時価6億円の伝説の真珠を巡る家族の大騒動と相続問題について描いた映画『親のお金は誰のもの 法定相続人』。今回は比嘉愛未さんと共にW主演を飾る三浦翔平さんにインタビューさせていただきました。撮影の裏話や、昔と今で俳優のお仕事に対する意識が変化した点などを伺いました。
<PROFILE>
三浦翔平(みうら しょうへい):城島龍之介 役
1988年6月3日生まれ。東京都出身。2008年、テレビドラマ『ごくせん 第3シリーズ』で俳優デビュー。以降、多くの人気作品に出演。『THE LAST MESSAGE 海猿』(2010)で第34回日本アカデミー賞新人優賞を受賞。その他の主な出演作に、映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』(2013)、『ひるなかの流星』(2017)、『魔女見習いを探して』(2020)、『天外者』(2020)、『嘘食い』(2022)、ドラマ『ホスト相続しちゃいました』(2023)、『やわ男とカタ子』(2023)などがあり、2024年放送の大河ドラマ『光る君へ』に出演予定。
※前半は合同インタビュー、後半は独占インタビューです。
人それぞれの立場よって、お金の価値は変わるものだと思います
記者A:
役が決まった時の感想や台本を読んだ時の感想を教えください。
三浦翔平さん:
田中監督とお会いする機会が何度かあり、次の作品で弁護士役をやって欲しいとお話がありました。その時に「田中監督が手掛けるのであればいつでもやれる準備をします」と答えました。その後、脚本の小松さんもご一緒することになり、前向きに話を進めていくことになりました。
正本が出来上がる前に改めて監督とお話をさせていただき、龍之介という人物像や物語の大きな構成について話しました。その時に相続や後見人制度について、そして龍之介の過去にどんなことがあったのかなど、いろいろな話をさせていただきました。もちろん台本をいただく前からやると決めていましたが、ぜひ龍之介役を演じたいと感じました。
記者B:
田中監督と役柄について具体的にお話されたことで印象に残っていることはありますか?
三浦翔平さん:
龍之介は、幼少期に受けたネグレクトがトラウマとなり、大人になっても少し歪んだ性格のまま、お金だけを信じている人物です。冒頭で「貯金残高の数字しか信じられるものがない」と出てきますが、龍之介は心のどこかで母親からの愛情に飢えていて、愛情そのものをきちんと認識できていないんです。そのまま大人になり弁護士になるわけですが、実際に龍之介のように若くして弁護士になって、自分で会社を立ち上げる方はごくわずかだそうです。だから龍之介はものすごく努力した人物なわけです。そういったバックボーンに龍之介自身が気づいていない心に蓋をしている部分があり、その蓋が遥海(比嘉愛未)の言葉により少しずつ開いていくんです。なので、龍之介の負の感情については監督とたくさん話し合いました。
記者B:
龍之介は周囲から誤解をされがちなキャラクターでしたが、そういったバックボーンがあったからこそすごく魅力的な人物に見えました。
三浦翔平さん:
実は台本を読んだ時は、龍之介がもっと悪くても良いのではないかと思い、監督に相談したんです。恨みの塊となって育った結果、お金しか信用しない冷徹な人間に見せたほうが、もう少しエッジが効くのではないかと思いました。その時は、まだ真珠にまつわる家族の話の部分はなかったのですが、監督は「龍之介を嫌わせたくない。普通に観たら嫌な奴だけど、切なさや人間らしさがあり、どこか共感できる部分を残したい」とおっしゃり、そういった監督の想いのもと、一緒に作り上げたキャラクターなので狙い通りです。
記者C:
今回ご一緒された田中監督は、『天外者』以来だったと思います。『天外者』は時代劇で今回は現代劇でしたが、演出の違いや変化を感じたことなどはありましたか?
三浦翔平さん:
京都の時は太秦のスタッフの方達が入っていたので、全然違う雰囲気の現場でした。今回は現代劇でコメディ要素も少しある作品だったので、楽しんで演じることができました。愛とお金と家族をテーマにした話なので、そこにフォーカスをして撮っていたという印象です。それから、とにかく英虞湾を綺麗に映していて、ドローンの画がすごく綺麗でした。結構動きのあるシーンも多く、走ったり踊ったり、躍動感があるように撮っていたような気がします。
記者C:
皆さんで踊っていたシーンは特に印象に残っています。
三浦翔平さん:
急に踊り出しましたよね(笑)。
一同:
ハハハハハ!
三浦翔平さん:
ダンスというより真珠を追って逃げまどいながら踊り始めるというシーンなのですが、その辺も含めて振り幅がすごくある作品だと思います。
シャミ:
先ほどお話もあったように龍之介は貯金残高の数字しか信じられない人物ですが、三浦さんにとってお金はどのような存在でしょうか?
三浦翔平さん:
その人にとって必要な分だけがあれば良いのかなと思います。人それぞれの立場によって、お金の価値は変わるものだと思います。
シャミ:
なるほど〜。本作は6億円の真珠にまつわる物語でしたが、もし6億円が手に入ったらどうされますか?
三浦翔平さん:
個人的に物を買うには十分過ぎる金額ですが、何か大きな事を成し遂げようと思うと意外と足りないのかもしれませんね。
記者D:
地元の方とも交流されながらのお仕事だったのでしょうか?
三浦翔平さん:
今回の撮影では地元の方々がたくさん協力してくださいました。昼休憩のお弁当やケータリングでボランティアの方が来てくださり、毎回美味しかったです。
記者D:
特に美味しかったものはありますか?
三浦翔平さん:
お肉も海産物もあるので、何でも美味しいんですよ。1番好きだったのは、牡蠣小屋で食べた牡蠣です。一生食べられると思うくらい美味しくて、しかも身が大きくてすごく濃厚でした。
記者A:
これから本作をご覧になる方に向けて見どころやアピールポイントを教えてください。
三浦翔平さん:
観る方によっていろいろな視点で観られるシーンばかりです。キャラクターそれぞれの目線でも観られますし、監督の伝えたい愛や家族とはという点も見どころです。また、真珠作りの大変さや、その真珠を巡る相続の話など、とにかくいろいろな裏テーマがたくさんある作品です。見どころしかないので、それぞれの視点で観て楽しんでいただけたらと思います。
作品作りは団体プレーだと思います
シャミ:
2008年に『ごくせん』でデビューされていますが、最初に俳優を志したきっかけは何かありますか?
三浦翔平さん:
学生の頃にアルバイトでエキストラをした時にこの仕事に興味を持ちました。デビューさせていただいた時は、まだ俳優というものがよくわかっていなくて、やっていくうちに理解していったという感じです。まずは体感して、頭で考えて理解して、その積み重ねで今があります。
シャミ:
いつ頃から本格的に俳優のお仕事をしたいと意識されたのでしょうか?
三浦翔平さん:
演じることがお仕事だと感じたのはやはり『ごくせん』の時です。何となく自分の中で固まっていったと思います。
シャミ:
それから年月が経ち、今も俳優を続けていらっしゃいますが、お仕事を続けていく上で常に心掛けていることや意識されていることなどはありますか?
三浦翔平さん:
僕らの仕事は演じることですけど、一概に演じていれば良いという話ではなく、脚本家さんの意図も考えなくてはいけません。役を作る作業もあります。原作がある作品の場合は、イメージから遠のいてはいけないとか、いろいろと考えることが多すぎて大変だなと感じることもあります。もちろん演者だけではなく、技術さんや、技師さんがいて、そこからさらに編集作業をして、音楽を入れてと、いろいろな方が携わって1つの作品が完成するので、作品作りは団体プレーだと思います。その団体の中で皆がプロフェッショナルなので、きちんとやらないといけません。でも、やはり人間なので、誰もがその日に100点満点を出せるわけではありません。そういった部分も汲み取りながら1シーン、1カットずつ皆で作り上げていくものだなと最近よく思います。
シャミ:
本当に多くの方が関わるお仕事ですよね。現場ごとにスタッフの方が変わると思いますが、大変ではありませんか?
三浦翔平さん:
毎回入学式と卒業式をやっている感じです(笑)。でも、さすがに長いことやっていると顔見知りの方と再会することもあり、それは同級生に会ったような感覚で良いなと思います。
シャミ:
昔と今とでご自身の中で俳優のお仕事に対する意識で何か変化したことはありますか?
三浦翔平さん:
最初は台本を覚えて芝居をして本番をやって、監督がOKなら終わりだと思っていたのが、実はいろいろな方達に助けられていたんだなと感じます。年を重ねてようやくわかるようになりました。母のありがたみと一緒ですね(笑)。
シャミ:
振り返ることで改めてありがたみを感じられたんですね。
三浦翔平さん:
未だにわからないことだらけなので、まだまだ僕も頑張らなくてはいけません。
シャミ:
今後も積み重ねていくことで変化がありそうですね。
三浦翔平さん:
またきっと変わってくるでしょうね。その時その時で感じるものが違うと思うので、また10年後くらいに取材していただいたら、違う見方になっているかもしれませんし、変わっていないかもしれません(笑)。
シャミ:
10年後にどうなっているのか気になります!本日はありがとうございました。
2023年8月30日取材 PHOTO&TEXT by Shamy
『親のお金は誰のもの 法定相続人』
2023年10月6日(金)より全国公開
監督:田中光敏
脚本:小松江里子
出演:比嘉愛未/三浦翔平/浅利陽介/小手伸也/山﨑静代(南海キャンディーズ)/松岡依都美/田中要次/デヴィ夫人/内海崇(ミルクボーイ)/DRAGONGATE/石野真子/三浦友和
配給:イオンエンターテイメント、ギグリーボックス
財産管理の弁護士、成年後見人である城島龍之介は、母親を亡くしたばかりの大亀家を訪れる。そこで遺産相続についてや、時価6億円の伝説の真珠が、娘達の自由にならないことを告げる。一方、大亀家三女の大亀遥海は、母を死に追いやった原因は父にあると、恨みを募らせていた。伝説の真珠を巡る争奪戦の行方は?そして、龍之介と大亀家が迎える感動の真実とは?
© 2022「法定相続人」製作委員会