ加減を嘲笑するように、かなりブラックユーモアが効いています。一番腹立たしいキャラクターは権力者達ですが、彼等の情報操作に踊らされている一般庶民も含めて、人間の愚かな姿が浮き彫りにされています。
また本作には、レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・ローレンス、メリル・ストリープ、ケイト・ブランシェット、ジョナ・ヒル、マーク・ライランス、タイラー・ペリー、ティモシー・シャラメ、アリアナ・グランデ、ヒメーシュ・パテルなど豪華過ぎるキャストが顔を揃えています。主演のレオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・ローレンスの名演を楽しめるのはもちろん、メリル・ストリープ、ジョナ・ヒル、マーク・ライランスが見事にいや〜なキャラクターを演じていて、本当に観ていて腹立たしくなってきます。ケイト・ブランシェット、タイラー・ペリーが演じる脳天気なキャスターも異様な世の中を象徴するような存在となっていてとても印象的です。さらにティモシー・シャラメが演じる若者は、絶望的な社会に生まれてしまった運命と静かに折り合いを付けているように見えて、これまた時代を象徴するキャラクターとして存在感を放っています。
どんな結末を迎えるのか最後までわからない展開となっていて、オチもとってもシュールです。いつまで経っても、何があっても人間は愚かであり、愚かだからこそ図太いのかもしれませんが、本作は「これで良いんでしょうか?」と問いかけているようにも感じます。ここで他人事と思うか、何かしら自分にも関係する物語と観るかによって、どちらの人種に属するのか分かれそうです(苦笑)。

デート向き映画判定
Netflix映画『ドント・ルック・アップ』メリル・ストリープ

恋愛ネタも少々入ってきますが本筋ではないので、カップルで観て気まずいことはそれほどないと思います。こういった事態に陥った時、個々の価値観がすごく出てくると思います。なので、観終わった後に感想を述べあうとある程度2人の相性が見えてくるのではないでしょうか。「この人と一緒にいて良いのかな?」と心のどこかで思っている方は、敢えてデートで観て相手の意見を聞き、自分との相性をジャッジしてみてはどうでしょうか?

キッズ&ティーン向き映画判定
Netflix映画『ドント・ルック・アップ』レオナルド・ディカプリオ/ジェニファー・ローレンス/タイラー・ペリー/ケイト・ブランシェット

15歳未満の未成年者の視聴は推奨されませんとあるので、高校生になってから観ると良いでしょう。社会問題を扱っていますが、ストーリーはシンプルなので理解に困ることはないと思います。ただ、派手なディザスタームービーではないので、その辺りは念頭に置いて観てください。巨大彗星が地球に衝突するかもしれないという状況にはなくても、映画で描かれているのと同じようなことが私達の身の回りでも起きています。あなたならどうするか考えながら観ると、今後の行動や姿勢も少し変わってくるかもしれません。

Netflix映画『ドント・ルック・アップ』レオナルド・ディカプリオ/ジェニファー・ローレンス//ロブ・モーガン/ジョナ・ヒル/マーク・ライランス/タイラー・ペリー/ティモテ・シャラメ/ロン・パールマン/アリアナ・グランデ/スコット・メスカディ/ケイト・ブランシェット/メリル・ストリープ

『ドント・ルック・アップ』
2021年12月24日よりNetflixにて配信中
公式サイト

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『マイ・インターン』アン・ハサウェイ 映画好きが推すイイ俳優ランキング【海外40代編】総合

今回は、海外40代(1975年から1984生まれ)のイイ俳優の中から、昨今活躍が目覚ましい方を編集部の独断で80名選抜し、正式部員の皆さんに投票していただきました。今回はどんな結果になったのでしょうか?

映画『ザ・バイクライダーズ』オースティン・バトラー ザ・バイクライダーズ【レビュー】

“バイクライダー=バイク乗り”とは、どんな人物をいうのでしょうか…

Netflix映画『マイケル・ジョーダン:ラストダンス』マイケル・ジョーダン 心が弾む!バスケットボール映画特集

バスケットボール人気が出てきているのを感じる昨今。…今回は、バスケットボールにちなんだ作品をズラリとご紹介します。

映画『リュミエール!リュミエール!』 リュミエール!リュミエール!【レビュー】

映画の始まりが述べられる際、トーマス・エジソンと、リュミエール兄弟(ルイとオーギュスト)の名前がよく挙がります…

映画『デューン 砂の惑星PART2』ゼンデイヤ ゼンデイヤ【ギャラリー/出演作一覧】

1996年9月1日生まれ。アメリカ出身。

映画『チネチッタで会いましょう』ナンニ・モレッティ/マチュー・アマルリック チネチッタで会いましょう【レビュー】

タイトルに入っている“チネチッタ”とは…

Netflixドラマ『さよならのつづき』有村架純/坂口健太郎 ポッドキャスト【だからワタシ達は映画が好き22】2024年11月後半「気になる映画とオススメ映画」

今回は、2024年11月後半に劇場公開される邦画、洋画、Netflixの最新ドラマについてしゃべっています。

映画『Back to Black エイミーのすべて』マリサ・アベラ Back to Black エイミーのすべて【レビュー】

類稀な才能を持つ歌姫エイミー・ワインハウスは、2011年7月、27歳の若さで逝去…

映画『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』川栄李奈さんインタビュー 『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』川栄李奈さんインタビュー

真面目な公務員と天才詐欺師チームが脱税王との一大バトルを繰り広げるクライムエンタテインメント『アン…

映画『ドリーム・シナリオ』ニコラス・ケイジ ドリーム・シナリオ【レビュー】

ニコラス・ケイジ主演、『ミッドサマー』のアリ・アスターとA24が製作、さらに監督と脚本は『シック・オブ・マイセルフ』のクリストファー・ボルグリと聞けば、観ないわけには…

部活・イベント

  1. 【ARUARU海ドラDiner】サムライデザート(カップデザート)
  2. 【ARUARU海ドラDiner】トーキョー女子映画部 × Mixalive TOKYO × SHIDAX
  3. 【ARUARU海ドラDiner】サポーター集会:パンチボール(パーティサイズ)
  4. 【ARUARU海ドラDiner】プレオープン
  5. 「ARUARU海ドラDiner」202303トークゲスト集合

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『マイ・インターン』アン・ハサウェイ 映画好きが推すイイ俳優ランキング【海外40代編】総合

今回は、海外40代(1975年から1984生まれ)のイイ俳優の中から、昨今活躍が目覚ましい方を編集部の独断で80名選抜し、正式部員の皆さんに投票していただきました。今回はどんな結果になったのでしょうか?

映画『淪落の人』アンソニー・ウォン/クリセル・コンサンジ 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.2

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメンVS悪魔軍団~』ムロツヨシ 映画好きが推すイイ俳優ランキング【国内40代編】個性部門

個性豊かな俳優が揃うなか、今回はどの俳優が上位にランクインしたのでしょうか?

REVIEW

  1. 映画『ザ・バイクライダーズ』オースティン・バトラー
  2. 映画『リュミエール!リュミエール!』
  3. 映画『チネチッタで会いましょう』ナンニ・モレッティ/マチュー・アマルリック
  4. 映画『Back to Black エイミーのすべて』マリサ・アベラ
  5. 映画『ドリーム・シナリオ』ニコラス・ケイジ

PRESENT

  1. 映画『バグダッド・カフェ 4Kレストア』マリアンネ・ゼーゲブレヒト/CCH・パウンダー
  2. 映画『型破りな教室』エウヘニオ・デルベス
  3. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP