ガイ・リッチーがディズニー映画を撮るとは意外でしたが、ディズニー映画の世界観は保ったまま、特にアクションシーンにガイ・リッチーらしさが出ていて、ファンタジー・アクションに昇華しています。色彩豊かな映像で、ミュージカルシーンは豪華なショーを観ているような感覚。ノリ的にはインド映画好きにも楽しめそうです。ウィル・スミスは来日時に「俳優だから踊っているように演じることはできるけど、実はダンスが苦手」と話していましたが、そのラフな動きこそ自然で、何でもやってのける類い希なセンスを感じます。アラジンを演じたメナ・マスード、ジャスミン役のナオミ・スコットも好演していて、特にナオミ・スコットは美しい歌声が印象的です。
物語は幼い頃に本で読んだり、アニメ版を観たりで知っている人が多いと思いますが、本作を観て「魔法は見せかけでしかなく、本当の意味で願いを叶えるのは自分」というメッセージを改めて受け取ると、グッとくるものがあります。ラストには、自己犠牲や、他者への貢献が、巡り巡って自分の幸福として返ってくるからくりが爽快で、ハッピーになれます。そうそう、ウィル・スミスが演じるジーニーはもちろん、ジャファーもマッチョなシーンがあり、マッチョ好き女子の皆さんもハッピーになれますよ(笑)。
アニメーションだとファミリー向けの印象があるかも知れませんが、実写ということもあり、老若男女楽しめる作品に仕上がっています。ロマンチックなラブストーリーなので、ムードを良くしてくれると同時に気まずいシーンもありません。身分を偽って交際しているのではない限り、平和に観られるでしょう(笑)。
128分はキッズにはちょっと長めですが、ファンタジー、アクション、ラブストーリー、ミュージカルといろいろな要素で楽しませてくれるので、それほど上映時間の長さは感じないでしょう。本で読んだり、アニメ版の『アラジン』を観たことがある人も、実写で観るとまた違った魅力があるので、ぜひ観てみてください。アラジンの相棒でサルのアブーも大活躍するので、皆さんも動物の相棒が欲しくなるかも。最初は、願いを叶えてくれるジーニーが自分の前にも現れてくれたら良いなと思ってしまうかも知れませんが、他力本願だと本当の意味では幸せになれないということもわかるので、頑張る気持ちも出てくると思います。
『アラジン』
2019年6月7日より全国公開
ウォルト・ディズニー・ジャパン
公式サイト
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TEXT by Myson