REVIEW
イタリアの自動車メーカー、フェラーリの創始者エンツォ・フェラーリの実話を映画化した本作は、序盤から物々しいシーンで始まります。フェラーリについて詳しいわけでもなく、本作のあらすじも読んでいない方は、そのまま情報を入れずに観ていただくと、何が起こっているのかわからないがゆえに、余計に引き込まれると思います。そんな物々しいシーンを経るからこそ、その後の展開も良い意味で読めません。
本作では、F1レースで優勝し、ブランド力を上げて財政難を切り抜けようと奮闘するエンツォとレーサー達の姿が描かれています。その過程で、エンツォの経営者としての厳しさだけでなく、元レーサーとしての肝っ玉の大きさ、そしてF1レーサー達がいつも死と隣りあわせでレースに挑んでいる素顔が見て取れます。迫力満点のレースシーンも当然ながら描く必要があるなか、当時の車をどうやって調達したのかというと、本作の公式資料によれば「時に1億ドルもの値がつくオリジナルカーを使うことは不可能であり、しかも金型や図案がないので、容易に当時の車を複製することはできない。(中略)当時のオリジナルカーを数台選んで3Dスキャンし、撮影用のレースカーを作り上げた」とあります。これはフェラーリ愛用者やクラシックカー好きの方には特に必見ポイントではないでしょうか。
本作は、単なるフェラーリの起死回生のドラマに終わらず、エンツォの家族に起こった出来事も含めて、かなり赤裸々に描かれています。エンツォを演じたアダム・ドライバーのなりきりぶりはもちろん、ペネロペ・クルスの迫力ある演技にも魅了されます。『フォードvsフェラーリ』で描かれている時代とも重なるので、合わせて観るのもオススメです。
デート向き映画判定
カップルで観ると複雑な心境になりそうな展開がいくつか出てきます。事情を知ると理解できる部分もありながら、キャラクター達の苦渋の決断に対して述べた感想が、相手にどう受け取られるのか、考え過ぎてしまう方も出てくるかもしれません(苦笑)。というわけで、1人でじっくり観るか、友達と観るほうが良いのではと思います。
キッズ&ティーン向き映画判定
キーパーソンの1人として子どもも登場するので、皆さんは彼の目線で観ることになるのかもしれません。迫力のあるカーレースのシーンと、大人達が公私共に苦労を強いられるシーンが描かれていて、かなりドラマチックです。皆さんの年頃に観て、大人になってからもう一度観ると、見え方が変わる部分も出てきそうです。ただし、理解し難い大人の事情が描かれている点で、親子で観るとしたら、大人のほうが説明に困りそうです。自分の興味で映画を選ぶ年齢になってから観ると良いのではないでしょうか。
『フェラーリ』
2024年7月5日より全国公開
PG-12
キノフィルムズ
公式サイト
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TEXT by Myson
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