“鋼の錬金術師”シリーズ完結編2部作の前編となる本作には、かなりの強者が登場します。まず、新田真剣佑が演じる謎の男。俊敏かつ豪快な戦いぶりで迫力のあるアクションシーンを何度も見せてくれます。思わず別作品でも似たような役柄を演じていたことを想起してしまいますが、本作を観るとなおこういうキャラクターがハマるなと感じます。彼が本来持っている身体能力の高さと鍛え上げた肉体のおかげで、説得力が出るんでしょうね。思わず腕の筋肉に目がいきます(笑)。ということで、あれはあれ、本作は本作で、楽しんでください。そして、これはネタバレになるので言えませんが、ある人物が大きな陰謀の真相に繋がることが明かされる驚きの展開があります。私は原作を読んでおらず、真っ新な状態で本シリーズを観ているので、この展開には純粋に驚きました。前作の内容は本作を観ていくうちに徐々に思い出しながら観ましたが、本作で出てくる新しい情報も結構多いので、前作をおさらいしてから観るほうが一層ストーリーを追いやすいかもしれません。
本作では、新キャラが複数登場するのも見どころで、彼等が敵か味方かわからない点でドラマチックな展開となっています。エド(山田涼介)を「小さい人」呼ばわりするギャグも、「前作でこんなにいじられてたっけ?」というほど頻繁に出てきて、緊張感のある展開の中に程よく緩和も取り入れられています。2部作ということで、本作はものすごく気になるところで終わったので、続きが観たい衝動に駆られると思います。
程よく恋愛を匂わす要素がありながら、そこがメインではないというところで、友達以上恋人未満、初デートでも観やすいと思います。迫力のあるアクションシーンもふんだんでエンタテインメント性が高いので、年に数回だけ映画を観るという方でも誘いやすいのではないでしょうか。ただし、続きものなので前作を観ておかないと置いてけぼり感はありそうです。事前に2人で復習しておくのも良いでしょう。
本作にはカッコ良いキャラクターがたくさん登場します。エドとアルの兄弟愛と戦いのシーンでのコンビネーションが見どころであるのはもちろん、他のキャラクターの戦いぶりにもそれぞれ個性があって、バリエーションを楽しめると思います。上映時間が123分とやや長いですが、ストーリー展開が早くてメリハリがあるので、小学生中学年以上なら集中も続くのではないでしょうか。
『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー』
2022年5月20日より全国公開
ワーナー・ブラザース映画
公式サイト
©2022 荒川弘/SQUARE ENIX ©2022 映画「鋼の錬金術師2&3」製作委員会
TEXT by Myson