REVIEW
実在の兄弟デュオ“ドニー&ジョー・エマーソン”は、1979年に10代で1枚のアルバムを自ら作り発表しました。本作はそのエマーソン家の実話です。2人が発表したアルバム“Dreamin’ Wild”は、約30年後にコレクターによって発掘され、ドニーとジョーは再び一緒に音楽活動をすることになります。曲を作っていた弟のドニーは、10代の頃から音楽の才能を認められ、家族からも応援されてきました。30年越しに脚光を浴び、ドニーにとっても喜ばしいことかと思いきや、彼には素直に喜べない事情がありました。
本作では、ドニーとジョーが10代だった頃と、大人になった現代の2つの時代を軸にストーリーが展開していきます。ティーンエイジャーの頃のドニーを演じるのは名子役として幼い頃から活躍してきたノア・ジュプ。兄のジョーを演じるは同じく子役時代から一線で活躍してきたジャック・ディラン・グレイザーです。小さい頃から彼等の活躍を見守ってきた者としてはまず、大きくなった彼等を見るだけで感動します。
一方、現代のストーリーにも、ケイシー・アフレック、ズーイー・デシャネル、ウォルトン・ゴギンズ、ボー・ブリッジス、クリス・メッシーナといった演技派が揃っていて、クオリティは保証済みといえるでしょう。
そして、本作の魅力は何といってもエマーソン家の切なく温かい物語です。すべてを投げうって息子達の夢をひたすら応援してきた両親と、その期待に応えようとしながらももがいてきたドニー、才能ある弟をそばでひっそり支えてきたジョー、それぞれが心に秘めていた思いが大人になり浮き彫りにされていきます。お互いを思うからこそいえなかった思いをぶつけ合う姿には心を打たれ、ウルウル必至です。普遍的なテーマを描いているので、エマーソン兄弟を知らない方でも共感できるストーリーです。長年の努力の後に報われる姿からも勇気と希望をもらえます。
デート向き映画判定
正直な気持ちをぶつけ合う夫婦の姿も描かれていて、一度は夢に敗れた人物の物語なので、同じような境遇の方は一層感情移入しながら観られるでしょう。そして、一緒に自分達の状況を客観視をする機会にもなるので、今後の方向性を相談するきっかけに観るのもアリではないでしょうか。
キッズ&ティーン向き映画判定
皆さんはティーンエイジャーだった頃の主人公の感情に似たものを、まさに今体験している時期かもしれません。子どものうちから好きなこと、没頭できることを見つけられるのはある意味幸運です。さらにその才能があればもっと幸運です。でも、それを仕事とするとなると簡単にはいきません。進路に悩んでいる方は特に、今本作を観るといろいろなことを考えるきっかけにできるでしょう。もちろん、今具体的な将来のイメージがない方でも参考になる部分がありますよ。
『ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた』
2025年1月31日より全国公開
SUNDAE
公式サイト
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TEXT by Myson
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