キャリアデザイン

あなただけのキャリア3:働く地域が限定されるメリットとデメリットは?【地域限定正社員制度】

  • follow us in feedly
  • RSS
ビジネス街イメージ写真:StockSnapによるPixabayからの画像

どんな仕事をするかも重要ですが、どんな働き方をするかはライフスタイルに直結するので、重要なポイントです。2020年は新型コロナウィルス感染症の影響で、在宅勤務というスタイルが広く受け容れられたり、飲食店では持ち帰りや宅配が選択肢に加わったり、働き方という観点でも変化のきっかけとなりました。

働き方に付随する項目としては、場所、時間帯、ステイタスや勤務形態、取引相手などが考えられますが、今回はまず“場所”から考えてみましょう。

“働く場所”というと、地域という意味もありますし、勤め先に行くのか自宅で仕事をするのかという意味合いもあります。地域という視点で考えた場合、職種によって、その産業が盛んな地域、未開拓の地域があるのはもちろん、企業に勤める場合は、大手企業なら国内外に支店があるので転勤があるかというところも考える必要が出てきます。

昨今“働き方改革”の推進に伴い、厚生労働省は地域限定正社員制度の導入を勧めています。この背景には、中小企業の人手不足といった問題や、ここ数年の新卒者の売り手市場によって多様なニーズに応える必要が出てきたということもあります。コロナ禍で売り手市場ではなくなった業種があったり、しばらく雇用を控える企業も出てきていると思われますが、同時に感染リスクが高い都会で働くよりも、地方のほうが働きやすいと考える若者も出てきそうです。

雇用側も、在宅勤務で通用する仕事、人材がどれくらいいるかということが、このコロナ禍で具体的に見えてきたことで、収束後も一部在宅勤務とするなどの措置を取るところがあるでしょう。本社を移転、縮小している企業もあり、社員がどこで勤務するかという考え方は今後大きな変化が出てきそうです。

地下鉄駅ホーム・イメージ写真:Jan VasekによるPixabayからの画像

いつ転勤するか、いつまで転勤があるのかがわからないと、人生設計を立てづらい部分があり、職場での人間関係の構築を考えても、長らく同じ場所で働ける地域限定正社員制度にはメリットを感じます。ただ、転勤の可能性がある条件で働く社員とのバランスを取るために、賃金を低く設定されるなどの可能性もあります。選択肢が増えるということは、それだけ社内のバランスをとるのが難しくなるので、トラブルを起こさないための取り決めも増えるでしょう。こういった制度がある企業に入る場合は、自身の優先順位を明確にして、最初に条件をしっかり理解した上で、契約をすることが肝心です。

ではここで、ハースバーグが提唱した「動機づけ=衛生理論」(Motivator-Hygiene Theory)をご紹介します。当サイトの「心理学から観る映画2-2:働く人のモチベーション【職務充実】」でも取り上げたので、詳細はそちらを見て頂ければと思いますが、ここでは働く地域について考えてみましょう。

「動機づけ=衛生理論」において、働く地域は“不満足要因=衛生要因(hygiene factor)”に当てはまります。ですので、働く地域が希望通りになったとしても、不満足が解消されるだけで、満足を生み出すわけではないということになります。満足に結びつく要因と不満足に結びつく要因は別次元のものなので(佐々木 1996)、その点は就職活動の際や、務めてからモヤモヤが出てきた時に、注意しておきたい点です。

働く地域は、職場としてだけでなく、生活する文化や環境という意味でも重要なポイントとなります。若いうちだけならどこで働くのでも良いのか、最初から決まっていたほうが良いのかなど、イメージしておくと良いですね。

<参考・引用文献>
佐々木士師二(1996) 「産業心理学への招待」有斐閣
厚生労働省(2019)「地域限定正社員制度導入 事例集」

オススメのお仕事映画

『アンカーウーマン』
Amazonプライムビデオにて配信中(レンタル、セルもあり)
DVDレンタル&発売中

業界や職種によっては、配属される拠点が出世の可能性を暗示している場合もあります。時代の変化に伴い、出世ルートにも多様性が出てきていると良いですが…。

アンカーウーマン [DVD]

『ハッピー・フライト』
Amazonプライムビデオにて配信中(レンタル、セルもあり)
DVDレンタル&発売中

田舎育ちの主人公が国際線のスチュワーデス(=CA:キャビンアテンダント)を目指す物語。主人公は地元のマイナー航空会社に入った後、業界大手の航空会社へ転職すべく励みますが…。この場合は、実質職場は空の上=飛行機の中ですが、カバーする地域がステイタスとも言えて、同じ地域選びでも視点が異なりますね。

ハッピー・フライト (字幕版)

TEXT by Myson(国家資格キャリアコンサルタント/認定心理士)

StockSnapによるPixabayからの画像
Jan VasekによるPixabayからの画像

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『サリー』エスター・リウ 『サリー』特別試写会イベント 5組10名様ご招待

映画『サリー』特別試写会イベント 5組10名様ご招待

映画『THE END(ジ・エンド)』ティルダ・スウィントン/ジョージ・マッケイ/モーゼス・イングラム/ブロナー・ギャラガー/ティム・マッキナリー/レニー・ジェームズ/マイケル・シャノン THE END(ジ・エンド)【レビュー】

REVIEWいつも通り観賞前にほぼ何も情報を入れず、登場人物はいつの時代にどこに住んでいる…

映画『シェルビー・オークス』 シェルビー・オークス【レビュー】

かつて繁栄しながらも今は廃墟と化しているシェルビー・オークスという町で…

映画『ナイトフラワー』渋谷龍太 渋谷龍太【ギャラリー/出演作一覧】

1987年5月27日生まれ。東京都出身。

映画『悪魔祓い株式会社』マ・ドンソク/ソヒョン/イ・デヴィッド 悪魔祓い株式会社【レビュー】

本作は、『悪人伝』や“犯罪都市”シリーズ、ハリウッド映画『エターナルズ』などでお馴染みのマ・ドンソクが…

映画『ツーリストファミリー』シャシクマール/シムラン/ミドゥン・ジェイ・シャンカル/カマレーシュ・ジャガン/ヨーギ・バーブ 『ツーリストファミリー』特別試写会 10組20名様ご招待

映画『ツーリストファミリー』特別試写会 10組20名様ご招待

Netflixシリーズ『イクサガミ』岡田准一 イクサガミ【レビュー】

今村翔吾著のベストセラー「イクサガミ」シリーズを原作とする本シリーズでは、岡田准一が主演、プロデューサー、アクションプランナー、藤井道人、山口健人、山本透が監督と脚本を担当…

映画『TOKYOタクシー』蒼井優 蒼井優【ギャラリー/出演作一覧】

1985年8月17日生まれ。福岡県出身。

映画『バーフバリ エピック4K』来日舞台挨拶イベント、プラバース、ショーブ・ヤーララガッダ(プロデューサー) プラバース、ショーブ・ヤーララガッダ来日!『バーフバリ エピック4K』には追加シーンも

2025年に劇場公開10周年を迎える大ヒット作『バーフバリ 伝説誕生』と『バーフバリ2 王の凱旋』を一つの作品として再編集し、壮大な物語を4K映像で体験できる『バーフバリ エピック4K』の日本公開を目前にして、バーフバリ役のプラバースと、プロデューサーのショーブ・ヤーララガッダが来日しました。

映画『楓』福士蒼汰/福原遥 楓【レビュー】

残酷過ぎて、切な過ぎて、優し過ぎて、どうしましょ(笑)。ネタバレを避けると、ほぼ何も書けませんが…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年12月募集用
  2. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  3. 映画学ゼミ2025年11月募集用

REVIEW

  1. 映画『THE END(ジ・エンド)』ティルダ・スウィントン/ジョージ・マッケイ/モーゼス・イングラム/ブロナー・ギャラガー/ティム・マッキナリー/レニー・ジェームズ/マイケル・シャノン
  2. 映画『シェルビー・オークス』
  3. 映画『悪魔祓い株式会社』マ・ドンソク/ソヒョン/イ・デヴィッド
  4. Netflixシリーズ『イクサガミ』岡田准一
  5. 映画『楓』福士蒼汰/福原遥

PRESENT

  1. 映画『サリー』エスター・リウ
  2. 映画『ツーリストファミリー』シャシクマール/シムラン/ミドゥン・ジェイ・シャンカル/カマレーシュ・ジャガン/ヨーギ・バーブ
  3. 映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ
PAGE TOP