真面目な公務員と天才詐欺師チームが脱税王との一大バトルを繰り広げるクライムエンタテインメント『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』。今回は本作で主人公の部下、望月さくら役を演じた川栄李奈さんにインタビューをさせていただきました。
<PROFILE>
川栄李奈(かわえい りな):望月さくら 役
1995年2月12日生まれ。神奈川県出身。2015年、AKB48を卒業して以降、俳優として数々のドラマや映画などに出演。2019年『人魚が眠る家』で第61回ブルーリボン賞助演女優賞にノミネートされる。近年の主な出演作に、ドラマ『とと姉ちゃん』(2016)、『青天を衝け』(2021)、『カム カムエヴリバディ』(2021)、『となりのナースエイド』(2024)、映画『変な家』(2024)、『ディア・ファミリー』(2024)、舞台“千と千尋の神隠しSpirited away”(2024)などがある。
ズバッと言うよりもやんわりと空気感で正す方向に持っていくタイプです
シャミ:
最初に台本を読んだ時に、物語や望月さくらというキャラクターについてどんな印象を持ちましたか?
川栄李奈さん:
まず公務員と詐欺師の組み合わせは絶対にないので、すごくおもしろそうだと感じました。それを内野聖陽さんと岡田将生さんというお芝居の大変素晴らしいお二方が演じられるという点もいいなと思いました。内容としてもコメディ要素がありつつ、皆が抱えているものというテーマもあり、最後の最後まで騙し合うなど、1つの映画にいろいろな要素が詰まっていてすごく惹かれました。さくらは内野さんが演じる熊沢と行動することがほとんどで、熊沢は不器用な公務員、さくらは勝気で猛進な女の子で、その2人の対比がすごくおもしろそうだと思いました。
シャミ:
お話をいただいた段階で、内野さんと岡田さんは決まっていたんですね。
川栄李奈さん:
はい。ただ、岡田さんをはじめ詐欺師役の方々とは、撮影中に共演シーンがほとんどなかったので、完成した映画を観て全然別の作品を観ているようで新鮮な感覚になりました。
シャミ:
内野さんとの共演シーンはたくさんありましたが、ご一緒にお仕事をされてみていかがでしたか?
川栄李奈さん:
本当にプロだなと思いました。本読みの時から役についてすごく細かく書かれていて、さらに周りの役についても一緒にお芝居をしながら、「こっちのほうがやりやすくない?」とか、「こういう言い方のほうがいいんじゃない?」とアドバイスをしてくださいました。それからカメラのアングルについても、「このアングルだと見づらくない?」とか、監督のように全体を見て引っ張ってくださり、皆が納得のいくように撮影が進んでいきました。私はそういう話し合いを見ているだけで「すごい!確かに!!」と感じ、そういう内野さんの姿を近くで見られて良かったなと思います。
シャミ:
すごいですね!本作は、上田監督が『カメラを止めるな!』以前から温めていた企画だそうですが、監督と事前に物語や役について何か話し合ったことがあれば教えてください。
川栄李奈さん:
本読みの時に、監督から「もうちょっとカラッと演じてください」と言われたのですが、私はいまいち理解できず、何回やっても「いや、もうちょっとカラッと」と言われ、なかなか難しいなと思っていました。でも後日、監督からさくらのバックボーンを教えていただいて、こういうことがあって国税局員を目指しているということを教えていただいて、それを頼りにお芝居させていただきました。ガチガチに固めるというよりも、まずは自由にやらせてくださったので、すごくやりやすかったです。
シャミ:
さくらの背景を知ることで、少しずつ監督と川栄さんのさくらのイメージを擦り合わせていったんですね。
川栄李奈さん:
最初の本読みの時は、あまり役を掴めないまま終わってしまったのですが、バックボーンの書かれた紙をいただいて、それで現場で撮影をしてOKをいただけたました。でも、最終的に監督の望むようにできたのかは実は今もわからないんです(笑)。
シャミ:
そうだったんですね。今回上田組に参加されてみていかがでしたか?
川栄李奈さん:
以前生放送のドラマに少しだけ出させていただいて、上田監督とはその時が初めてでした。でも、本当に一瞬だったので、ガッツリと1作ご一緒するのは今回が初めてです。上田監督は私の想像していた通りの方でした。優しさがすごく溢れていながら、ご自身の中にこだわりがしっかりあって、イメージそのままでした。
シャミ:
さくらは税務署員の熊沢(内野聖陽)の部下で、正義感が強く血気盛んなキャラクターでした。さくらを演じる上で、特に意識された点や気をつけた点はありますか?
川栄李奈さん:
さくらの正義を曲げない信念の強さみたいなものを大切にして演じたいと思いました。熊沢は気弱で感情を出さずにペコペコしていて、一方さくらは曲がったことが嫌いで全部突き進むというキャラクターで、どちらが合っているのか、どちらが生きやすいのかといわれたら、たぶん熊沢のほうが生きやすいと思うんです。本編をご覧いただくと、そういう熊沢とさくらとの対比もよくわかると思います。
シャミ:
詐欺パートの楽しい雰囲気と比べると、税務署パートは結構シリアスなシーンが多かったですよね。
川栄李奈さん:
私は撮影中に詐欺パートのワチャワチャ感みたいなものを感じられず、わりと重めのシーンが多かったので、出来上がった作品を観て、すごく楽しそうでいいなと思いました(笑)。
シャミ:
税務署パートはリアルだからこそすごく共感できるところがあるなと感じました。
川栄李奈さん:
ありがとうございます!
シャミ:
さくらに対して川栄さんが特に共感できたところや、ご自身と似ていると思うところはありますか?
川栄李奈さん:
私も結構気が強いというか曲がったことが嫌いで、わりと正すほうなので持っている信念はさくらとわりと似ていると思います。でも、さくらみたいにズバッと言うよりもやんわりと空気感で正す方向に持っていくタイプです。
シャミ:
さくらは10億円の脱税疑惑がある巨大企業の社⻑に勇敢に立ち向かうも、圧力をかけられてしまいます。もし川栄さんご自身がさくらと同じ状況だったらどのように対応されると思いますか?
川栄李奈さん:
やはりさくらと似たようなことをするかもしれません。ただ、現実でも真面目な方が報われないこともたくさんあって、結果自分が辛くなってしまうことがあるので、熊沢みたいに周囲にペコペコしていくというのも生きる手段としてはアリなのかなと思います。
シャミ:
もし熊沢のような人が傍にいて悩んでいるとしたら、どんなアドバイスをされますか?
川栄李奈さん:
私はあまりくよくよするタイプではないので、「いや、もう行きましょう」みたいな感じで言うと思います。
シャミ:
頼もしいですね!
川栄李奈さん:
でも、さくらのように猪突猛進というよりは、もう少し上手くやると思います(笑)。
自分がちゃんと周りを見て引っ張っていかなきゃと感じるようになりました
シャミ:
2015年にAKB48を卒業して以降、俳優としてさまざまな作品に出演し活躍されていますが、俳優を志したきっかけは何かありますか?
川栄李奈さん:
俳優になりたいと思ったのは、AKB時代にお芝居をさせてもらった時に芝居が楽しいと感じたからです。
シャミ:
ちなみにアイドル活動を始められる前はアイドル志望だったのでしょうか?
川栄李奈さん:
特にアイドル志望ではなく、友達から「オーディションを受けない?」と言われ、ノリで受けたんです。なので、最初は私にはできないと感じていて、しかもできないことに対して開き直って頑張ろうともしていませんでした。でも、徐々にやらなくてはいけない状況だったり、後輩ができたことで少しずつ意識が変わっていきました。何よりもメンバーと出会えたことで現場が楽しかったんです。でも、歌とダンスは苦手でそれをずっとやるのは違うと感じていたところでお芝居と出会い、俳優になりたいと思いました。
シャミ:
アイドルとして第一線で活躍されているなか、卒業して俳優の道へ進む上で、最初はプレッシャーなどありましたか?
川栄李奈さん:
私は、今辞めるの?みたいなタイミングで辞めたので、「俳優は無理でしょ」と言われることがすごく多かったんです。でも自分でやりたいと言って辞めることにしたので、絶対に売れてやろうみたいな気持ちがすごくありました。
シャミ:
AKB48を卒業されて来年で10年経ちますが、この10年で俳優としての心構えや、役との向き合い方で変化した点はありますか?
川栄李奈さん:
特別なことはありませんが、朝ドラに出演して以降は主演をやらせてもらう機会が増えたので、意識的なものはすごく変わりました。AKBでいうとリーダーではないですけど、自分がちゃんと周りを見て引っ張っていかなきゃとすごく感じるようになりました。
シャミ:
そういう意味でもアイドル経験が活かされているんですね。
川栄李奈さん:
はい!
シャミ:
今後俳優として新たに挑戦してみたいことはありますか?
川栄李奈さん:
今までは元気キャラとか、前向きで正義感が強い明るい役をいただくことが多かったんです。でも、30代になるので、まだやったことのない暗い役や闇を抱えている役もやってみたいです。あとはお母さん役にも挑戦してみたいです。
シャミ:
映画、ドラマ、舞台と本当に多岐に渡って活躍されていますが、俳優、もしくはそれ以外で何か興味があってやってみたいことはありますか?
川栄李奈さん:
今年は舞台“千と千尋の神隠しSpirited away”で海外に行かせてもらい、それがすごく楽しかったので、今後海外でもお仕事ができたらいいなと思います。でも、そう簡単にはいかないと思うので、自分で基礎からきちんと学ぶことも大切だと思いますし、今から勉強をすることは全然遅くないと思うので、語学なども含めてしっかり準備をしていきたいと思います。
シャミ:
日本国内でお仕事をされるのと海外とでは全然違いましたか?
川栄李奈さん:
全然違いました。日本だとありがたいことに、ある程度私のことを知ってくださっている方がいて、その上でお芝居を観てもらうのですが、海外だと私の情報を何も知らない方達に観てもらうので、受け取り方が全然違うと思うんです。千尋でいうと10歳の女の子に見えるように演じなければなりませんが、日本だと私は10歳に見えていないんじゃないか、もう30歳なのにランドセルを背負うのかと思われていないかと心配な部分もありました。ですが、私についての前情報がない海外の方達に観てもらうとなると、私自身すごくオープンになれる感じがました。それに海外なら私はきっと幼く見えるし、背も小さいので、これならたぶん10歳に見えるんじゃないかなと思いながらお芝居をすることができたのでいいなと思いました。
シャミ:
なるほど〜。上演中の観客の反応も違うのでしょうか?
川栄李奈さん:
違いました。海外の方は笑い声を出したり、本当に素直に感情を表現してくださるのが楽しかったです。皆で空間を楽しむみたいな感じなんです。たぶん演劇が日本よりも身近にあることも大きく影響していて、毎日いろいろな劇場公演が行われていることが日常なので、そもそもそこが日本と違うところなのかもしれません。
シャミ:
では最後の質問です。これまでで1番影響を受けた作品、もしくは俳優や監督など人物がいらっしゃったら教えてください。
川栄李奈さん:
私は10代の時にドラマで満島ひかりさんと共演させていただいて、それからずっと満島さんが好きなんです。そのドラマで満島さんは先生役だったのですが、生徒役の衣装までチェックしてくだり、「このキャラだったらこの服は着ないと思うから、こっちのほうがいいんじゃない?」と、細かいところまで全部見てくださり、すごく衝撃を受けました。「満島さんが出ている作品だったら観よう」と思わせてくれるような役者さんなので、私もそういう役者になれたらいいなと思います。
シャミ:
それ以降は満島さんとの共演はないのでしょうか?
川栄李奈さん:
はい、共演できていないんです。でもいつかまたご一緒できたらいいなと思います。
シャミ:
お二人の再共演も楽しみにしています!本日はありがとうございました!
2024年11月7日取材 Photo& TEXT by Shamy
『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』
2024年11月22日より全国公開
監督:上田慎一郎
出演:内野聖陽/岡田将生/川栄李奈/森川葵/後藤剛範/上川周作/鈴木聖奈/真矢ミキ/皆川猿時/神野三鈴/吹越満/小澤征悦
配給:NAKACHIKA PICTURES、JR西日本コミュニケーションズ
税務署に務める公務員、熊沢二郎は、ある日天才詐欺師の氷室マコトが企てた詐欺に引っかかり、大金を騙し取られてしまう。親友の刑事の助けで氷室を突きとめた熊沢だったが、観念した氷室からある提案を持ちかけられる。葛藤の末、熊沢は自らが抱えるある復讐のために氷室と手を組むことを決意し…。
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情報は2024年11月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。
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