2000年にロシアで実際に起きた未曾有の原子力潜水艦事故を、当時の関係者の証言や緻密なリサーチのもと映画化された本作。潜水艦事故の怖さはもちろん、陸上にいる家族や政府関係者の動きも映し出されており、驚きの事実が少しずつ明かされていきます。また、主人公のミハイル(マティアス・スーナールツ)を中心とした人間ドラマからも目が離せません。海底に取り残されてしまったミハイルら乗組員が、緊迫した状況の中でもお互いを励まし合い、仲間を信じる姿はとても素敵で、応援したい気持ちでいっぱいになります。一方、陸上で彼らの帰りを待つ家族が情報を得るために奔走する姿にも胸を打たれます。
チームの偉大なリーダー、ミハイルを演じたマティアス・スーナールツは、本作では過酷な水中シーンなどにも挑戦していて、いつも以上にカッコ良く見えます。その他にもレア・セドゥやコリン・ファースが重要なキャラクターとして登場しているので、一人ひとりの動向に注目してご覧ください。
一刻を争う事態で政府の対応の遅さには憤りを感じますが、体力もメンタルもギリギリの状況下で乗組員達が仲間や家族を信じて救助を待ち続ける姿からは、深い愛も感じられます。今後同じようなことを繰り返さないためにも、まずは本作を観てこういった事件があったことを知るのも大切な第一歩だと感じます。
緊迫したシーンが多いのでデートで観るとお互いの心の距離がグッと近づく効果がありそうです。乗組員達の身に危険が迫る場面はとても苦しい気持ちになりますが、ミハイルが妻や子どもを想う家族愛はとても素敵なので、パートナーをより大切にしたくなるのではないでしょうか。
事故の怖さが描かれている部分もあるので、キッズはできれば中学生くらいになってからのほうが人間ドラマにもより集中して観られると思います。ティーンの場合は人間ドラマや政府関係者の動きにも注目して観てください。また、事故後のミハイルの迅速な判断と行動は素晴らしいリーダーシップを発揮しているので、ぜひ皆さんも参考にしてください。
『潜水艦クルスクの生存者たち』
2022年4月8日より全国順次公開
キノシネマ
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TEXT by Shamy