ワンカットに見えるように撮影されていて、まるで主人公の目線でその場にいる時間を共有しているような臨場感があります。本作は、第92回アカデミー賞3部門で受賞しましたが、授賞式前のレッドカーペットでのインタビュー(テレビ中継)でサム・メンデス監督は、1番長いショットでは8分、その次に5、6分と長いショットがあったと話していました。一つのショットがそれほど長いのもとても大変だと思いますが、それぞれをワンカットに見えるように繋げるというのはとても難しそうですよね。撮影の方法もですが、役者の演技も精密に正確にする必要があり、そのスキルの高さに驚かされます。こうして臨場感が完璧だからこそ、観る側はそこに描かれたドラマに没入できて、説明不要で戦争がもたらすものを感じ取ることができます。そして本作は、戦いにフォーカスしているのではなく、仲間を救うために命をかけて伝令に行く若者の姿を描いている点で、世代を問わず身近に感じられる作品となっています。また、伝令を任される兵士を演じたジョージ・マッケイとディーン=チャールズ・チャップマンの演技はもちろん、ベネディクト・カンバーバッチ、コリン・ファース、マーク・ストロング、リチャード・マッデン、アンドリュー・スコットなど、脇を固める豪華俳優陣の演技も見ものです。
デートが盛り上がるようなロマンチックな内容ではありませんが、人間ドラマとして没入できる内容です。大事な仲間を救うために命をかけて伝令を届けようとする主人公の姿から、誠実さがすごく伝わってくるので、気持ちが引き締まります。本作で描かれる関係は恋愛関係ではありませんが、人と人とが向き合うという部分では、カップルの関係、ムードにも良い刺激をもたらしてくれるかも知れません。
戦争映画と聞くと、キッズやティーンの皆さんには難しそうに思えるかも知れませんが、本作は2人の若い兵士が、仲間を救うために大事な伝令を届ける任務を遂行する様子が描いていて、皆さんも同じ目線で観られる内容になっています。臨場感がすごくて、ワンカットに見えるように撮られているので、時間の進行も主人公達と同じように観られます。まるでその場にいるような感覚を味わえて、戦争とは何かを感覚として想像できると思います。とにかく観て何か少しでも感じ取ってもらえればと思います。
『1917 命をかけた伝令』
2020年2月14日より全国公開
東宝東和
公式サイト
TEXT by Myson
© 2019 Universal Pictures and Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.